あまぐりころころ

主に漫画やゲーム等の感想や考察を。
時に旅行記等も交えながらの、のんびりのほほんブログ。

書きたいことは多々あれども。

2016-09-10 19:40:00 | その他感想・考察

 『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の件は、ただ驚くばかりです。
 なんというか、あまりにも突然で全然実感が湧かないというか・・・。
 まさか私がリアルタイムでジャンプを購読しているこの時にそれを迎えるとは思いもしませんでしたから・・・。
 そしてそんな驚きと動揺は、今現在ジャンプで連載している作家さん方もきっと同じでしょう。
 これからへの不安もあるのではないでしょうか。
 なにせ、これまでのジャンプの生きた歴史にして礎でしたもの・・・。

 ・・・ですが、他でもない秋元先生御自身がお決めになった事ですものね・・・。

 いるのが当たり前と思っていた存在がいなくなること。
 その喪失感はとても大きいに違いありませんが、それでも。
 私は、秋元先生のこの御判断を尊重したいと思います。





 それでは、先週から今週にかけてのジャンプ作品の感想を幾つか。

【ラブラッシュ!!】
 まずは先週の感想から。
 センターカラーだった前回ですが、連載二回目にして扉絵にヒロインの泣き顔を描いてくるというのはなかなか革新的に思えました。
 笑顔がとっても素敵なココロ。
 でも、レイジへの恋は涙が出る程真剣。
 でも涙を零してはいるものの、その表情は決して悲観的なものではなくて。
  そんなココロの本気さや強さが窺える、良い扉絵だったと思います。

 そして、ココロからそれほどに想われているレイジはというと・・・。
 よくやったぁあああ!!
 面と向かってよくぞ!よくぞ!!
 こういう類のラブコメでは、とにかくイラつくぐらいすれ違いと勘違いが延々と繰り広げられるものですが、その負の連鎖を断ち切るとは天晴れ!!!

 そしてシズクも大変可愛いですね!
 でもその可愛い反応以上に私が好感を抱いたのが、レイジをちゃんと守ってくれていたこと。
 宇宙にまで連れさられそうになったレイジを助けようと木に登っていたところなど、レイジを大切に思う気持ちが随所で垣間見れて、とても良い子だというのが実感できました。(^^)

 でもやっぱり私はココロ贔屓。
 ココロ良い子すぎるでしょおぉおおお!!!
 本当に、ココロってその気にさえなれば、その能力でレイジの心を手に入れることなんて簡単に出来るんですよ!?
 それなのにしないなんて!!レイジ自身の気持ちを尊重するどころか助けてくれるなんて!!うわあああああん!!(><。)
 決めた。
 シズクは本当に可愛くて、本当に良い子だけど。
 それでも。
 栗うさぎはココロを応援します!!!(宣誓)

 ココロが用いていた「冷却の矢」というのも、とても優しい力ですよね。
 相手を“嫌い”にさせるのではなく、あくまで“恋の熱を冷ます”という力なのですから。
 その矢の力によって亜人種の女の子達はレイジへの執着が消沈していましたが、それはつまりその気持ちは所詮その程度だったという事です。
 だってね。
 本当の恋ならば、熱が冷めようが相手への想いは決して変わらないものですよ?
 つまり、レイジの特殊遺伝子に惹き付けられる女の子のほとんどは本質的な恋愛感情を抱いていないということ。
 例えるならば、アイドルに騒ぐファンのような気持ちしか抱いていないということです。


 そんな中、早速今週現れたのはサキュバスのエリス。
 うん、この子もまた良いキャラしてます(笑)。
 どうやらエリスは「事情持ち」のよう。
 これから登場してくる亜人種ヒロイン達はきっと、レイジの特殊遺伝子に単純に惹かれているだけではなく、それぞれの事情や理由を持っているのでしょうね。

 そして恋愛バトルの決着の指標として掲げられたのがキ・・・・・・・・・・・スですか。(ごめんなさいストレートに言えません/照)
 これは分かりやすいですね。
 亜人種達にとって、キ・・・・・・・・・・スというものは、契約のような、誓約のようなものなのでしょう。
 実際、悪魔は契約に厳格というのは有名な話ですし、人間の世界でも結婚式の時は神様の前でキ・・・・・・・・・・スをして二人の愛を誓うわけですし。
 それを考えると、ラブコメのゴールの意味でもこの設定は分かりやすくて良いと思います。
 亜人種がそれだけキ・・・・・・・・・・・スを重要視しているということは、逆に考えれば、レイジがシズクであれココロであれ誰かと両想いとなった上でキ・・・・・・・・・・・スをすれば他の亜人種達は二人の仲を認めざるを得なくなるというわけですしね☆

 それにしてもまあ、本当にココロの健気さには涙が出そう。
 諸々の事情を知っていながら強引に既成事実を作ろうとせず。
 あまつさえ、時間をかけてお互い親しくなっていきたいと思ってくれているこの正攻法さ・・・!!この優しさ・・・!!
 今日日いないよこんなに恋に真っ直ぐで誠実で純粋な子!!!

 あ~ホントこの作品は登場キャラが全て高い好感を持てるというかなり稀有な作品だと思います。
 是非とも人気が出てほしいですね。



【鬼滅の刃】
 善逸のように株の変動が激しいキャラも珍しい。
 
取り敢えず今回のベスト善逸は、禰豆子に花を差し出していたところ。
 いと可愛い。

 可愛いというか、ほっこりさせられたのは藤のお婆ちゃまも。(^^)
 どうか末永くお元気で。
 できればまた会いたいな・・・。

 そしてやっぱりこの作品はシリアスとギャグの配合が見事。
 鬼殺隊員が森に引き戻されたシーンには私も善逸と同じ表情になってしまいましたが・・・

 伊之助:「腹が減るぜ!!」
      ↓
 栗うさぎ:(???)
      ↓
 善逸:「腕が鳴る だろ・・・」
      ↓
 栗うさぎ:ブハッ

 やばいな~。キャラの魅力と共に作品自体も順当に面白さが上昇していっていますよね、この作品。
 そしてジャンルは違えども、強烈な個性キャラを纏められるのはやっぱり天然主人公なんだな~とつくづく。(某赤髪料理人を思い浮かべながら)





 『ソーマ』本編の感想だけでなく、アニメ感想の方も滞っていて申し訳ない限りです。
 実は昨日、母とお出掛けしてきたこともありまして。
 行先はというと・・・



 ここ。

 

 その詳細は近日UP予定!
   


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今週の少年ジャンプ感想。(『ニセコイ』総括感想もあり)

2016-08-12 09:30:00 | その他感想・考察

 お盆明けまでずっと一人で仕事だっての忘れてた・・・。
 疲れでバタンキューになってしまい、更新が遅れてしまいました。ごめんなさい。



 ということで今回は今週号のジャンプ作品と共に、ようやくというか、とうとうというか、最終回を迎えた『ニセコイ』の総括感想を述べてみたいと思います。
 
 あ、その前に。
 8月20日発売の『ジャンプGIGA vol.2』。
 表紙は創真なんですね~!
 今週号のジャンプの表紙はお盆前の合併号ということでジャンプキャラの集合絵だったわけですが、そんな創真くんの横に配置されているというのが巧いところ。
 はい、勿論今週号のジャンプ表紙は保存決定です☆(礼服姿の創真くん・・・!)
 それにしても毎回ジャンプGIGAにポスターだの番外編等を掲載しておられる佐伯先生。
 附田先生も新作の構想で大変でしょうが、佐伯先生の仕事量も心配です・・・。(ミウラ師匠も大変そうですが)


 さて、それでは感想の方へといってみましょう! 

