-Information-<奥村旭翠とびわの会>は、いよいよ明日
-日々余話- 石川九楊の書論三昧
昼過ぎ、あべのベルタの市民学習センターで開催中の、KAORUKOが通っている書道教室-書玄会加盟-に集う子どもらの作品展を、観に出かけた。
殆どの作品が小学生のものだが、なかに中・高生のもちらほら混じる。高校生ともなるとさすがにそれなりの筆線をみせてはいるが、紙幅が等しなみに小さく限定されている所為もあるのだろう、なべて行儀のよいものばかり。
さて、月が変ってからは、まさに石川九楊の書論三昧。
ちなみに読書録を書き連ねてみれば、1日、田中純「アビ・ヴァールブルク 記憶の迷宮」をざっと読了、5日、石川九楊「日本語とはどういう言語か」読了、9日、石川九楊「書 - 筆触の宇宙を読み解く」読了、加えて「書の宇宙」シリーズの01~03巻、10日、新宮一成「夢分析」と石川九楊「書とはどういう芸術か -筆蝕の美学-」読了、11日、鹿島茂「パリの日本人」読了、13日、山崎雅文「バイタル・リアクト・セラピーが生命力を活性化させる」読了、15日、石川九楊「文字の現在・書の現在」と「一日一書 -01-」読了、16日、石川九楊「筆蝕の構造 -書くことの現象学-」読了、加えて「書の宇宙」シリーズ04と05巻、17日、「書の宇宙」シリーズ06と07巻、25日、石川九楊「一日一書 -03-」、加えて書の宇宙」シリーズ08~12巻をこの三日でほぼ読了、といったところ。
病嵩じてとうとう大部の「近代書史」を購うに至る。A4判760頁余で18900円也の高値だから、他書に手を出せないで、今月の購入はこの一冊のみ。これが届いたのが17日で、この質量ともに重い、実際手に取ると重くて大変なのだが、この夜から他書と並行しつつ、ぼちぼちと読み進めてもいる始末だから、まるで明けても暮れてもといった体なのだ。
-今月の購入本-
・石川九楊「近代書史」名古屋大学出版会
「中国書史」-96年-、「日本書史」-01年-に続く著者畢生の三部作掉尾の書、昨年の大佛次郎賞受賞。山折哲雄曰く、文字通り刻苦精励のたまものである。これらの仕事は「書」という問題をひっさげて、東アジアに広がる漢字文化圏の全体を睥睨する勢いを示している。その自信と覇気は尋常なものではない。-略-、明治以後のわが国の書が「近代」といかに格闘し、どこに表現の可能性を求めてきたのかを、柔軟な筆致で詳述している。冒頭に良寛の書をもってきて序論を展開しているのも秀逸であるが、最後に石川氏自身の書を掲げて創作の秘密を解き明かしているところには驚かされる、と。
-図書館からの借本-
・田中純「アビ・ヴァールブルク 記憶の迷宮」青土社
図像表現の細部に宿るパトスを一身に受けとめた美術史家アビ・ヴァールブルク。現在の美術史学や文化史研究に多大な影響を与えた彼の、狂気と知が交錯した思想と生涯を精緻に解読する。 01年刊。
・石川九楊「一日一書 -01-」二玄社
甲骨文・金文から近代の書まで、1年365日、選りすぐりのさまざまな文字の魅力、いわば書のタペストリー、02年刊。
・石川九楊「一日一書 -03-」二玄社
一日一書シリーズの第3弾、04年刊。
・石川九楊「筆蝕の構造 -書くことの現象学-」筑摩書房
電子メディアの登場は言葉の世界をどのように変貌させようとしているのか、ワープロやパソコンで入力された文章と肉筆で書かれた文章とのあいだの差異は? 書き言葉と話し言葉を分ける最後の一線に踏み込み、「筆蝕」という独創的な概念を駆使して、書くことの本質に照明をあてた画期的な論考、92年刊。
・石川九楊編「書の宇宙 -01-天への問いかけ-甲骨文・金文」二弦社
書をめぐるすべての根源的な問いかけに答えんとする石川九楊が編集、図版を縦横に駆使して「書の姿」それ自体が物語る宇宙を再発見する空前の試み、全24冊の第1、96年刊。
以下同シリーズ「-02-人界へ降りた文字-石刻文」97年刊、「-03-書くことの獲得-簡牘」97年刊、「-04-風化の美学・古隷」97年刊、「-05-君臨する政治文字・漢隷」97年刊、「-06-書の古法・王羲之」97年刊、「-07-石に刻された文字・北朝石刻」97年刊、「-08-屹立する帝国の書・初唐楷書」97年刊、「-09-言葉と書の姿・草書」97年刊、「-10-伝播から受容へ・三筆」97年刊、「-11-受容から変容へ・三蹟」97年刊、「-12-洗練の小宇宙・平安古筆」98年刊
―山頭火の一句― 「三八九-さんぱく-日記」より-33-
1月29日、降つて曇つて暖かい、すつかり春だ。
夕方、三八九第一集を持つて寥平さんを訪ねる、例の如く飲む、最初は或る蕎麦屋で、しかしそこはエロ味ぷんぷんだから、さらに一日本店で飲み直す、そして最後はタクシーで送られる。
寥平居で、重錐時計といふものを見た、床しい印籠も見た、そして逢へば飲み、飲めば酔ふた次第である。
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