2014年ベストアルバム発表おくれやしてごめんやしておくれやす~うピヨピヨ!
これまで一月中には絶対間に合わすことを心がけていたんですが、年賀状出したのが一月末になってしまうほど齢を重ねるごとに何事にも億劫になってしまった今日この頃今日子とネンゴロ。
めっきり新譜を買わなくなって年々選出作業が困難にはなっているんですが、それでも昨年買った新譜は10枚を越えました。
ただ、あまり豊作とは言えない年でしたね。その中から消去法で残ったのがこの5枚といったところでしょうか?いや、みんなそれなりに気に入ってますよ。
第一位:『ナマで踊ろう』 / 坂本慎太郎
2位の上原とどっちを一位にするかかなり迷った。どっちが全体的にスマートなデキか、ジャケがいいかの総合評で軍配があがったのが坂本くん的終末思想ポップコンセプトアルバムというべきソロ第2弾。
何も考えなくても(考える必要がない)坂本くんの素朴なメッセージ、キャッチーなメロディ、サイケデリックな虚無感、そういったものが、スティールギターの音色とともにゆる~りふわ~りと頭の中に入ってきて、脳内はもうトコロテン状態。
哲学者ぶった気どり屋インテリロッカーや、小難しい文学や偉人の言葉を拝借してわかったような口ぶりで謳歌する押しつけがましいシンガーソングライターよりも、坂本くんの紡ぎ出す独特のフレーズは美しく頭にスッと入ってくる。
「シンプル・イズ・ベスト」なんて言葉で持てはやされているアルバムってゴミ程あるが、そういうのは坂本くんくらいのセンスがなければただの平凡で退屈な音楽ですよ。
坂本くんはそこに実にユニークなギミックをフンダンに取り入れて我々の耳を楽しませてくれる。それもやりすぎず、ちょうどいい感じに。
ナマで踊ろう
◆第二位:『ALIVE』
/ Hiromi THE TRIO PROJECT feat. Anthony Jackson & Simon Phillips
上原ひろみ&アンソニー・ジャクソン&サイモン・フィリップスの日米英の先鋭たちが繰り広げる、前代未聞の超絶インプロヴィゼイションユニットプロジェクトの第3弾。
正直、始めは全くハマらなくて2~3ヵ月放置状態だったが、ある日突如難解頭脳パズルゲームが解けるように頭に入ってくるんだから、このトリオはあなどれないやめられない。
1曲の中で何度も転調し、ハンパなく凄まじい変拍子の嵐、ドラマティックにして美しい展開、そして転がるように流れるひろみちゃんの運指が織りなす音色の心地よさったらない!
楽曲のデキで言うならば1st『VOICE』も本作とタメをはれるくらい好きだが、やっぱ回を重ねる度に3人の阿吽の呼吸がピタリと合ってきており、その3人のフリージャズ的インプロ展開が難解で最初とっつきにくい部分でありながらも、本作を飽きさせない要素となっている。
あとレコーディング環境が向上したのだろう、各楽器の木目細かな音ひとつひとつがよりクリアに響きてきて、イアホンで聴くと我が聴覚をこの上なく楽しませてくれる、まさに極上の音のオールレンジ攻撃が脳内で繰り広げられるのだ。この3人は木星帰りか!
ELPやドリームシアターなどのプログレバンドとの類似性を指摘するリスナーもいるが、決定的に違うのは、彼女が筋書きのつかめない構築されたインプロヴィゼイションを武器にしていることであろう。(あと、いらんヴォーカルがない)そういう意味では彼女が影響を受けたバンドに名前が挙がってくるキング・クリムゾンなどの方が本質的には近い気がする。
しかし、近年ここまで聴き込み甲斐があり、何度も繰り返し聴きいてこれほど楽しめる作品はちょっとない。
ALIVE
◆第三位:『HOTEL VALENTINE』 / CIBO MATTO
バイリンガールズ(つかもうほとんど向こうの人?)ユカさん&ミホちゃんのユニットチボ・マットの約17年振りの意欲作!