【僕のヒーローアカデミア】
 前回ラストのデク君かっこいいなーと感心。
 新しいスタイルを取り入れたことで応用性が一気に広がりそうで期待感が高まります♪

 そんな修行ムードの中・・・
 お茶子ちゃんかわいいいいいいいい!!!
 浮いた話に浮くというのが、お茶子ちゃんならではのリアクションで上手すぎる。
 デク君とお茶子ちゃんって、本当に微笑ましく見守れる両片思い関係ですよねー。ほっこりほこほこv
 ヒーローへの邁進の傍ら、お互いへの想いも大切に育んでいってほしいものです。(^^)



【約束のネバーランド】
 ジャンプにしては結構重いお話であるこの作品。
 「箱庭」で育った主人公達が世界の真実を知るという話は今日日珍しくはありませんが、そこをどう展開していくかがポイントでしょうかね。

 今回描かれたママさんの底知れ無さ。
 エマ達はまず、このママさんの目から逃れる術を探さなければならないわけですね。
 でも・・・。
 ママさんは本質的に悪い人ではないと思うんですよ。
 分からない事が一杯なエマ達ですが、最大の疑問は自分達に対するママさんの優しさ。
 あくまで今の段階での推測ですが、ママさんは「家畜業」として悪魔達に人肉を提供する一方で、子供達一人一人に対するちゃんとした愛情も持ってくれている人なのでは、と思うんですよね。
 これは現実の家畜業者の人達の心理を例に取ると分かりやすいと思います。
 自分達が生きるために家畜を育て(もしくは殺し)、でも一方で家畜そのものの「命」の重さも思い遣る。
 そんなジレンマ。
 ママさんはそんなジレンマを抱き続けている人なのでは。
 だから、エマ達にわざと発信器の存在を気付かせる行動を取ったのは、多分エマ達に自分達が置かれている状況を暗に伝えるためだと思うんですよ。
 実際エマ達は逃亡はそれほど難しくないと割と楽観的に判断していましたが、実はそうではなく、本当に恐ろしい事が待ち構えているのは逃亡した後なのでは。
 「絶対に逃がさない」という威嚇ではなく、「逃げるなら完全に準備し抜きなさい」という忠告。
 施設の逃亡対策が随分と甘いのも、ママさんのそんなジレンマが反映されているのかもしれません。



【ゆらぎ荘の幽奈さん】

 コガラシさん格好良すぎだろ。

 こんな良い奴に惚れない女の子がいるだろうか、いやいない。(反語)
 周囲の目を気にせず、ヒロインをちゃんと見てくれる主人公・・・。
 くあああああああーーーーーー!!!イケメン!!!
 ハーレム系ラブコメの主人公としては珍しいほど、コガラシはキャラがしっかり立ちつつも凄く好感の持てる主人公ですよね。
 今回のコガラシと幽奈の抱擁やダンスはもう・・・!
 「きゃ~~~v」とほっこりした思いで読めました。ピュアラブ最高。(^^)

 この作品の魅力は『食戟のソーマ』とも似通っていると思います。
 お色気描写は強烈ながらも、日常面では温かくも誠実な交流がしっかりと描かれている点とか。
 主人公が一本芯の通った、非常に男前で魅力的な点とかが。
 共通点が多くみられるのはミウラ先生が佐伯先生の師匠という事も一因にあるかもしれませんが・・・それ以上に。
 この作品の担当編集さんが、『ソーマ』の初代担当であらせられる中路さんというのが大きいと思われます。(※ちなみに中路さんは『背すじをピン!と』も受け持っておられます)
 う~~ん、やっぱり作者の力を引き出せるかどうかは、担当編集さんの腕に懸かっているんだな~とつくづく。

 今回のジャンプアンケートの順位がかなり楽しみ。
 予想します。
 今回の話は間違いなくTOP3に入る人気を得たことでしょう!!



【鬼滅の刃】
 相変わらず面白いなあ~。と読んでいましたが、最後に全部善逸が持って行った!
 あれほどのビビリ君が、まさかこんな意志の持ち主だったなんて・・・!
 これには見直しました。大いに。
 個人的に善逸は禰豆子に一目惚れするだろうと推測しているのですが、これは惚れたとしても無下に否定は出来なくなっちゃいましたね~。



【背すじをピン!と】
 現実は厳しかった・・・。
 前回はあれほど素晴らしい、紙面から飛び放たれるかのような活き活きしたダンスを存分に魅せてくれていただけに尚更悔しいものがあります。

 唯一の救いはクイックステップの評価が満点だったという事でしょうか。
 「つちわたブースト」は、確かな必殺技として評価されたということですね。
 さて、後輩達の悔しさは先輩達が受け取りました。
 ここは是非とも「背負う者」の強さを見せつけて欲しいところです!!



【たくあんとバツの日常閻魔帳】
 麻狛のデリバリーサービス是非私もお願いしたい。
 ナデナデさせてくれるなら追加料金だって払いまっせ!!


 【ニセコイ】
 とうとう今週号で終焉を迎えました。
 ジャンプ史上、最長連載を記録したラブコメ漫画『ニセコイ』が。

 基本的にジャンプに掲載されている作品は全部目を通している栗うさぎ。
 『ソーマ』が始まるず~~~っと前からジャンプを読んできた身なので、必然的に『ニセコイ』も第一話からの付き合いでした。
 といっても、個人的にこの作品は良くも悪くもずっと冷めた冷静な目で見てきたのですがね。
 取り敢えずは最終話の感想から。


 最終話ということもあり、これまでの登場キャラの「その後」が描かれていた今回。
 個人的に評価したい「その後」は4つ。
 一つ目は楽が自分の家業を継いだこと。
 今だからぶっちゃけられますが、実は私は第一話の時点で既に楽という主人公に嫌悪感を抱いていました。
 何故なら、あれほど自分を慕ってくれている「家族」達だというのに、後を継ぐことで彼らを守ろうとする意思を持っていなかったから。
 しかも確かな目的理由もなく、ただ「普通がいい」という安易な理由で。
 その癖にマリー編では自分の家の特殊性を利用してマリーを匿おうとしてましたよね。
 責任は果たそうとしないくせに困った時には利用するとは随分都合が良い主人公だこと(怒)と、内心かなり不快だったんです。
 なのでこの点は個人的にスッキリできました。
 
 二つ目は鶫。
 初期の頃は「男」として闇の世界で生きてきた鶫でしたが、今は「女性」の魅力を活かす脚光を浴びる職に就いているとは・・・。色々と感慨深いものがあります。
 思えば、鶫は作中で一番変わったキャラクターだったかもしれませんね。(^^)

 そんな鶫とは反対に全然変わらなかったのがマリー。
 とっても良い意味で。
 これが満足できた点3つ目。
 この最終話においても、楽を超える素敵な人を探そうと積極的に、真っ直ぐに、笑顔で挑んでいく姿を見せてくれたマリー。
 私はマリーのそういうところがとても好きだったので、大変嬉しかったです。(^^)
 そしてその嬉しさを更に上乗せしてくれたのが、千葉県のYさんに違いない人との出会いが示唆されてくれたこと。
 もはやマリーファンの代表にして伝説であるYさん。
 手書きで1500票もの投票をやってのけたという伝説から始まり、アニメイベントでは花輪を贈り、マリーの誕生日にはお花だけに留まらず月の権利書やガラスの靴を贈るという、途方もない行動力を示してくださったこの方には私も驚愕しました。正直言って楽より遥かに素晴らしい人だと思います。
 そんな惜しみない愛情をマリーに注いでくださったYさんが、遂に次元を超えてマリーと出会えることに・・・。
 これは間違いなく、古味先生からYさんへの感謝でしょうね。
 お陰で私も心から安心できます。
 きっとマリーは幸せになれるであろうと。(^^)

 そして4つ目。
 まあこれはラブコメであったこの作品の集大成であるラストシーン。
 次第に近くなる楽と千棘の顔の描写には、純に赤面させられてしまいました。(///)
 改めて言います。
 ピュアラブ最高。

 というわけで、それなりにキレイな最終話だったかと。



 ・・・ふう。
 さて、それでは最初から最後まで読んできた一読者として、この作品に対する総括を述べてみたいと思います。
 相変わらずながら基本的に辛口な意見なので、それをどうかご了承ください。

 最初に言っておきますが、私は初期の頃から楽と結ばれるのは千棘になるだろうと思っていました。
 読切版のヒロインが千棘だったからとかいうそんな陳腐な理由ではありません。
 勿論個人的な好みも関係なしで、そう予想していました。
 何故なら。
 千棘は楽とぶつかりまくっていたから。

 これは私個人の恋愛観なのですが、
 恋愛というものはお互いが相手にどれだけ「自分」を曝け出せるかどうかだと思うんですよね。
 楽と千棘は出会い(本当は再会)が最悪だったからこそ、もうヘタな猫被りや取り繕いが通用しないという事で遠慮無しにお互いの短所を曝け出しまくっていました。それは「自分」を曝していると言えます。
 一方楽と小咲のやり取りはというと、お互いが好意を持っているうえに両者とも奥手ということで、常に相手にどう思われているかという気遣いばかり。それは「自分」を曝しているとは言えません。

 以前、某有名ジャンプ感想ブログ様にてコメントさせて頂いた際、小咲は恋人関係の「理想」、そして千棘は恋人関係の「現実」と述べさせて頂いたことがありました。
 夢のように満ち足りて幸せな気持ちが味わえるのが小咲。
 逆にすれ違いやケンカを繰り返し、それでも腐れ縁的に一緒にいてしまうという、現実的な関係にあるのが千棘だと。
 そんな風に小咲は「夢(幻想)」のヒロイン、千棘は「現実」を反映したヒロインだったとするならば、楽の気持ちの移ろいも説明できると思うんですよね。
 子供の頃の約束というただひたすら純粋で無垢だった想いから、生きていくうえで何度も味わう気持ちの屈折や迷走を踏まえた上での想いへと変わること。
 そんな「子供」のものから「大人」のものへと変わる恋を古味先生は描きたかったのかな~なんて勝手に解釈しております。
 
 そんなわけで、主人公楽とヒロイン千棘の着地点においては特にこれといったツッコミはありません。私がこの二人に全く思い入れが無いせいかもしれませんが。



 た・だ・し。



 小咲の描写は足りなさすぎでしょこれは!!!

