忘れられない映画

俺が小学生くらいの頃にテレビで一回だけ観たことのある映画があった。
妖怪伝説にまつわる日本の古い映画だ。

ストーリーについては、切ない（悲恋もの？）としか憶えておらず、細かい部分は全く思い出せないのだが、映画全体を通して使われる暗い影と、その影の中から浮かび上がる原色が醸し出す妖麗な映像美が印象的な映画だった。
その中でも鮮烈に俺の脳裏に焼き付いているのが、映画のラストの洪水のシーン。
全てを無に帰した後に、滝のように流れ落ちる水。その滝の上流のほとりに小さく佇む半壊のお堂。そこに絶望的に立ちすくみ、そして崩れ落ちるように跪くたった一人生き残った男。

もう一度、この映画を観てみたい。と、長年思っていたら、今日ついにそれがなんという映画だったのかが判ったのだ。
映画の題名は『夜叉ヶ池』。原作は泉鏡花だそうだ。

ただ、Wikipediaによると、権利関係の問題があるとかでこの映画のソフト化は2050年まで絶望的とのことらしい。
2050年てなんだよ。42年後じゃん。俺は、生きてるかどうかもわかんねーじゃねーか。
この映画、せめてもう一度だけでいいから観たかったのに、悲しいことこの上ないな。。
仕方が無いので、Amazonで原作の小説を注文したのだった。