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前回ちょこっと書いたAstonishing X-MEN(”ATM”)、話の途中だけど、なんかすごく面白いんで我慢できずにレビュー。62号~64号について。添付画像はその悪党Ravenが描かれている64号。
筋書きをMarjorie Liu、画をGabriel Hernandez Waltaが担当。今年の3月にもベタ褒めだったんだけど、Marjorieの書く話は、人の心の内面をやさしく解きほぐしていくのが真骨頂。一方のGabrielの画も凄く良い。前回Chris Bachaloチックと書いたけど、John Romita Jr.チックでもある。いずれにせよ、好きだな。
並行世界の一つAge of Apocalypseの世界から戻ったX-MEN。そこから持ち帰った物質に心を支配され、ICE MANの雪や氷を作る力が暴走し始めるって内容。
今回も気に入ったシーンや台詞を書いていく。Gabrielが日本の今を上手に描いている。変身能力のあるRavenが渋谷にいそうな女子高生に変身した姿や、ハチ公前の交差点の景色が特に好きだな。彼が渋谷を描くと渋谷がギラギラしていない。
Ravenの相棒Sabretoothの残虐性を表現するシーンも良い。子猫が籠に入れられているのだが、それは何かと問うRavenに対し、スナック(軽食)って答えるところね。人を躊躇わず殺すとか、そういう直接的な表現じゃなく、言葉で残虐性を表すのは好きだな。子猫を使うことに嫌悪感を抱く人もいるだろうけどね。
ICE MANがこれまで付き合った女性総登場ってのも良いな。正確には彼をあまり相手にしていなかったPOLARISもいるけどね。
ATX 62号でフィンブルの冬と叫ぶだけのTHORは、この号だけしか使われていないと思いきや、64号では、ICE MAN退治のために参戦する。ICE MANがTHORのために用意したのが氷のミッドガルド蛇ってのは上手いな。結局THORにとってのラスボスってLokiじゃなくてこの蛇なんだよね。神話上は。
ICE MANことBobby Drakeの弱い心の部分てのが、今回多面的に語られている。陽気に振る舞う彼の心の中では、父親に認められていないとい気持ちが常にあるってことが、昔の彼女達の言葉を借りて表現されている。そして、それが爆発するのがATX 64号。父親のところを訪れて父親を殺しちゃう。んーん行き過ぎかもしれないが、これは必要な死のような気がする。
さて、ATX 64号の最後で、Bobbyの身体から取り出された謎の物質をRavenが飲み込んじゃう。並行世界からきたDark Beastが作成中の機械も気になるな。こいつがただでヒーローに手を貸すはずはないからね。この話の最終回 ATX 65号でどんな結末が待っているのか、お楽しみお楽しみ。