 恋に破れたとはいえ、メインヒロインの一翼だというのに!!
 人気投票第1・2回目連覇という人気ヒロインだったのに!!

 私でさえこう思うのですから、これまでずっと真摯に応援してきた小咲ファンは相当悲しかったのではないでしょうか・・・?
 ファンの方々の気持ちを思うと、なんともやりきれないものがあります。

 これまでこの作品を大きく牽引してくれていたメインヒロインだったが故に、彼女の「これから」は読者の予想に委ねようとする意図だったのかもしれません。
 ですが、私から言わせればそんなのは読者への「丸投げ」です
 それぐらい、最終話における小咲の描写はあまりにも最低限なものでした。

 せめて表情を半分隠すことなく、全部描写してほしかった。
 最後くらい、幸せそうな笑顔を見たかった。
 一人で仕事に打ち込む姿ではなく、仕事仲間とでも友人とでもいいので、一人ではなく誰かと未来を歩んでいこうとする姿が見たかった・・・!

 はあ~・・・。
 小咲はマリーの次に好感の持てる子だったので、そこが非常に残念でした。
 ただでさえ小咲は大宇宙の意思?とやらで散々楽と思いが通じるチャンスを奪われてきただけに尚の事。

 ・・・いえ、そこ“も”残念だったと言うべきでしょうね。

 私がこの作品を終始冷めた目で読んでいたのは、好感が持てない主人公像もさることながら、全ての面において説得力や誠実さが感じられなかったからです。
 この作品の全ての始まりは、幼い頃の「約束」にありました。
 その「約束(の女の子)」を巡って非常に長い間スッタモンダが繰り広げられたというのに、最終的にはその「約束」を破ってしまうというこの酷さ。
 しかも一つではなく二つも三つも。
 なにが「ザクシャインラブ」やねん。
 なにが「愛よ永遠に」やねん。
 おまけにそんな昔からの約束を幾つも破っておきながら、更に同じ約束を繰り返すという。
 「ニセモノ」であった千棘との恋を「ホンモノ」にするためとはいえ、これは小咲サイドから見てみればいっそ薄情とさえ言えるかもしれません。


 とにかく深く読み込めば読み込むほど不満が溜まる。
 私にとってこの作品はそういうものでした。 
 いわば、この作品は「結果」に至るまでのプロセスがあまりにもペラッペラだったんですよね。
 その場しのぎの理由付けというか。ひたすら軽薄というか。
 目先の展開に右往左往するばかりで、主人公達の「成長」は全く感じられなかった。
 これが私のこの作品に対する総括的な感想です。

 それでも。

 この作品には、確かな魅力というものがあったと思います。
 それが「恋する女の子の可愛さ」。
 繊細さ。
 健気さ。
 慎ましさ。
 真っ直ぐさ。
 純粋さ。
 そういった女の子特有の恋心の描写は大変見事で、私も「おお・・・」と感心させられたものです。

 良くも悪くも大反響を巻き起こしたこの作品は間違いなく古味直志先生の代表作となったことでしょう。
 この作品で学んだことを糧に、また頑張ってくださることを祈っています。
 とにもかくにも古味先生、長い間お疲れ様でした!!




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『食戟のソーマ』三周年記念考察 ~主要キャラ達の恋愛的展望~(後編)

2016-05-22 14:30:00 | その他感想・考察

 さーてさてさて、さてのさて。
 それではお待たせいたしました!!
 『食戟のソーマ』三周年記念考察の第三部。
 その後編をいざ述べさせて頂きましょう!!





 いよいよこの最終章にて、読者が最も注目している点であり作中においても最大の鍵である、主人公創真とヒロイン達の恋愛的展望について考察していくわけですが・・・。
 改めて、宣言しておきます。
 

 

私は創真至上主義者です。


 

 ヒロインらの幸せよりも
 世界の平和よりも
 創真の幸せが何より大事。
 そう考えているような奴です。

 これから述べる考察は、そんないち創真ファンによるものという事をどうか念頭に置いてご覧くださいませ。



 私がこの作品のラブコメ部分を心から気に入っているのは、大変ピュアでイノセントな交流もさることながら、もう一つあります。
 それは主人公がヒロインらに対して圧倒的主導権を握っているところ(えー)

 最近の少年漫画の主人公はヒロインに振り回されたり頭が上がらなかったりするのが多い中、創真は珍しいほど女性に対して“強い”子です。
 不敵で大胆、マイペースでありながら一切ブレない創真。しかも天然(笑)。
 ですが。
 そんな[荒野]であり[春の嵐]である創真だからこそ。
 ヒロインらの「囚われているもの」を吹き飛ばしてくれるわけです。(^^)




【創真、えりな、恵、それぞれの恋愛観】

 現在の時点で、ヒロインと言える子は4人。
 ご存知えりな・恵・郁魅・倉瀬。
 まずはメインヒロインにあたるえりなと恵、そして主人公である創真が「恋愛」について果たしてどう思っているかを考察してみることにしましょう。


 まずはえりなについてですが・・・。
 彼女の恋愛観は番外編:『夏休みのエリナ』に全て詰め込まれていると言っても過言ではありません。
 城一郎に深い「憧れ」は抱いているものの、それは料理人としてのもの。
 ・・・もっとも、私はその「憧れ」には別の意味も含まれていると思っていますが。

 年頃の女の子らしく恋愛事に本当は興味があるものの、己の道を極めるためには必要ないと考え、切り捨てているえりな。
 城一郎が「良い料理人」になれたのは、「特別に大切な人」の存在がいたからこそだったということを知らずに。

 そんなえりなは、城一郎が掲げる「良い料理人」から最も遠いと言えます。 
 その才能と英才教育によって「凄い料理人」にはなっているものの、自身が憧れ目標にしている城一郎という料理人の“本質”には近づけていません。
 しかもこれまでずっと最高の料理を「捧げられてきた」彼女は、逆に自分が誰かに己の料理を「捧げる」という事自体考えたことすら無いでしょう。
 そんな彼女だからこそ、相手への心からの想いを込めた料理とはどのようなものかを知り、その大切さについて考えていかなければならないわけです。
 そのためにも、「特別に大切な人」の存在は彼女にとって必須と言えます。



 そんなえりなと対照的に、
 「良い料理人」に最も近いと言えるのが恵。
 彼女の実家からの教え。それは謀らずも城一郎の言う「コツ」と本質が同じものでした。
 その教えもあって、恵は料理人の道を歩むのに「特別に大切な人」の存在、ひいては「恋愛」は必要と考えている人物です。
 そして何より、その教えは「たった一人の特別な人」への想いを芽吹かせてくれたという。
 
 その相手とは勿論創真。(^^)
 今はまだ無自覚ではあるものの、創真への想いを勇気に変え、恵は確実に歩んでいます。



 そして当の創真はどうかというと・・・。
 恋愛事に関してだけは、いっそ見事なまでに超鈍感(苦笑)。
 
 ですが。

 実のところ、創真はかなりしっかりした恋愛観を持っていると私は思っています。

 色恋沙汰に全然関心が無いような素振りなのも、料理人という己の道を邁進するのに今は夢中なため。
 もし。
 いずれ誰かを想う気持ちに彼が気付く時が来たならば。
 その気持ちに戸惑うでもなく、否定するでもなく、静かに受け止められると思うんですよね。
 創真はちゃんと自分の気持ちに向き合える大人な子ですから。
 少なくともえりなやタクミと違って、己の道を邁進するのに「恋愛」は必要ないとは思っていないことでしょう。
 実際、恵の実家の教えに賛同してくれていましたしね。

 それに・・・。
 私の見立てでは、創真にも既に「特別に大切な人」への想いは芽吹いていると思いますよ?
 「あの子」への優しい眼差しを見れば。(^^)

 恋愛事に無頓着なように見えて、実際に「恋愛」に触れた際はきっと誠実に向き合うことが出来るであろう創真。
 そのバランス加減は彼ならでは。
 「恋愛」という面においても、そして「良い料理人」への距離においても、創真はえりなと恵の中間に位置していると言えるわけです。





【魅力あるヒロイン達の中で、恵を推す理由】

 そんなわけでして、「恋愛」に対する三者三様の関心、考え方を持っている三人。
 ここにサブヒロインにあたる郁魅と倉瀬も関わり、創真を中心にした微妙な関係が繰り広げられているわけです。

 単行本第5巻感想でも述べていますが、
 私は創真が幸せなら誰と結ばれても構いません。

 ですが。
 その一方で、出来れば恵と結ばれて欲しいと願っています。

 何故えりなや郁魅を推さないのか?



