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名も無きねこに

仏検準二級二次試験終了

2008-01-27 22:42:24 | 仏検準二級
家を出ようとドアを開けると、一匹の大きな黒ねこがいた。
初めて見るねこだ。
わたしを見てニヤニヤとなくのだけれど、近づこうとすると威嚇してくる。
要は無条件降伏を要求しているのだ。
時間があれば対話を試みてもよかったのだけれど、今日は試験がある。
あまり脅かさないように、わたしはゆっくりと傍らを通り過ぎた。

遅刻するよりは向こうで待ったほうがいいだろうと早めに出発したので、
受験会場の暁星高校には、予定より十分早く着いた。

到着時刻は6分単位で指定しているらしく、
到着時刻ごとに受験者をグループ分けして、受付手続きをする。
着くのが早過ぎて、廊下で立って待たなければいけないかと思っていると、
幸い待機室に空席がすぐにできて、腰を落ち着けられた。
周りを見渡してみると女性十二三人に対して男性が一人という割合。
若い女性がかなり多い。
独検より男女比の差が大きい。
みんな対策本などを開いて集中している。
独検のときは、一組の男女が大声で話していたけれど、
仏検はみんな真剣そうだ。
公式問題集を開いて試験手順を確認していると、わたしのグループの番がきた。

隣室の受付では、受験票の確認と試験教室番号の書かれたカードの配布が行われた。
全部で20近い教室があっただろうか。
公式問題集や受験票に書いてあるのと同じ注意事項・試験手順の説明を聞いた後、
各自カードの番号に応じて試験教室に移動した。

試験を行う教室の前には案内の係員の席と、その他に椅子が三脚ならべてある。
自分の教室に向かう途中、
別室の前に小学校低学年くらいと思しき女の子が座っていた。
それも、なんだか楽しそうな様子だ。
余裕という奴なのだろうか。

12番教室の前で、係員に受験票と免許証を見せて身分を確認すると、
順番がくるまで椅子に座って待つよう指示された。
椅子にかけて窓の外をながめていると、
隣の教室や自分の部屋から試験官の声が聞こえてくる。
予想していたより少し速く質問を読みあげるなと感じて、
本番ではだめかもしれないなと思った。
そう思うと、試験を前にした不安も落ち着いてきた。
待機室で座っていたときはどきどきしていたけれど、
合格云々を意識するから不安を感じていたのだ。

順番が来て、ドアをノックしてあけると、若い女性の試験官が笑顔で待っていた。
荷物を入り口の脇の机に置いて席に着くと、氏名と受験する級の確認をして、
A4ほどの大きさのプラスチックフォルダに入ったカードを受け取り、
ここでも試験手順について説明を聞いた。
説明のあいだ、試験官の目を見てきちんと返事をしていると、
なんだか気持ちに余裕が出てきて、自然と自分も笑顔になった。
不思議なものだ。

さて、説明が終わり黙読時間に突入。
もらったカードは日本のお正月に関する文章とイラストがあり、
文章自体は、対策本に書かれてたとおり、とても簡単だ。
これまでの練習のとおり、一分の黙読時間のあいだに一二回、
声を出さずに口を動かして通して文章を読む。
この方が一発勝負で音読するより、口がほぐれていいし、
万一突っかかりそうなポイントがあっても事前に発見できるので注意して読める。
一分間でも少し時間が余った。

朗読の指示がきたので、速く読んで口を滑らさないよう、
ゆっくり読むよう心がけて、下手な発音で文章を読み上げた。
今から思うと鼻母音はほとんど普通の母音として発音してしまっていた。
読み上げる最中、試験官は手元の紙にチェックを入れているようだった。
発音で大幅な減点になっていないことを願うばかりだ。

読み終えると早速質問だ。
試験官はもっと本格的な発音をするものかと思っていたのだけれど、
いかにも日本人らしいしゃべり方なのが意外だった。
いつもNHKの講座を聞いていた甲斐があり、どの問題も完全に聞き取れる。
大体どれも、主語と疑問詞の倒置を除けば、単純なものばかりだった。

question 1-お正月にはみんな何を食べますか?
question 2-お正月に子供が喜ぶのはどうしてですか?
この二つは問題文に関する質問なので、
本文から答えを抜き出して回答できる。
question 2のpourquoiに対応するよう、
本文にしっかりとparce queから始まる部分があったので、答えるのは楽だ。

question 3-少年の後ろには何がありますか?
question 4-左の男性は何をしていますか?
question 5-着物(和服)を来ているのは何人ですか?
この三題はイラストに関するものだ。
question 3は子供の「後ろ」でよかった。
少年の前には食卓の上にお正月のご馳走がならんでいたので、
「前」の場合、les plats speciauxと答えなければならなかったろうけれど、
とっさに答えられたかどうかは自信が無い。
後ろには壁と窓がある。
fenêtreと答えるときに、unかuneかで悩んで、
Il y a un fenêtre.といったのは間違いだったのは
家で辞書を引くまで確認できなかった。

question 4は試験官がいい間違いをして、
a gaucheをdeboutとかなんとか言いそうになって、
「失礼しました。Pardon!」と言っていたのが、人間らしくてよかった。
イラストの男性は電話で話しているので、
単純にIl téléphoneと答えてしまったけれど、
parlerを使ってもう一工夫して答えるべきだったか。
まあ、まったくの間違いではないだろう。

quetion 5は、来ることを期待していたcombienで始まる質問だ。
Il y en a・・・で答えるのを公式問題集で覚えていたので、
この質問は完璧に答えられたはずだ。


5分の試験時間はあっという間にすぎ、挨拶をして室を出た。
試験会場から出ると、冬の青空の下、
涼しい風が吹いて、清清しい気分だった。

感想としては、準二級の二次試験は、
試験と言うほどのものでもないというのが率直なところだ
(不安がっていたわりに、えらそうなんだけれども・・・・)。
普段から対策本や公式問題集なんかの教材を音読して、
後はNHKの入門編――とくにフランス語での応答練習――を
まじめにやっていれば、質問されて慌てることは無い。
問題文は基本中の基本語彙しか使っていなさそうだし、
質問はパターン化されているので
事前に公式問題集で過去問にあたっておけば、自然と回答できる。

一ヶ月ばかりフランス語の勉強を大分サボっていたところで、
今回の準二級二次で、二級準備に取り掛かれるよう、気持ちのスイッチが入った。
二級の壁は厚そうだけど、
かすり傷ひとつつけられないほど頑丈な壁ではないだろう。
春季に受けるかどうか検討しよう。
そんなことを考えながら神保町を歩いてみると、古書店は軒並み休んでいる。
頼みの綱だった岩波ブックセンターも休み。
三省堂に入ってみても、岩波文庫のマラルメ詩集は無い。
歩き疲れていたのもあったし、
おそらく新宿や池袋に行っても無いものは無いだろうと思って、
そのまま家路についた。
しばらく三島とボヌフォワを読むか。

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