風の向こうに  

前半・子供時代を思い出して、ファンタジィー童話を書いています。
後半・日本が危ないと知り、やれることがあればと・・・。

夢草子 六の巻

2010-06-13 22:28:10 | 大人の童話其の弐

すると四小は、

「だって、気づいてくれたらうれしいじゃない。お話できるもの。そうでしょ、姉さん。」

と、にこっと笑って答えました。

「ええ、まあ、そうだけど。でも、人は、そう簡単に気づいてはくれないわよ。」

二小は、そんなことは、まあ、千に一つもないだろう、と考えながら言いました。

それでも四小は、

「うん、でも、根気よく続けていれば、いつかは気づいてくれる子が一人ぐらいは

いるんじゃないかしら。そう思ってるの、わたし。」

と、ちょっと小首をかしげて言いきる のでした。

「それで、毎日そんなに一所懸命なのね。」

「うん。」

「そう、誰か、あなたのことを気づいてくれるといいわね。」

「きっと、いつか気づいてくれるわ。わたし、そう信じてる。」

「そうね。」

二小は、四小ににこっと笑いかけると、

『四小の思いが、いつかかなうといいけど。』

と思いながら、自分のところへ帰って行きました。