 ここで重要となるのが、『幸平創真』という主人公の内面です。



 その家柄や容姿や才能から、多くの人々から憧憬や畏怖、尊敬といったものを一身に浴びているえりな。
 ですが「特別な自分」であり続けなければならないために、自ら周囲に「壁」を作っているという。
 そんなえりなの“孤独”は、これまで随所で描かれてきました。




 実を言うと。





創真も奥底に“孤独”を有している子です。







 あんなにも沢山の仲間やライバルに囲まれ、温かい世界にいつも包まれている創真が何故?とお思いでしょう。
 でも・・・。



 表面的態度とは裏腹に、内面はとても誠実で情に厚く、思慮深い創真。
 そんな創真はこれまで敵味方を問わず、多くの人々を“見て”くれて、そして理解してくれていました。
 そんな創真に多くの者が助けられ、変わっていきました。



 そんな創真をずっと見ていくうちに、いつしか思うようになったんです。





 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

じゃあ、創真を理解してくれている人は・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 改めて考えてみて・・・。

 愕然としました。











 本人さえ素直になれば、理解してくれる人は沢山いるえりな。
 なのに創真はあれほど素直で裏表が無いうえに、作中トップクラスと言える程コミュニケーション能力に秀でていながら
 彼を理解してくれている人はあまりにも少ない。
 何故なら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あまりにも創真の“器”が大きすぎて。思慮が深すぎて。
「普通」の人では理解出来ない域になってしまっているから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 周囲の人達は創真を慕いつつも、時々彼の考えが分からなくなり、時に誤解し、時に非難してしまう。
 そしてヒロイン達もまた、この例に漏れてはいません。

 郁魅は強気で真っ直ぐな子であるが故に、そんな悲しい誤解をしてしまいがち。
 個人としては好きなものの、創真との恋の成就を本気で支持できないのはこれが原因なんです。
 ・・・ゴメンね、郁魅。

 倉瀬は創真をずっと長い間見てきて、彼の「凄いところ」は充分に分かってくれているものの、その引っ込み思案な性格が災いして自分から創真に近づこうとする「一歩」が踏み出せていません。
 そのため、彼の“影”の部分には気付けていないという。
 もし倉瀬が創真の“影”の部分にまで気付いてくれていたならば、例えどんなに出番が少なかろうが彼女を推していたことでしょう。


 そしてメインヒロインであるえりなはというと・・・。
 残念ながら、私から見てえりなは「女王級の力を持った普通の女の子」です。
 そんな彼女が「魔獣級の器」である創真を理解できるとは正直思えません。

 しかも、ただでさええりなは他者に対して“求めて”ばかりいる子。
 そして創真は他者に“与える”子なわけですが、そんな彼女が創真と結ばれてしまったら、それこそ貰って(捧げられて)ばかりになってしまいます。
 それではえりなの成長になりませんし、いずれは葉山の献身に対する汐見のように不安を抱いてしまうかもしれません。



 それはえりなとは対極の“孤独”。
 いわば、飛び抜けた「才能」を持たされたが故に独りに追いやられているえりなに対し、飛び抜けた「器」を持っているが故に独りになってしまっているのが創真。




 だからこそ。

 

 

 

 

 

彼を本当に理解してくれる人が傍にいて欲しいんです。






 

 自由気質な創真。
 そんな彼の[風(嵐)]の部分を咎めない子が。

 常に歩みを止めない創真。
 そんな彼の[大地(荒野)]の部分に、ずっと付いて行ける子が。

 『幸平創真』という人物の“光”も“影”も、全てひっくるめて受けとめられる子が。

 そんな子が創真の「危うさ」を支え、守ってくれると思うんです。

 私が見る限り、そうなれる子は恵だけ。
 [田園]という水や緑といった“恵み”に溢れる彼女ならば、乾いた大地に潤いを与えてくれるに違いありませんから。





【もう一人のメインヒロインの相手とは】 

 では一体、えりなと結ばれるのは誰になるの?と疑問にお思いでしょう。
 確かに。
 上でも述べましたが、えりなが「良い料理人」になるためには「大切な人の存在」は不可欠です。

 恵推しではありますが、創真とえりなのコンビも決して嫌いではない私。
 創真のマイペースさにきりきり舞いなえりなという様式美は最高ですし♪♪♪(ドS顔)
 そんなわけで、えりなのお相手は創真のファクターを多く持つキャラがお似合いと思うんですよね。
 いつも笑顔で。
 掴めなくって。
 思慮深くて。
 大者で。
 ドS(核爆)。
 そんな人が。



 ・・・もうお分かりになられたでしょうか?





 
そ・れ・は。





 一色先輩。




 (あわわわ、今「え゛え゛え゛―――!!!???」という声がめっちゃ聞こえた・・・/大苦笑)


 彼を選んだ理由も勿論ちゃんとありますよ?
 といっても、最初の切っ掛けもやっぱり「女の勘」だったんですが。(核爆ドッカーン)

 タクミと郁魅の初対面の時と同じです。
 えりなと一色先輩の会話(第40話)を初めて目にした時にピン☆ときたんですよ。
 「あ、この二人仲良いネ」と。
 ・・・なんか私の脳内には、「火花を散らす=仲が良い」という図式がある模様(爆)。

 メタ的なことを言わせてもらえば、えりなは女性キャラの中でも圧倒的に人気のある子です。(なにせ人気投票連続2位)
 ファンからしてみれば、主人公である創真に匹敵する程のキャラクターでないと相手役として納得できないと思うんですよね。
 ですが、一色先輩なら流石に納得できるのでは?
 なにせ一色先輩は創真とは反対の意味でこの作品の世界観の象徴ですもの。
 変態性異常性といった。(核爆ドッカーン×2)
 
 えりなは振り回されてこそ魅力が発揮される子です。
 だからこそ、創真とはまた違った形でマイペースな一色先輩はきっと良い相性な筈。
 一色先輩なら間違いなく、えりなを華麗に手の平で転がしてくれることでしょう♪(どエスマイル)  
 おまけに、えりなは「年上」が好みのようですしネ。(^m^)



 でも。
 この予想が当たろうとも当たらずとも
 どんな紆余曲折があろうとも・・・
 この作品が終焉を迎える頃には。

 たとえ成就しなかった恋であろうが、ちゃんと己の糧に出来る子にえりなは成長してくれているに違いありません。





【メインヒロイン二人の“役割”と、創真への感情故の“障害”】 

 「ヒロイン」には二つの役割があると私は考えています。
 一つは「作品にとってのヒロイン」。
 作品の設定や舞台に大きく関わり、主人公の目的達成や成長に欠かせない存在。
 そしてもう一つは「主人公にとってのヒロイン」。
 これは「ヒロイン」というイメージにストレートに求められる、主人公と恋仲になる存在。

 私が思うに、えりなは「作品にとってのヒロイン」で、恵は「主人公にとってのヒロイン」だと思うんですよね。

 いわばえりなはこの作品の「看板」、そして恵は土台にあたる「礎」、そして創真は全てを支える「大黒柱」。

 その作画の美麗さ故に、多くのカラーイラストが描かれてきたこの作品。
 記念イラストやポスター等で恵よりもえりなの方が多く描かれるのは、まさに彼女がこの作品の「看板」だからではないでしょうか。
 そして、これまで三年以上も連載を続けていながら創真と恵のツーショットは一度たりとも描かれていないのも、同種の理由によるものなのでは。
 創真と恵の二人だけを描いてしまった場合、佐伯先生がどう頑張ろうが恋人同士にしか見えないイラストになってしまうんでしょうね、多分(苦笑)。
 二人のツーショットはここ一番!!という時まで温存しておくつもりなのかも。



