普段はMarvel中心に読んでるけど、今日は、珍しくDCもの。最近映画が封切られたGREEN LANTERNに合わせるように出版されたGREEN LANTERN/ GREEN ARROW(以下GL/ GA)を漸く読み終えたので、そのレビューを書こう。
今回の作品もアメコミの王道的作品だ。筋書きをDennis O’Neil、画をNeal Adamsが担当。まずは、画の方から、今も現役の画家Nealの画は、とにかくすごい。そのNealの才能もインクをDick Giordanoが入れるとさらに光る。この本の中では、Dick以外がインクを入れている作品も収録されているけど、他の人がインクを入れたものは、輝きが鈍る感じだな。例外は、Bernie Wrightsonのインク。彼が入れると恐楓汢謔フ画っぽくなる。(そうBernieはSwamp Thingって沼の怪物ものが出世作。そして、おいらが尊敬するStephen Kingの小説の挿絵も担当している。)さて、Nealの画、何が凄いってその構図。GAの彼女Black Canary(”BC”)が車に惹かれるシーンなんて、3Dの画像を見ている錯覚を感じる。それから、女性を美しく描くこと。(これ漫画家の基本。)BCが綺麗過ぎ。半分はDickのお陰だけどね。
さて、このGL/ GA、ページ数は370を超す大作。読むのに無茶苦茶時間がかかった。それでお値段3,675 yen。アメコミ邦訳版としては、お得な価格設定。小学館プロダクションに感謝。
内容の方も、充実している。これら一連の作品が発表されたのは1970年代の初め。徹底的に当時の社会問題を取り上げている。人種差別、麻薬、環境問題、人口の増加に伴う食糧危機だ。これらって、今の問題とあまり変わらない。敢えて言えば今問題となっているのは、上記に加え宗教問題か。
気に入っている話を以下列挙しよう。まずは、麻薬問題を抉るため、GAの養子Speedyを麻薬漬けにしちゃうところかな。彼は子分としてヒーローの真似ごとをしたこともあるのだが(らしい)、そんなヒーローを麻薬漬けにしちゃうのかっていう潔さ、斬新さは感心するな。
お次に、GLの彼女Carolとの立場の違いを描いたシーン。Carolは飛行機の製造会社を経営している。開発過程で生み出された環境汚染物質へ抗議した市民が死んだ。Carolは科学の進歩に犠牲はつきものと呟くが、それに抗議するかのように、GLは開発途中の飛行機を破壊してしまう。この二人長続きしないなと思わせる見解の相違だな。最後にGLは請求書を送ってくれって言いながら去っていくけど、絶対個人で支払える金額じゃないよ。それから、GL、GAが素人相手に簡単にやられちゃうところも面白い。ヒーローの癖に弱いじゃん。
最後は、問題提起。この本の中で、GL/ GAの本編の他にFLASHのオマケに載せられた話も収録されている。色を新しく入れ直したもので、ちょっとずっこけちゃう(70年代のチープな彩色の方が趣がある。)のだが、問題はこの話の前に書かれている前書き。社会問題が書かなけれていない、軽いコミックスと紹介されているところ。自分自身もアメコミの良さの一つって、身の回りで発生している諸問題に対する批判があって、それだから良いんだって、知らない人に紹介する。しかし、それだけなのかな。人の気持ち、考え方は人によっていろいろあるんだってことや、哲学的な話、それやこれやを深く描いた作品って、良い作品だよね。軽くもない。(アメコミでも、そうじゃなくてもね。)この前書きを書いた人は、おそらく、このオマケの話がそんな大した内容じゃないと言いたかったのだろう(確かに大したことない)が、社会問題を書かなければ良い作品じゃないって読者(それも初めてアメコミを読んだ人)に思われせるのは、どうかな。
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