というか、ミホちゃんが「女の子の幽霊が徘徊するホテル」というコンセプトテーマを思いつき、単にハウスキーパー(客室係)のコスプレがしたくて気まぐれに再結成し制作したアルバムとのこと(ボートラではホテルのフロントマン役もこなす)。
正直チボ・マット解散後のミホちゃんのソロ作品にはそれほどハマらなかったが、このブランクを全く感じさせないチボ・マットの新作には見事ハマった。
やっぱこの2人が組むと、結成当時の若かったころの女の子ならではのユニークなインスピレーションが自ずと生まれるのかもしれない。
2人のセンスがよく感じれたのは、エレベーターが降下していく数え歌から始まる#8.「Lobby」。女の子の幽霊がホテル内を徘徊するかのようなSE効果、そしてミホちゃんのウィスパーヴォイスが怪しく語りかけるというこの演出は、聴いてて本当に背筋がゾクゾクしてきて寒イボ楽しい。こういったユーモアの利いた音響アレンジがほんとうに秀逸。
オシャレ&クールな音楽性の上、このお茶目な遊び心がチボ・マットの真髄なのだ。
DEJA VU
◆第四位:『プランC』 / Cocco
Coccoは本来感情で歌う歌手なのであるが、本気出すと実に巧みに歌い上げることもできる。それがこの本作に顕れた感じ。
今回も前作同様Coccoセルフプロデュースなのであるが、前作のような「琉球」をテーマとする守備一括したコンセプチュアルな作品とは違い、ただ、もう自由奔放テキトーにCDに詰め込んだ良く言うとバラエティに富んだ、悪く言うと実に一括性のない小ネタ集的作品である。
個人的に知人に捧げたような楽曲が多く、そのため粗相がないよう丁寧に歌い上げることに努めているきらいがあり、女優業を経たためか、かなり演出がかった感じもする。
で、この作品が最後になんの?せめてツアーはやってくれ。
『ジルゼの事情』劇中歌 ドロリーナ・ジルゼ
◆第五位:『A WORLD LIT ONLY BY FIRE』 / GODFLESH
元ナパーム・デスのジャスティン・ブロードリック(あの2秒の曲「You Suffer」でギターを弾いてる張本人だ!)が、引退状態にあったG.C.グリーンを説き伏せて2010年に再始動した激重インダストリアルユニットGODFLESH。2012年には奇跡の初来日を果たし、私はそれを目撃している。それは想像をはるかに超える凄まじいライブであった。
そして本作は約13年振りとなる新録である。
どこまでも冷酷で重い歪んだリフを刻み続け、咆哮するジャスティンのスタイルはデビュー当時となんら変わらない。今回はベンのガリガリというよりグリグリと神経をエグるかのような重低音で響いてくるベースがやたら耳を惹く。生ライブでも彼が刻むベースラインが会場全体にとてつもないグルーヴ感を生みだしていたのは実体験済みである。
本作を聴いて、またしても生演奏によるあの渦巻くような重圧サウンド&ビートに、骨の髄までグチャグチャに打ちのめされたいという不埒な情念が疼き始めるのである。
再来日求む!!
Imperator
今日の1曲:『モビー・ディック』/ 小島麻由美
これまで一月中には絶対間に合わすことを心がけていたんですが、年賀状出したのが一月末になってしまうほど齢を重ねるごとに何事にも億劫になってしまった今日この頃今日子とネンゴロ。
めっきり新譜を買わなくなって年々選出作業が困難にはなっているんですが、それでも昨年買った新譜は10枚を越えました。
ただ、あまり豊作とは言えない年でしたね。その中から消去法で残ったのがこの5枚といったところでしょうか?いや、みんなそれなりに気に入ってますよ。
2位の上原とどっちを一位にするかかなり迷った。どっちが全体的にスマートなデキか、ジャケがいいかの総合評で軍配があがったのが坂本くん的終末思想ポップコンセプトアルバムというべきソロ第2弾。
何も考えなくても(考える必要がない)坂本くんの素朴なメッセージ、キャッチーなメロディ、サイケデリックな虚無感、そういったものが、スティールギターの音色とともにゆる~りふわ~りと頭の中に入ってきて、脳内はもうトコロテン状態。
哲学者ぶった気どり屋インテリロッカーや、小難しい文学や偉人の言葉を拝借してわかったような口ぶりで謳歌する押しつけがましいシンガーソングライターよりも、坂本くんの紡ぎ出す独特のフレーズは美しく頭にスッと入ってくる。
「シンプル・イズ・ベスト」なんて言葉で持てはやされているアルバムってゴミ程あるが、そういうのは坂本くんくらいのセンスがなければただの平凡で退屈な音楽ですよ。
坂本くんはそこに実にユニークなギミックをフンダンに取り入れて我々の耳を楽しませてくれる。それもやりすぎず、ちょうどいい感じに。
/ Hiromi THE TRIO PROJECT feat. Anthony Jackson & Simon Phillips
上原ひろみ&アンソニー・ジャクソン&サイモン・フィリップスの日米英の先鋭たちが繰り広げる、前代未聞の超絶インプロヴィゼイションユニットプロジェクトの第3弾。
正直、始めは全くハマらなくて2~3ヵ月放置状態だったが、ある日突如難解頭脳パズルゲームが解けるように頭に入ってくるんだから、このトリオはあなどれないやめられない。
1曲の中で何度も転調し、ハンパなく凄まじい変拍子の嵐、ドラマティックにして美しい展開、そして転がるように流れるひろみちゃんの運指が織りなす音色の心地よさったらない!
