心が満ちる山歩き

美しい自然と、山に登れる健康な身体に感謝。2019年に日本百名山を完登しました。登山・街歩き・温泉・クラシック音楽‥‥

北海道 ”大雪の奥座敷”・トムラウシ(1)

2020年11月01日 | 北海道の山


トムラウシ(2,141m)

 「~ 北海道の地名は、もともとアイヌの人たちによって使われていたことばが、そのまま今日まで使われているものが多い。本町も例外ではなく、移住団体の入植後に、新しく命名された、福山、広内、岩松など一部の地名を除けば、山も川もすべてアイヌ語地名がそのままか、あるいは漢字に置きかえられて使われてきた。 ~」
 (『新得町百年史』新得町百年史編さん委員会編 新得町役場)


 『新得町百年史』では、トムラウシの地名について
 「~ 松浦武四郎の「十勝日誌」も、登加智留宇智之日誌も”トンラウシ”と記している。トンラ・ウシは水草が生えている・ものという意味であろうか(山田秀三)。
 ”トンラ”は湯あかで、湯あかの流れるところと訳せよう。 ~」
 と記されています。
 目指す山の名前はトムラウシです。2文字目が「ン」ではなく「ム」の方が、ずっと高山らしい感じがします。
 大雪の奥座敷と称されるトムラウシは、たとえるなら一大交響楽のようにスケールの大きい、間違いなく名峰中の名峰です。
 登るのがとても大変だった、尾瀬の平ヶ岳と標高が同じなのも、ただの偶然ではないと思います。
 雨は降らなかったものの、天気は良くもなく悪くもなく、頂上の眺望はあまりききませんでした。それでも印象が強いのは、トムラウシがただ大きいというだけでなく、それは小さな部分部分を緻密に積み重ねた山で、繊細な空気を登山道のあちこちで感じたからです。

 トムラウシは自分にとっては、北海道でただ1か所、二度登りにきた山です。
 初めての時は、ものすごい風に遭遇し、途中で引き返すしかありませんでした。体験したことのない強風で、どんな科学博物館でも、あれと同じ状況を体験することはできないでしょう。
 強風は強音を伴っていました。風が本当に強いときは、少し離れただけで互いの話し声が全く聞こえなくなるということが分かりました。
 ちょうどその時に、ツアー登山の人たちと出会いました。彼らもまた、自分たちとほとんど同じ地点で、引き返そうとするところでした。リーダーの「残念ですが、ここから先へ進むことはできません」という言葉と、それを黙って聞いている参加者の姿が印象に残りました。嵐のような風の中で静かな言葉がとてもよく聞こえました。



 (登頂:2018年8月中旬) (つづく)   



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