週刊少年ジャンプ2014年6・7号掲載。
掲載順第5位。
第53話 【寒い国からやってきた男】
番外編が挟まれたものの、アリスのお付きが93点という、新戸をも超える高得点を叩き出した所で終わった前回。
そんな今回の始まりはというと―――過去の回想から。
雪の降る異国の港町。
10歳そこそこくらいでしょうか?お付きくんに自分についてくるよう声をかける、幼き頃のアリス。
広大な美食の世界を見せてあげると―――
時は戻り、現代。
創真達を応援するため、揚げ物コンビ(ああ名前で呼んであげたいっ)はAブロック会場へと急いで向かっていました。
着いたところ・・・。
大盛り上がりだったBブロックとは打って変わって、静寂で冷えまくりな雰囲気。
Aブロックの司会進行を務めていたのは、「佐々木由愛」。
新キャラですね。
腹黒アイドルキャラな川島麗とは全く違い、気弱な臆病さんといった感じの子です。
どうしてこんな引っ込み思案そうな子が司会に選ばれたのか謎ですが、川島からライバル視されていたりするのでしょうか。
気まずい雰囲気の元凶となっていたのは、千俵なつめのスパルタ判定。
既に10人近く審査しているというのに、まだ1点も出していないという酷評振りだったのでした。
妹のおりえもそれなりに厳しい評価を下す人でしたが、どうやらなつめはそれ以上のようです。
どうやらその厳格な態度は、カレーに対しての妥協の無さ故のよう。
・・・ということは、第1巻でえりなが見せていた料理人への厳しい態度も、料理への妥協の無さからだったのでしょうかね?
だからと言って、料理を無残に投げ捨てて良い理由には全くなりませんけども。
ナチュラルに出てきたけど、
創真久し振りーーーーー!!!(><。)
第51話(実質的には第50話)から約一か月間。
会えない間どんなに辛かったことか・・・!
そのヘラ顔、ほんと見たかった!!
そして審査は次の選手へ。
その人物こそが、アリスのお付きこと「黒木場リョウ」!
これまた新戸と同じく、長い間不明だったわりにはサラリと名前が明かされましたね。
・・・やっぱり「海老沢」じゃなかった(苦笑)。
そんな彼が出したカレーは、調理中(第48話)の様子から推察されていた通り、伊勢エビのカレーでした。
予想通り過ぎる程の品でしたが、豪快な調理の様子からは想像もつかないような繊細優美な仕上がりとなっていました。
う~ん、伊勢エビの赤、サフランライスの黄色…。
これはカラーで見てみたいなあ~。
なつめの隣に座っている、イギリス紳士のようなお髭の審査員は、そう丁寧かつ親切なコメントをしてくれてます。
温厚そうなおじ様ですね~。(^^)
とはいうものの、伊勢エビカレーなど珍しくも何ともないわけで。
ただの魚介カレーでは話にならないと言いながら、なつめは口にします。
その途端。
深い森の香りに包まれます。
これまで出された料理は一口しか食していなかったなつめでしたが、その正体不明の香りに悔しそうながらも二口目を口にすることに。
その反応はというと・・・。
「ふにゃあああ・・・」
トゲトゲだった女王様が、トゲを抜かれた・・・どころか骨まで抜かれてしまいました(笑)。
カレーのベースとなっているのは、甲殻類の殻から作られる「アメリケーヌ・ソース」。(←美味しいソースですv)
そして一番印象を与えた森のような木々の香りはブランデーの「コニャック」によるものでした。
ちなみに私、「フレンチカレー」というものまであるなんて全然知りませんでした★
フレンチカレーとは、小麦粉などのルーを使わず、かといってスープカレーとも違う、香味野菜とスパイスのとろみによる、フランス料理の手法で仕上げられたカレーとのこと。
私もまだまだ勉強が足りないな~。
そんな光景を上の客席から観察していたえりな。
司会はしていなかったものの(笑)、Aブロックにいたのでしたか。
そんなに創真が気になるのでしょうかね?(笑)
というのは半分冗談で(←半分?)、黒木場の実力にも興味があった模様です。
やっとまともに評価される品が出たな、と余裕で笑む郁魅。
郁魅に会うのも久し振り。相変わらず可愛いね。(^^)
ですが、創真は黒木場の料理にはまだ何かがあることを、直感的に気付いていました。
さっすが創真!!!
ほんと鋭い!!