 ずっと悪態を取り続けてきたものの、ここ最近の展開で最大のネックであった創真への偏見的見下しが改善され始めてきたえりな。
 順当に創真との親睦を深めている恵。
 彼女らと創真との関係が今後どう進展していくのか、非常に興味深いところです。
 ・・・しかしながら。
 恋に障害はつきもの。
 この作品はあくまで料理バトル漫画なため、ゴチャゴチャした人間関係のもつれは無いと思っています。
 それだけに、創真とヒロインらの間に阻む障害は外因的要素ではなく、ヒロイン達がそれぞれ抱いている創真への想いそのものになってしまうような気が・・・。

 これまで散々創真を侮辱してきたという「罪」。
 創真から色々助けてもらったという「恩」。
 丁度対照的な意識を、えりなと恵は創真に対して抱いています。

 彼女達はこれからその想いにもっと深く向き合うことになるでしょう。

 真面目で融通の効かないえりなは、酷い「罪」を重ねた自分が許される筈が無いと、自分で自分を追い詰めることになるのでは。
 自己評価が低い恵は、もし創真への想いを自覚したとしても、彼への「恩」を本当に大切にしているが故にその気持ちを「高望み」として戒めてしまうのでは。
 
 そして、そんな考えの果てに、彼女らは創真との間に“隔たり”を作ってしまうのではないのでしょうか。

 えりなは罪悪感による「壁」を。
 恵は戒めによる「距離」を。



 けれども。



 そんなヒロインらの“隔たり”を、創真は「己の料理」で取り払ってくれるのでは。





【自分の料理の全てを捧げるというのはどういうことか】

 というわけで、記念考察の第一部第二部も、この第三部を語るための補足の役割を兼ねていたのでした☆
 ではいよいよ本題中の本題へ。
 この作品の最重要概念である「自分の料理の全てを捧げたいと思えるような相手に出会うこと」について、いざ、私なりの考察を述べさせて頂きます。

 この作品のキーパーソンである城一郎。
 彼は度々作品のテーマとも言える重要発言をしていますが、これはまさにその代表。
 「良い料理人」になるためには。
 その秘訣として城一郎が掲げたのは「特別に大切な人」の存在でした。

 この言葉の真意について、ずっと考えてきました。
 創真にとって、ヒロイン達にとって、この言葉はどういう意味を成してくるのか。
 それについて、私なりの「答え」を出すヒントになったのは・・・意外にも、最初の頃にあったんです。
 それは、いまや伝説のシリーズとも言える、四宮編の第23話で創真が恵に話した城一郎の教え。

 「料理とは 皿の上に自分の全部を載せること」

 自分の全て。
 それは
 自分の力。
 自分の心。
 自分の人生。

 それらを全部ひっくるめたものなのでは。

 そして、そんな料理を相手に“捧げる”ということは
 自分の力の全てを、その相手のために尽くすことが出来るか。
 自分の心を全て預けることが出来るか。

 自分のこれからの人生を相手に委ねることが出来るか。
 
つまりはそういう事ではないのでしょうか。



 逆に、そんな「自分の全てを載せた料理」を捧げられる相手も覚悟が必要です。
 ある意味当たり前のことを言わせてもらいますが―――


 料理というものは「美味」だけではありません。


 その一皿の中には一般的に好まれる「甘味」や「旨味」だけではなく、「苦味」もありますし、「酸味」も、「塩味」や「辛味」や「渋味」だってあります。
 そんな一般的に嫌われがちな「不味さ」とも言える“味”
 例えるとするならば、そういった“味”は作り手の弱さや醜さ、孤独、闇。
 自分の全てを込めた料理というものは、そういう“味”もあってこそのもの。

 相手はそんな全ての“味”を、料理人の全てを、受け止める責任があると思うんです。

 そして、創真はそんな「不味い味」さえも受け入れながらこれまで料理を創ってきたという。 
 だから創真はあれほどまでに他者を頭ごなしに否定せず、受け止めてくれる子なのでしょうね。
 だからこそ尚更、願わずにはいられないんです。
 創真の“味”の全てを受け止めてくれる子と結ばれてほしいと。



 城一郎の言う「良い料理人」に遠いだけに、えりなはこの言葉を最もストレートな意味で学ぶべき立場です。
 己の才能である[神の舌]に頼った料理を自分のために振るうのではなく、えりなはもっと他者を思い遣った料理を「自分の料理」として確立していかなければなりません。
 そのためには、もっと世界の広さを知り、己の価値観や視野を広げる必要があります。
 料理を通して、自分は他者に何を与えられるか。
 ただ一人の人(城一郎)から、多くの人との繋がりへという“拡大”。
 それが彼女が「良い料理人」になる方法だと思います。


 そして恵は最も「良い料理人」に近くはあるものの、まだ乗り越えるべき試練はあります。
 仮に上記の予想が当たったとして、創真を尊敬するが故の「距離」を取るようなことになったならば尚の事。
 この作品の登場人物はそのほとんどが我の強い者ばかりですよね。
 そんな中、恵は最も我欲の無い子ですが・・・。
 私としては、恵にはもっと「我が儘」になって欲しいんですよ。
 ここもまた、えりなとは逆になるわけです。
 常に他者を思い遣ってばかりの彼女だからこそ。欲の無い子だからこそ。
 これから問われるのは我儘なまでに相手を求める気持ちだと思うんです。
 創真を「料理人」としてではなく、「一人の人間」として必要とする想い。
 沢山の大切な人達から、ただ一人の特別な人(創真)へという“集束”。
 
それが恵が「良い料理人」になるための最後のピースなのでは。



 そして。
 創真はというと―――

 私から見るに、創真は「良い料理人」の“本質”を既に習得しちゃってると思うんですよね☆
 これまでの考察の中で述べてきた通り、創真は「ただ一人の特別な人」の大切さも、「出会い」の大切さも分かっている子ですから。(^^)

 ではそうなると、創真の成長方向はどうなるのというハナシなわけですが・・・。
 単行本第6巻感想でも述べたことですけども。
 創真と城一郎は似た者親子ですが、「同じ」ではありません。


 創真は、彼にしか出来ない解釈で城一郎の言葉を超えていくと思うんです。

 そしてそれが、創真の最終目標のひとつである「父親を超えること」になるであろうと。

 その「可能性」の一端として、記念考察第二部(後編)を述べさせて頂いた次第です。





【総括】

 そんなこんなで、超長々と語ってきたこの三周年記念考察でしたが、ようやく書き切ることができました。
 大満足です♪
 そしてなにより、完結出来たのは見放さずに読んでくださった皆様のお陰です。
 ここまでお付き合いくださり、本当にありがとうございました!!



 最後に。

 ヒロイン達との恋愛、仲間やライバル達との友情、そして親子の愛情といった、多くの“絆”。
 そのほとんどが料理を通して描かれているわけですが―――
 その料理を作るのは、料理人の「手」。
 だからこそ
 それら“絆”の最たる象徴が



 えりなが心の奥底で惹かれている


 恵の心を常に支えてくれている

 

 

 

 

 

“繋がる手”と“重なる手”

 

 

 

 

 

 

 これら二つの「手」であるに違いありません。



 ストーリーのあらゆる部分に、大切な“鍵”がちりばめられているこの作品。
 そのを拾い集めていけば、キャラクターそれぞれの、そしてこの作品の、「これから先」が見えてくるような気がします。

 そして、いつか。

 料理においても。
 恋愛においても。
 
 最後には

 「ごちそうさま」

 と笑顔で見納められるような。

 そんな終着を心から願っています。(^^)

 


 


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『食戟のソーマ』三周年記念考察 ~主要キャラ達の恋愛的展望~(前編)

2016-05-05 22:00:00 | その他感想・考察

 本当にあっという間のように思えます・・・。



 今日5月5日をもちまして、このブログ【あまぐりころころ】は開設から三年目を迎えました―――!!!



 振り返れば色々な事がありました。
 楽しかったこと、苦しかったこと・・・。
 更新の遅さから自分に嫌気がさし、やめようかと思った事もありました。
 それでも・・・。
 やめられなかったんですよね~。
 やっぱり『食戟のソーマ』を語りたかったから。

 だから、私がブログを続けてこられたのは、ひとえに『食戟のソーマ』がずっと面白い作品でいてくれたお陰。
 そして何より、更新が遅かろうが休止していようが訪れてくださった皆様のお陰です。
 なんだかんだでここまでやってこれた以上、このブログを少し誇りに思ってもいいかな・・・?とちょっぴり思ったり。

 相変わらず更新は遅いままでしょうが、少なくとも『食戟のソーマ』で書きたいこと、やりたいことはまだまだま~だまだ残っていますので、当分は続けていくと思います。
 とりあえず、次は五年目を目指して頑張りまーす!!