楽曲のデキで言うならば1st『VOICE』も本作とタメをはれるくらい好きだが、やっぱ回を重ねる度に3人の阿吽の呼吸がピタリと合ってきており、その3人のフリージャズ的インプロ展開が難解で最初とっつきにくい部分でありながらも、本作を飽きさせない要素となっている。
あとレコーディング環境が向上したのだろう、各楽器の木目細かな音ひとつひとつがよりクリアに響きてきて、イアホンで聴くと我が聴覚をこの上なく楽しませてくれる、まさに極上の音のオールレンジ攻撃が脳内で繰り広げられるのだ。この3人は木星帰りか!
ELPやドリームシアターなどのプログレバンドとの類似性を指摘するリスナーもいるが、決定的に違うのは、彼女が筋書きのつかめない構築されたインプロヴィゼイションを武器にしていることであろう。(あと、いらんヴォーカルがない)そういう意味では彼女が影響を受けたバンドに名前が挙がってくるキング・クリムゾンなどの方が本質的には近い気がする。
しかし、近年ここまで聴き込み甲斐があり、何度も繰り返し聴きいてこれほど楽しめる作品はちょっとない。
バイリンガールズ(つかもうほとんど向こうの人?)ユカさん&ミホちゃんのユニットチボ・マットの約17年振りの意欲作!
というか、ミホちゃんが「女の子の幽霊が徘徊するホテル」というコンセプトテーマを思いつき、単にハウスキーパー(客室係)のコスプレがしたくて気まぐれに再結成し制作したアルバムとのこと(ボートラではホテルのフロントマン役もこなす)。
正直チボ・マット解散後のミホちゃんのソロ作品にはそれほどハマらなかったが、このブランクを全く感じさせないチボ・マットの新作には見事ハマった。
やっぱこの2人が組むと、結成当時の若かったころの女の子ならではのユニークなインスピレーションが自ずと生まれるのかもしれない。
2人のセンスがよく感じれたのは、エレベーターが降下していく数え歌から始まる#8.「Lobby」。女の子の幽霊がホテル内を徘徊するかのようなSE効果、そしてミホちゃんのウィスパーヴォイスが怪しく語りかけるというこの演出は、聴いてて本当に背筋がゾクゾクしてきて寒イボ楽しい。こういったユーモアの利いた音響アレンジがほんとうに秀逸。
オシャレ&クールな音楽性の上、このお茶目な遊び心がチボ・マットの真髄なのだ。
Coccoは本来感情で歌う歌手なのであるが、本気出すと実に巧みに歌い上げることもできる。それがこの本作に顕れた感じ。
今回も前作同様Coccoセルフプロデュースなのであるが、前作のような「琉球」をテーマとする守備一括したコンセプチュアルな作品とは違い、ただ、もう自由奔放テキトーにCDに詰め込んだ良く言うとバラエティに富んだ、悪く言うと実に一括性のない小ネタ集的作品である。
個人的に知人に捧げたような楽曲が多く、そのため粗相がないよう丁寧に歌い上げることに努めているきらいがあり、女優業を経たためか、かなり演出がかった感じもする。
で、この作品が最後になんの?せめてツアーはやってくれ。
元ナパーム・デスのジャスティン・ブロードリック(あの2秒の曲「You Suffer」でギターを弾いてる張本人だ!)が、引退状態にあったG.C.グリーンを説き伏せて2010年に再始動した激重インダストリアルユニットGODFLESH。2012年には奇跡の初来日を果たし、私はそれを目撃している。それは想像をはるかに超える凄まじいライブであった。
そして本作は約13年振りとなる新録である。
どこまでも冷酷で重い歪んだリフを刻み続け、咆哮するジャスティンのスタイルはデビュー当時となんら変わらない。今回はベンのガリガリというよりグリグリと神経をエグるかのような重低音で響いてくるベースがやたら耳を惹く。生ライブでも彼が刻むベースラインが会場全体にとてつもないグルーヴ感を生みだしていたのは実体験済みである。
本作を聴いて、またしても生演奏によるあの渦巻くような重圧サウンド&ビートに、骨の髄までグチャグチャに打ちのめされたいという不埒な情念が疼き始めるのである。
再来日求む!!
今日の1曲:『モビー・ディック』/ 小島麻由美
今年もキッチリとベストアルバムが上がってホッとする当方であります。
坂本氏の1位は納得ですね。
あの、サロンミュージックのようで唯一無二の世界観が素晴らしいです。
未だ定期的にブログを更新される姿は本当に頭が下がります。
このご挨拶もこれからもずっと続けていきたいですね!
いや、歳の話はナシで。
そしてこうやって私のショボい年間ベストにコメント残していってくださるんだから嬉しい限りです。
坂本くんのアルバム本当に素晴らしい!
でも、めいぐるとさんベスト10にはランクされてませんでしたね。
年間どんだけいいCD買ってはるんですか!?太刀打ちできませんわ。
今年もまた馴染みのアーティストの作品が占めるような気もいたしますが、1月中には選出できるよう・・・・・・て、ブログ更新するために音楽聴いてるワケではないんですが。
今年はもっといい音楽にめぐり会いたいもんです。