実際、創真の直感は的中でした。
これなら点数をつけても・・・いいかもねと、ツンデレ気味になりながら採点に入ろうとするなつめ。
ですが黒木場はバンダナを巻いてギラギラモードに突入。試食を終えるのはまだ早いと言い始めます。
なつめ:「それ一々やらなきゃ駄目なわけ?」
ごもっとも。
そして黒木場は審査員達にコニャック入りのスポイトを渡します。
伊勢エビの頭の中にある海老ミソにそのスポイトでコニャックを垂らし、ミソを啜れと指示する黒木場。
その言葉に食欲が煽られるものの、啜るなんてはしたない真似など出来るわけがない、と反抗するなつめ。
そんななつめに黒木場は・・・
「なにすましてんだ?」
「目ぇ見りゃ分かんだよ…」
「本性みせてみな」
「本当は今すぐむしゃぶりつきたいんだろ?」
うわ~~~~~おぅ☆
どっかの誰かに負けず劣らずの言葉攻めで御座います(滝汗)。
確かにすましてちゃ味わえない美味しさってありますものね。
その反面、料理人たるもの喫食者が食べやすいように提供するのも、とても大事だと思いますが。
さっきまでと比べ物にならねえ美味さだぞ、となつめに迫る黒木場の口元。
第1話のドS全開な“彼”の口元に重なってしょうがありませんでした。
その言葉にトドメを刺され、なつめの虚勢ももはやここまで。
涎(海老ミソ?)を垂らしながら伊勢エビを啜るは、ご飯粒を付けながらサフランライスをがっつくはで、欲望丸出しの痴態を晒します。
しまいには
ふにゃふにゃになりながら宇宙へと飛び出しちゃいましたー(笑)。
エビ形ロケット&宇宙服で宇宙へ飛んでいったなつめ。
これほど大々的に機械が出てきたのは初めてかも。
ISE-AB・・・イセエビ・・・(爆笑)。
そうして出された得点は93点!
えりなも黒木場のこの高得点には驚きを隠せないようです。
Bブロックでは貞塚という中継ぎがいたけれど、こっちのAブロックでは低得点の流れから急に高得点が叩き出されたわけだしね。
Aブロックは葉山の一人勝ちだと思っていたのに、とんでもないダークホースが出てきたとざわめく観衆。
これまでの気まずい雰囲気から、ようやく盛り上がってきた模様です。
物心ついた時、既に食の戦場に放り込まれていたと言う黒木場。
此処はヌルいと。
観客達:「アイツの93点を超えられる奴なんて出てくるのか!?」
出てきますね。(ドきっぱり)
まだ90点後半という空きがありますもの。
葉山がいますもの。
創真がいますもの!!!
そうして前回のラストへと繋がっていくわけですね。
黒木場と対峙する創真かっこよすぎる・・・v
前回までのBブロックの模様から場が移り、今回からはAブロックの模様が描かれ始めました。
そんなAブロックのスタートを切ったのは、アリスのお付きこと黒木場リョウ。
料理だけでなくアリスとの出会い、そして創真に匹敵するドSっぷりを見せてくださりました。
そんな彼のキャラクターを立たせる存在として、審査員長の千俵なつめがターゲットにされてしまっていましたが、やっぱどっかのお嬢様のような高飛車女王様キャラを屈服させる様は、見ていて気持ちがいいですね~♪(※Sうさぎ出現中)
伊勢エビを扱っていたことから魚介類が得意分野かと推測していたのですが、どうやら黒木場の本当の得意ジャンルはフランス料理のようです。
ということは、タクミや北条と同じく、得意ジャンルが国籍タイプの料理人のようですね。(吉野や榊、郁魅らは食材タイプ)
調理の様子は豪快でありながら、出来上がった料理は繊細優美。
キャラクターと同じく、その料理も「ギャップ」が特徴となっていますね。
そんな黒木場。
創真に負けず劣らずのドSキャラということが発覚となりましたが、私個人としては創真のドSさの方が好きですね。(ドSドSと連呼してゴメンナサイ)
創真の攻め方はスジが通っていますから。
相手の方から侮辱したり見下したりしてこない限り、挑発するような発言はしない。
むしろ、どんなに怒りを抱いた相手であろうが、あくまで「客」として捉えている。
創真のSっ気が一番発揮されていたのは個人的に第一話だと思っていますが、それでも出した料理は食べやすいよう切り分けられていましたからね。
父親にも「ちょっと無礼なお客様」と伝えていましたし。
怒らせると大変なことになるけど、いつだって、誰にだって“温かい”んです、創真の料理は。
そんな創真の料理と比較すると、黒木場の料理は食べる相手への思いやりが少々欠けた料理と言えるかもしれません。
でも、そんな黒木場について一番気になったのが、今回の最初と最後で明かされていた事実。
物心つく頃から「食の戦場」にいたという黒木場。
ということは、創真やタクミと同じ・・・?
・・・じゃないですね。
創真やタクミが身を置いていた「食の戦場」は“実家”。
厳しくも温かい世界だったことでしょう。
でも、黒木場は・・・。
顔中にあった傷、アリスに「狂犬」と言われた殺伐とした雰囲気。
彼はもっと剣呑な、冷酷な食の世界を生きてきたのではないでしょうか・・・。
そんな彼を「外の世界」へと連れ出したのがアリス。
新戸に比べてあまり主への敬いが見られない黒木場ですが、その絆は同等、いえ、それ以上かも。
えりなと新戸との絆より、アリスと黒木場との絆の形の方が個人的には興味深いですね。
この作品は、他のキャラクターと比較することでより深い部分が見えてくるのが、凄く面白い所だと思います。
さて、次回は一体誰の審査となるのでしょうか?