 さて。
 三年目突入を記念してお祝い考察でも・・・と思ったのですが、もう一つの「お祝い考察」がまだ未完なんですよね。

 ハイ。

 もうほとんどの方がお忘れになっているでしょうが、『食戟のソーマ』の三周年記念考察の最終章をまだUPしていなかったという。
 昨年末に本作が三周年を迎えてから、もう半年も経っちゃったというね。

 あまりの不始末にもはやお詫びの言葉もありません。(|||orz|||

 (でもブログの三周年突入時に『ソーマ』の三周年記念記事を書けて嬉しいvとも思っちゃったり)

 ・・・こんなどアホな管理人ですが、どうかどうかこれからもお付き合いのほどを宜しくお願い致します。



 では気を取り直して、と。

 それでは長きに渡った(←ホントにね!!!)、『食戟のソーマ』三周年記念考察。
 今回を持ちましてようやく完結です。





 第一部では【主人公&ヒロインらについての再考察】
 第二部では【主要キャラクター達の料理人としての未来予想】[前半] [後半]
 について、それぞれ考察して参りました。

 その過程の中で、創真の「危うさ」を守る存在
 そして城一郎の云う「良い料理人になるコツ」について言及しましたが・・・

 最終章にあたるこの第三部では、それらを踏まえて
 【主要キャラ達の恋愛的展望】
 について、私なりの予想&考察を述べさせて頂きます。



 ・・・その前に少々注意点をば。

 この考察はあくまで一個人の勝手な憶測です。
 決してこの考察以外のカップリングを否定しているわけではありません。
 「このカップリングしか認めない!!!」という熱い思い入れのある方は、どうかこの考察はご覧にならないでください。

 それに加えて、随所でかなり手厳しい内容になる恐れがあります。
 アリス、そして葉山がお好きな方は特にご注意くださいますようお願いします。




 ・・・宜しいでしょうか?

 それではいざ、三周年記念のラストを締める考察を始めることにいたしましょう。





 この『食戟のソーマ』という料理バトル漫画はその強烈な「お色気リアクション」が最大の特徴となっています。
 ですが、そんな過激なリアクションとは裏腹に、実際のキャラクター達の恋愛描写は非常にピュアでイノセント。
 私はこの作品のそういう点を心から好いています。純愛最高。(^^)

 主人公の創真を中心にした、多くの魅力あるキャラクター達の群像劇がこの作品の面白味をより一層深めているわけですが、面白味を深めているのはそれだけではありません。
 それは料理バトル的要素が各キャラの恋愛模様にも関わっているところ。
 尤も、それは本編ではまだ潜伏的にしか描かれておらず、彼らの恋愛模様がどう展開していくかはその大部分が読者の予想に委ねられているわけですが。
 よって私も、誰が誰と結ばれることになるかを自分なりの見解と理由を付けて述べさせて頂くことにします。



 主人公創真が、えりな・恵・郁魅といった三大ヒロインのうち誰と結ばれることになるか。
 それが読者が最も注目している点でしょうが、私としては[創真のライバル三本柱(タクミ・葉山・黒木場)]も、それぞれの方向で創真とヒロインらの恋愛模様に関わってくると思っています。
 そういうわけで、まずは彼らについての考察から始めましょう。



 まずは黒木場から。

 黒木場のお相手として真っ先に挙げられるのはアリス。
 これは当然でしょうね。
 この二人は四六時中いつも一緒ですし、長きに渡る料理勝負を通して、確かな絆を育んできましたもの。

 もはや一緒にいるのが当たり前といった具合に、大変安定した仲である黒木場とアリス。
 一方でそんな彼らと同様に、同い年で、異性で、常に一緒にいる、そんなペアがもう一組いたりします。
 それが創真と恵。
 そして彼らは秋の選抜本戦第一回戦で、互いが互いのパートナーと対決しているという縁が。
 実はこれを取り上げたのは
 秋の選抜本戦での対戦図は単なるその場だけの盛り上げを狙ったわけではなく、これからの展開への布石であった
 
と私が捉えているからによるもの。

 これまでずっと「二人の世界」で互いに腕を磨き合ってきた黒木場とアリス。
 ですが、それは言い換えれば「二人の世界」からしか刺激を受けてこなかったということでもありました。
 そんな彼らが秋の選抜にて、アリスは創真から「温もり」を、黒木場は恵から「心」をと、きっとそれぞれが最も欠けていた刺激を受けることに。
 こうしてアリスは創真を、黒木場は恵を認識するようになったことで、彼らの「二人だけの世界」は広がることになりました。
 黒木場とアリスがお互いのパートナー以外で初めて認めた「異性の料理人」。
 それが創真と恵だったこと。
 この因果関係はいずれ、「料理人」としてだけでなく、一人一人の人間模様にも何らかの影響を受け合うのではないかと推測しています。
 特に・・・。
 これは小説版第三弾における黒木場とアリスのエピソードのラストで仄めかされている事ですが、黒木場は創真にとっても超重要な、“あるファクター”に憧憬の念を密かに抱いているキャラです。
 そして恵はその“あるファクター”を強く持っているキャラだという。
 個人的にこれは非常に重要な点として、注目しています。

 一番恋愛関係に近いように見えて実はこのペア、中々厄介な問題を抱えていたりするんですよね。
 その要因は主にアリスの方にあります。
 黒木場とあれほど親しく、今や実力も拮抗しているというにも関わらず、アリスは「主従」という関係を保持したまま。
 それもその筈。
 アリスは「主従関係」という黒木場との間柄に甘えているから。
 港町のパブという辺境にいた黒木場を拾い、外の世界へ連れ出したアリス。
 その事実から、黒木場が評価されればされるほど、そんな彼の才能を見出した自分の株も上がると思っているという。
 「主」である以上自分は黒木場よりも上。
 
そういう定義から
黒木場を自慢に思う一方で、自分自身の格も誇示しているアリス。
 ですが、それはえりなと比較されることで抱いていた自身のコンプレックスに対する誤魔化しにすぎません。
 彼女自身はそれを自覚していない事でしょう。
 それ故に今の居心地の良さに満足してしまい、今の関係から進もうとしないし、進みたいとも思っていないというわけです。

 そして。

 アリスのこの考えは、葉山とも共通しています。





 前回の考察にて、葉山の汐見に対する想いは附田先生によるミスリードではないかと考えていることを述べました。
 それについていざ、ガチで語らせて頂きます。

 主要人物の中で、最も「大切な人」への想いがしっかりしている葉山。
 葉山にとって汐見は本当に心から大切に想っている人であり、かけがえのない存在なのでしょう。
 その点に関しては、私も何の疑問も抱いてはおりません。

 ただ。

 


その想いは果たして「恋愛感情」なのでしょうか?

 

 

 これで葉山が創真やタクミのように幅広い交友関係を持つ人物だったならば、私は何の疑問も抱かずに葉山の想いを「恋愛感情」と受け取っていたことでしょう。
 ですが、葉山にはこれまで友人と言えるような存在は誰一人としていませんでした。
 これは三周年記念考察:第二部(前編)でも述べていますが
 葉山は極端に人間関係が狭い子なんですよね。
 
 同年代の子達との交流を図ってこようとせず、助手としての務めに邁進していたのも。
 自分の天賦の才である「嗅覚」を活かす料理をひたすら磨き続けているのも。
 遠月学園で頂点の座を目指しているのも。

 全ては汐見のため。

 何故ならば
 自分の名が上がれば、スラムに埋もれていた自分を見つけ出してくれた恩人であり上司である汐見の名も上がるからと考えているため。
 そう、これがアリスと共通している考えなのです。
 アリスは「上」の立場から、逆に葉山は「下」の立場からこの考えを相手に対して抱いているわけですね。

 「人」とさえ扱ってくれないような劣悪な環境から自分を救い、人生を照らしてくれた汐見。
 彼女に対する葉山の感謝の思いは、恩義は、それこそ言い表すことなど出来ないほどのもの。
 だからこそ、言葉でなく献身という形で汐見への恩に報いようとしているわけです。

 ですが、個人的恋愛観から言わせてもらえば

 「献身」は「恋愛」ではありません。


 汐見のためだけでなく、自分が汐見の傍にいるためにも。
 ずっとずっと、ひたむきに努力を重ねてきた葉山。
 ですが、そんな彼の姿勢は私にはこう見えるんです。
 同年代のキャラの中でも葉山はかなりクールで大人っぽい子ですが・・・彼もまた、奥底に「子供」を抱えている人物なのではないのでしょうか?
 幼少時代の環境の過酷さから、「大人」にならざるを得なかった葉山。
 汐見の傍にいることにあれほど固執するのも、汐見の傍にしか自分の居場所を見いだせずにいるからなのでは。
 それは言うなれば、親元を離れるのを怖がる子供の気持ち。

