さて、もう一つだけ。
MoonさんのコメントにATLLの話がありましたが、いよいよHTLV-1の感染予防対策が本格化してきたみたいですね。
このBlogや「前のBlog」でそんなことを書いたりもしてきましたが、僕が書いたのは関係ないとは思いつつも、自分が必要だと思っていたことが実現すると・・患者さんのためにも家族のためにも嬉しいですね。
HTLV-1感染予防対策が本格化
医療介護CBニュース 10月1日(金)16時31分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101001-00000009-cbn-soci
成人T細胞白血病(ATL)などの原因となるウイルス「HTLV-1」対策で、菅直人首相が全国一律の妊婦の抗体検査を年度内に行う方針を打ち出したのを踏まえ、厚生労働省は、母子感染予防のための保健指導マニュアルの改訂作業を進めている。新たに発足した政府の特命チームも、年内に総合対策を取りまとめるとしており、HTLV-1感染予防に向けた動きが本格化している。
現在のマニュアルは1994年に作成。医療従事者ら向けの指針として、ATLなど関連症の基礎知識や抗体検査の方法のほか、検査時の注意点、乳幼児期の栄養管理などをまとめたものだ。妊婦の抗体検査については「プライバシーの侵害やキャリアを不安に陥れるなどの社会的問題を生み、適切な対策の実行に極めて重大な障害となる危険性がある」と記載。検査実施の判断は「地域のHTLV-1抗体保有率が参考になる」とし、全国一律の実施は考えられていない。
厚労省母子保健課によると、マニュアル改訂は、全国一律の方針を踏まえ、こうした点の見直しがポイントとなる。省内の研究班では、感染率の高い地域と低い地域の実地調査も行っており、調査結果は検査の実施体制や患者・キャリアらの支援体制などに反映される予定だ。
抗体検査の方法なども、最新の知見に基づき変更する。 改訂マニュアルは来年4月の公表に向けて作業を進めているが、首相の方針通り、全国一律の妊婦の抗体検査が年度内にスタートした場合、同課は「部分的にでも公表を早めるなど、研究班と対応を検討したい」としている。
HTLV-1ウイルスの感染者は、全国で約110万人と推計される。九州・沖縄地方に多く分布することから「風土病」と認識されてきたが、近年は関東や中部地方で増加。人口流動に伴ってキャリアの分布は拡散しており、全国的な対策が必要になっている。
感染経路は、母子感染が6割以上を占め、性感染が2割程度とされる。母子感染の多くは、母乳哺育の制限で効果的に食い止められるため、妊婦への対策が重要となる。
ATLは年間1000人に1人の割合で発症。現時点で有効な治療法はなく、発症後の死亡率は高い。歩行障害や排尿障害などを引き起こす関連脊髄症(HAM)は、年間3万人に1人の割合で発症するとされる。2008年度に難病に指定された。
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実際のところ、HTLV-1に関連した受診は増えています。
家族がATLLを発症した。自分もウイルスを持っているのではないか心配である・・って。 逆に調べたらHTLV-1ウイルスに感染していたから、どうしましょう…という受診。
僕は未来の子供たちのためにも、保因者の方のためにも、将来発症した時のことを考えれば「知らない」よりは「知っていたほうがよい」のでは…とは思っています。 しかし、これは確かに不安を無駄に与える因子にはなるかもしれません。
HTLV-1でたとえ話をするよりも、他のものでたとえ話を作ってみようかと思います。
SAHで知人がなくなったという理由で、脳動脈瘤が心配になり脳ドックを受けようかという方がいました。むかし、一緒に働いていた方ですけどね。この方には簡単にこう伝えました。
「健康成人の3~5%くらいに脳動脈瘤があるといわれています。ですから調べてみるのは構わないのですが・・・。脳動脈瘤は1cmを超えると年間に破裂する可能性は1%くらいと言われてます。1cm以下ならば1%以下であるといわれています。しかし、破裂しないとは言えないです。1cm以上であれば手術して予防することもあると思いますが、1cm以下ならばそれは行われないでしょう。あとは考え方次第です」
1cm以下だから大丈夫とも言えないのに、不安でどうしようもなくなるなら受けないほうがいいのではないか…と言いました。
見つけないほうがよいものもあるので、僕はこの時は脳ドックに症状もないのに受診するのは反対でした。
しかし、HTLV-1に関しては健康被害が未来の子供たちにも広がるのです。
であれば、僕はもし陽性だった人には、きちんと説明したうえで対応する。そして感染拡大(未来への)を防ぐ。
http://blog.with2.net/link.php?602868
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それは重要でないかと思うのです。
先程、Moonさんが「血液内科医」が足りないといわれていたのは、この件ですね。たぶん、人手が足りないので、陽性の方は近医で「sIL-2R」の測定を依頼すると思いますよ。上昇したらすぐに紹介してくださいって。
そうでなかったら他の患者さん達の診療は不可能だと思います。
それでは、また。