司馬遼太郎対話選集〈3〉日本文明のかたち 単行本 – 2003/1
司馬 遼太郎 (著), 関川 夏央 (監修)
山本七平 「正義は悪魔である」説について
— 奄美海風荘 (@amami_kaihu_so) 2017年6月17日
あれは『旧約聖書』なんですよ(略)悪魔の最初の定義が「神の傍らに立って、人の悪を告発するもの」というんですね(略)正義という普遍的なものを人間が使ったときに、使ってる人間の動機というのは悪だ。こういう分析をやるんですね、彼らは。対談司馬
本書前半のドナルド・キーンとの対話はいい感じだったが、意外にも初対談
という山本七平とは、かみ合っていない感じ。解説にもそうあった。しかしそれが
西洋と日本史の組み合わせで、深く考えさせられる視点を提供している。
↑上のツイートは、日本人とリアリズムの項で
リアリズムなき日本人
田中角栄と日本人
につづく
日本に聖人と天才はいらない
のところで山本が述べたもの。
その前に
田中角栄と日本人
のなかの、なぜ合理主義は生まれないのか の
代議士と金銭感覚
司馬「大阪の人間は、アメリカという国が強いんだから戦争しちゃダメだ、とすぐ考えるんです。ところが、弥生式時代以来の純農地帯から出てきて高等文官の試験通った連中とか、大陸へ行った連中は、貨幣経済が作りあげた意識を持っていない。貨幣経済がなければ、合理主義はなんにも生まれないんですね。合理主義は紙の上のじゃないんですもの。そこから出てきたやつが、天皇制のもとで、異常な愛国心だけで出世していこうという。暗記ものと天皇制と異常な愛国心だけで出世してきた連中だから、太平洋戦争なんかすぐはじめちゃいますよ。
これは二二六の将校の発想を言っている。
司馬「二宮尊徳さんですね。金を敵(かたき)としている限りは、近代社会は出来上がらないはずなのに・・・・。
司馬「ぼくは、まったく拝金主義じゃないし、金銭勘定のできない人間ですけれども、貨幣経済というものが社会を成立させなければ、われわれの社会には合理主義がいつまでたっても生まれない。その結論をいうために、いまこうしてわれながらおかしいほどの熱心さで(笑)しゃべっているわけですけど。
今は時事問題で他人の意見をみようと思えばSNSなどで、様々な事実、意見、主張を簡単に垣間見ることができる。こうして昔の識者の時事問題に関する見方、考え方を本でたどってみると、今に通じる本質的な見方に、よく出くわす。それは自分の想像力のおよぶ分野、範囲に限られるわけだが、知らない対談(対話)相手によっても、司馬遼太郎の新たな見方を発見させらる。
amazon 内容紹介
この国への熱い想いを語る。
「この人ほど少年のころの彼を容易に復元できる人に接したことがない」と司馬が書く、ドナルド・キーンとの四半世紀に及ぶ交友のきっかけとなる対談は、まず平城京跡から奈良ホテルへ、そして京都、大阪へ移って3回にわたり行われた。1972年に出版されロングセラーとなったD・キーンとの対談「日本人の日本文化」ほか、アレックス・カー、山本七平との対談を収録。
文藝春秋 586ページ