 要するに。

 葉山は物凄い「親思い」な子なんですよね。


 身体だけでなく、心も酷く“飢えていた”葉山。
 だからこそ、そんな自身の“飢え”を満たしてくれた汐見への想いは、本当に一途で強いものとなったわけです。
 読者が「恋愛感情」と見紛うくらいに。

 ですが、果たして当の汐見は葉山が自分に尽くしてくれることを望んでいるでしょうか?
 答えは否。
 自分のせいで葉山を追い詰め、縛り付けているのではないかと負い目に感じています。
 汐見としてはやはり「親」として、葉山自身が「己の幸せ」を見つけ出すことを望んでいるんですよね。

 メタ的に見ても、ただでさえ二人は強大な「恩義」による主従関係で繋がっているというのに、更にそこに「恋愛」という関係性まで繋がってしまったら・・・
 葉山の“世界”は非常に狭いままで終わってしまうことに。
 汐見と同様に、私も葉山にはもっと“己の世界”を広げてもらいたいと願っています。もっと自由になってもらいたいと。
 だからこそ、葉山と汐見は結ばれるべきではない。
 これが私が葉山と汐見のカップリングに異を唱えている理由です。


 では、そんな葉山は誰と結ばれるであろうかというと・・・

 それは新戸。

 (あ、今「え~~~!?」っていう声が聞こえたような/苦笑)

 互いに「主」に対して強い忠義心を持っているという共通点があるこの二人。
 そして料理の得意ジャンルもまた、葉山は「スパイス」という香辛料、新戸は「薬膳」という生薬の使い手という、結構似た分野だったりします。
 そしてこの二人もまた、秋の選抜本戦でぶつかったという縁があるんですよね。
 勿論私がこのカップリングを推す理由はこれだけではありません。

 “世界”が狭いというのは葉山も新戸もお互い様でしたが、葉山は「ある人物」のファクターも大きく持っている子です。
 その人物とは、えりな。
 えりなのファクターを持つキャラは数多くいますが、中でも葉山はえりなの「危うさ」を最も色濃く持つキャラだと思っています。
 そして新戸はそんなえりなをずっと支えてきた人物だという。

 加えて、作者から「菜切り包丁⇒薙切」という姓をつけられたであろうえりなと同様に、新戸は砥石の「荒砥」が語源と推測。
 このことからも、えりなにとって新戸は必須の存在といえるのですが・・・。
 ひょっとしたら葉山の姓も、「スパイス⇒葉」ではなく、「刃⇒葉」を語源としているのではないでしょうか?
 実際、葉山は「刃」のように鋭く突き刺す子ですしね。

 そう捉えてみると、葉山にとっても新戸の存在は必須になり得ると考えられるんです。
 しかも「荒砥」は「刃」が欠けた時の修正に用いられるそうですよ。
 
 新戸は恵に負けず劣らず“あるファクター”を強く持っている子です。
 そんな新戸だからこそ、葉山の「危うさ」をしっかり支えていける筈。
 そして葉山も、そんな新戸に汐見とは違う安らぎを抱けるような気がします。





 最後はタクミですが・・・。
 小説版などで記されていますが、彼は[イケメンカルテット]中で最もモテながら、最も女性付き合いが浅い子です。
 それもひとえに、料理人の道を邁進するのに「恋愛」は必要でないと考えているため。
 あと、本人が“ライバル”の事で頭一杯だしね(笑)。

 本人が色恋沙汰に興味が無いことに加え、特に親しい異性もいないタクミは、最も「将来の大切な異性」を推測するのが難しいと言えます。


 ・・・が。


 見付けてるんですよね~~~これが☆


 一体誰かというと・・・。


 郁魅。


 (ああ・・・、「えええーーー!!??」という声が聞こえる・・・/大苦笑)


 なんで郁魅かというと・・・


 まあ、ぶっちゃけ「女の勘」です。(核爆ドッカーン)


 私って結構、男女のカップリングに関しては最初の第一印象を大切にしてるんですよね。
 タクミと郁魅が初めて出会ったのは地獄の合宿時(第28話)。
 そこで双子かと言わんばかりに息ピッタリと創真に詰め寄ってましたよね、この二人(笑)。
 このシーンは今でもお気に入りですが、当時目にした時インスピレーション的に思ったんですよ。
 「あ、この二人良いコンビになりそう☆」と。
 実際、創真を介すると意見が合いまくってますしね。(^m^)


 郁魅は良い女です(唐突)。

 ハッキリ言って、この作品中で最も幸せになって欲しい女の子は誰かと問われたら郁魅と答えます。
 それぐらい彼女は良い子ですもの。(^^)
 あ、幸せになって欲しい男の子は誰かと問われたら勿論創真と即答しますよ。当然。(言ってろ)

 それぐらい郁魅を気に入っているからこそ、思うんですよね。
 彼女の「女の子の部分」を大切にしてくれる相手と結ばれて欲しいと。
 小西先輩も良い人ですし、この二人のやり取りも結構好きなのですが・・・、小西先輩とだと郁魅はずっと「強い自分」のままでい続けなければならなくなる思うんですよね。
 郁魅は本質的にも強い子ですし、頼られることを重荷に思うような子ではありませんが・・・、やっぱり私としては、彼女の繊細さを理解し大切にしてくれる相手の方がお似合いなんじゃないかな、と思うわけです。

 自分の威嚇にも全く動じないという骨のある男であり、自分を「女の子」として見てくれた。
 郁魅が創真を好きになった切っ掛けは、それでした。
 そしてタクミも、そんな創真と似ている子です。
 内外共に本物の“紳士”なタクミなら、きっと郁魅を幸せにしてくれる、そう確信してます。(^^)





 こうして[創真のライバル三本柱]を中心にこれからの恋愛的展望を語ってみましたが、如何でしたでしょうか?
 ・・・もし、
仮に上記の予想が当たったとしたならば。

 恵を通して創真や黒木場が自分の内心と向き合うことになる筈。
 その際に、彼らの関係はどう変わることになるのか。

 これまでえりなを最優先に守り、ずっと傍にいてくれていた新戸が、想い人が出来ることで離れてしまったならば。
 えりなの動揺はきっと大きいことでしょう。
 果たしてその時に、一体誰が彼女を支えるのか。

 タクミと結ばれる前に、郁魅は必ずや自身の想いに決着を付ける筈。
 その時、創真は果たしてそれをどう受け止め、「大切な人」について彼がどう考えるようになるのか。

 城一郎が掲げる「良い料理人になるためのコツ」。
 それは城一郎から言われずとも、創真の周りにいるライバルや仲間達が教えてくれることでしょう。





 あ、ちなみに肝心の創真とメインヒロインらに関する考察については・・・。

 ちょいと今回の考察が長くなってしまったため、次に持ち越すことにします(核爆)。


 


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『食戟のソーマ』三周年記念考察 ~主人公達の料理人としての未来予想~(後編)

2016-02-01 00:00:00 | その他感想・考察

 さて、それでは引き続き三周年記念考察の第二部後編を語らせて頂きます。
 昨日の前編では主にこれからの「食の舞台の移行」、そして「ライバルやヒロイン達の料理人としての成長方向」について考察しました。
 今回はいよいよ主人公創真の料理人としての成長方向について考えてみたいと思います!



【主人公創真の料理人としての最終スタイル】

 この料理漫画の主人公であり、世界観そのものである『幸平創真』。
 そんな彼の料理への姿勢は最初から強烈なものでした。(本当の本当に初っ端から!)
 誰もが避けて通るような奇抜な食材の組み合わせに挑む気概。
 そしてそんな壮絶に不味い失敗作さえも笑って楽しむ姿勢。
 料理漫画として非常に異端と言えるスタイルでしたが、それがまさかこれほど深い価値観に昇華されるとは・・・!

