風の向こうに  

前半・子供時代を思い出して、ファンタジィー童話を書いています。
後半・日本が危ないと知り、やれることがあればと・・・。

風の向こうに(第一部) 其の拾七

2010-02-05 21:44:27 | 大人の童話

四小はちょっと間をおいたあと、さびしそうに言いました。

「もう来月には夢ちゃん、わたしの所にはいないのね。六年間いっしょにいられると

思って喜んでいたのに。夢ちゃんみたいに答えてくれる子、他にいないからまた

さびしくなるわ。」

それは夢も同じでした。せっかく四小と心通わせ、語り合うことができたのに、別の

学校に行かなければならないなんて、さびしくてたまりません。それでも夢は四小を

励まそうと、しばらくしてわざと元気よく言いました。

「でも、一学期の間は四小さんの側にいられるみたいだからよかった。お話は

できないかもしれないけど。」

「そうね。話はできないかもしれないけど、まだとうぶん、夢ちゃんの姿は見ることが

できるのね。それだけでもよかったとしなきゃ、ね。」

夢の言葉を受けて、四小も少し明るい表情になりました。しかし、やがては

別れなくてはならない、もう会えなくなる、そう思うと四小も夢も、さびしさ悲しさで

胸がいっぱいになるのでした。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。