 ストーリーが進むにつれて創真のその姿勢は
 偏見や固定観念に囚われない自由な発想
 失敗からの学習
 試行錯誤によって積み重ねられた自信
 という、料理人として非常に前向きで崇高な信念に繋がっていたというのが立証されていきます。

 そんな無限の可能性を感じさせる創真の料理ですが、このままでは“頂点”に届くことは出来ないという現実にぶつかることに。
 それが秋の選抜編での葉山との闘いでした。
 この章で創真は「自分自身の料理」について見つめ直すことになるわけです。

 葉山が勝利した理由、それは汐見への想いを通すことで「己の料理」を最も深く追求したためでした。
 自分の名前はおろか、両親の顔さえ知らなかった葉山。
 つまり彼は、自分のルーツが虚無だったという。
 だからこそ自分の価値を見出し、人生を照らしてくれた汐見への想いを料理にのせることは自分の全てをのせることと同義だったわけです。

 対して創真は、そんな葉山に及びませんでした。
 何故なら、これまでの自分の料理は城一郎の後を追っていたものにすぎなかったからという。
 「父親(城一郎)を超える」という、創真の最大の目標。
 その志が逆に「創真自身の料理」を曖昧にさせていたというこの事実は、皮肉でありながらも非常に大切な事だったと思います。

 この敗北によって、創真は「自分自身の料理」、ひいては「自分にしか出来ない料理」を探っていくことに。

 

 

 

 ですが。

 

 

 

そもそも、創真は「自分自身が何者か」ということを全然知らないんですよね。

 

 

 

 強気で堂々とした言動から普段は全くそれを感じさせませんが、創真は主要キャラの中でもかなり自分自身のルーツが不明瞭な子です。
 現在のところ彼の血縁で明らかになっているのは父親の城一郎のみ。
 母親はおろか、祖父母の存在さえも一切明かされてはおりません。(実際、創真は祖母を知らないことが作中でも明記されています/第65話

 そんな不明瞭な背景を抱えていながらも、創真は登場人物中でもトップクラスの安定した人格者であり、とても明朗かつ社交性豊かな人物です。
 それは、それだけ創真がこれまでの人生で温かい愛情を沢山受けてきたという証。

 父親から。

 店の常連客達から。

 そして・・・。



 「ただ一人の人との出会い」だけでなく、「多くの人々との出会い」によって今の自分があることを分かっている創真。
 「意志の強さ」としては葉山に敵いませんでしたが、「意思の安定さ」においては創真の方が遥かに上です。
 成長とは、土台が安定していてこそ伸びるもの。
 遠からず、きっと創真は葉山の鼻をあかしてくれることでしょう。(※「上手いこと言った!」みたいな顔をしております)



 「自分自身」を知るには「自分のルーツ」を知ることも必要不可欠。
 それに繋がる手掛かりを、創真は次の章であるスタジエール編で掴むことに。
 それに大きく貢献してくれたのが、もはや言わずもがなの四宮師匠
 原点頂点を共に見据えた四宮の姿勢に創真は大きく感銘を受けるわけですが・・・。
 もう一つ、四宮は創真のこれからの料理スタイルを考察させるうえで、非常に重要なヒントを教えてくれました。
 それが「ゴボウにまつわる史実」。第113話

 フランスと日本、両国の文化にふれている自分にしか作れない料理。
 国と国との溝を埋める料理。

 それが『四宮小次郎』という料理人の志。
 そしてそれは、タクミが抱いている志とも酷似しているという。

 四宮という師匠。
 タクミを始めとしたライバル達。
 そんな彼らの志と、創真の人間性から考えれば・・・

 

 

 

 

 

 

全ての隔たりを取り払う料理。

 

 

 

 

 

 

 それが「創真だけの料理」になるのではないでしょうか。

 技法的には
 日本の馴染み深い料理をベースに、様々な分野の食材や技法を融合させた革新的な料理。
 そして世界に「日本の食」の良さを伝えると同時に、各国の食文化の素晴らしさもまた引き立て合えるような品。


 そして信念的には
 文化や宗教、身分や人種の差に留まらず、言語や思想といったありとあらゆる垣根を越えて、世界を、人々の心を通わせる料理。
 その料理を前にすれば、皆が笑顔で食卓を囲める。

 それが創真の最終的な料理スタイルとなることでしょう。

 立場の差など一切気に留めず、誰にでも平等に、真っ直ぐかつ温かく接する創真。
 そんな創真だからこそ、彼はきっと「世界を繋げる料理人」になってくれるに違いありません。





【創真と“頂点”と原点”との因果関係】

 こうして見ると、秋の選抜編とスタジエール編は創真の料理人的成長を見据える意味で大変重要な章だったことが分かりますね。

 ちなみに。

 この二つの章には、創真の料理人性のみならず人間性を語る上でも必須の“鍵”が組み込まれていました。

 それは

 

 

 

 

 

 

 

 

母親。

 

 

 

 

 

 

 

 秋の選抜編で美作との戦いの際にえりなが評していた、創真の料理の味付け。

 それは

 

 

 

 

 

創真の料理の味はとても優しいということ。

 

 

 

 

 

 

 そんな創真の優しい味付けは「大衆食堂の味」であり、言い換えれば「おふくろの味」。
 つまり。

 






 創真の料理のは母親譲りということです。

 

 

 

 そしてスタジエール編で明らかにされていた、四宮が料理人を目指すことになった動機。

 それは「母親の笑顔」でした。

 私から見て、四宮という人物は「遠月学園という舞台を去った、かつての主人公」です。
 そんな「かつての主人公」の根源が“母親”であったならば、「現在の主人公」もまた。
 そう考えています。



 敵さえも屈服させる「膂力」という強いをその料理に宿す創真。
 その一方で創真の料理は食べた相手を笑顔にさせ、和やかさや楽しさを与えてくれるといった、とても温かいが込められているものでもあります。

 恐らく創真は[修羅]と呼ばれた城一郎の、そしてそんな[修羅]さえも変えた母親の両方をその料理性として受け継いでいるのでしょう。

 ・・・いえ、創真の内面から考えるに、むしろ母親からの影響の方が大きいとさえ言えるかもしれません。



 「いつか超える」という創真の最終目標であり、型破りで破天荒かつ自由な料理スタイルは父親から。
 「『ゆきひら』を背負って立つ」というもう一つの最終目標にきっと深く関わっており、料理というものにおいて最も基本かつ重要なものである”は母親から。

 それぞれを譲り受けている創真。
 創真の料理人性を「世界」という頂点と「家庭」という原点とに二分するならば
 父親は頂点、そして母親は原点の象徴
 と言えましょう。



 そして
 それら頂点原点は、メインヒロインであるえりなと恵を象徴するものでもあるわけです。





【『食戟のソーマ』という料理漫画における「良い料理人」の定義】

 ここまでの考察で、創真の料理人としての成長には[三大ライバル]や四宮の存在が大きな刺激になることが窺えます。
 ・・・本当に出世したなあ~~~四宮・・・。(しみじみ)

 ですがやはり。
 創真が良い料理人として如何様に成長していくかを考察するうえでは、どうしても欠かすことが出来ない事柄がありますよね。
 それは勿論。
 第一話ラストで城一郎が掲げていた「良い料理人になるためのコツ」。

 

自分の料理の全てを捧げたいと思えるような女性と出会うこと。

 

 この概念が提示されたからこそ、この作品は料理面だけでなく恋愛面においても大きな注目を集めることに。
 実際に料理人像として見ても、えりなは食の世界における“頂点”そして“力”、そして恵は故郷の味という“原点”そして“心”を、大きなファクターとして持っている料理人です。
 その意味でも、メインヒロインであるこの二人は創真の料理人としての成長に必須の存在と言えるわけですが・・・。

 この概念は創真だけでなく、えりなや恵自身にも、そして[三大ライバル]にとっても大きな意味を持つものなのではないでしょうか?

 私がそう思うようになった切っ掛けは、秋の選抜決勝で描かれていた葉山の意志。
 あの時の葉山の姿は、まさに城一郎が提示していた「コツ」そのものでした。
 実際その志によって秋の選抜を制したこともあり、現状のところ葉山は一番城一郎の言う「良い料理人」に近いように見えます。

 

 

 

 

 

 ・・・。

 

 

 

 ・・・・・。

 

 

 

 ・・・・・・・・・・。

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

 

 

 

 

 



果たして本当にそうでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 実は私個人としては、これは読者に対する附田先生の非常に巧妙なミスリードだと思っています。



 

 それについては最終章である記念考察第三部の方で説明させて頂きます。
 それを説明させて頂くにあたり、この「コツ」を私なりの解釈で述べさせてもらう必要がありますので。



 「自分だけの料理」。
 それに関わる「自分だけの大切な人」。

 創真がいつの日か築き上げるであろう【スペシャリテ】。
 それは、きっと。

 

 「世界」だけでなく、いずれヒロイン達が創真に置いてくるであろう距離も取り払ってくれる。

 

 そんな料理になる。
 そう断言します。

 

 

 

 

 

 頂点原点が巧妙に関わり合っている創真の料理ですが、最も中心にあるのは創真自身の気持ち。

 この先創真がどんな成長を遂げ、どう変わろうとも

 

 

 

料理を楽しみ続けて欲しいです。

 

 

 

 料理を創ることを

 自分の料理を食べてくれることを

 楽しく思う気持ち。

 

 

 

それが『幸平創真』という料理人のですから。

 

 

 

 


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