新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

HTLV-1予防に関して:不安は広がるかもしれないが、未来のために…と思う

2010-10-03 14:47:20 | 医療

さて、もう一つだけ。

 

MoonさんのコメントにATLLの話がありましたが、いよいよHTLV-1の感染予防対策が本格化してきたみたいですね。

このBlogや「前のBlog」でそんなことを書いたりもしてきましたが、僕が書いたのは関係ないとは思いつつも、自分が必要だと思っていたことが実現すると・・患者さんのためにも家族のためにも嬉しいですね。

 

HTLV-1感染予防対策が本格化

医療介護CBニュース 10月1日(金)16時31分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101001-00000009-cbn-soci  

 

成人T細胞白血病(ATL)などの原因となるウイルス「HTLV-1」対策で、菅直人首相が全国一律の妊婦の抗体検査を年度内に行う方針を打ち出したのを踏まえ、厚生労働省は、母子感染予防のための保健指導マニュアルの改訂作業を進めている。新たに発足した政府の特命チームも、年内に総合対策を取りまとめるとしており、HTLV-1感染予防に向けた動きが本格化している。  

 

現在のマニュアルは1994年に作成。医療従事者ら向けの指針として、ATLなど関連症の基礎知識や抗体検査の方法のほか、検査時の注意点、乳幼児期の栄養管理などをまとめたものだ。妊婦の抗体検査については「プライバシーの侵害やキャリアを不安に陥れるなどの社会的問題を生み、適切な対策の実行に極めて重大な障害となる危険性がある」と記載。検査実施の判断は「地域のHTLV-1抗体保有率が参考になる」とし、全国一律の実施は考えられていない。  

 

厚労省母子保健課によると、マニュアル改訂は、全国一律の方針を踏まえ、こうした点の見直しがポイントとなる。省内の研究班では、感染率の高い地域と低い地域の実地調査も行っており、調査結果は検査の実施体制や患者・キャリアらの支援体制などに反映される予定だ。 

抗体検査の方法なども、最新の知見に基づき変更する。 改訂マニュアルは来年4月の公表に向けて作業を進めているが、首相の方針通り、全国一律の妊婦の抗体検査が年度内にスタートした場合、同課は「部分的にでも公表を早めるなど、研究班と対応を検討したい」としている。  

 

HTLV-1ウイルスの感染者は、全国で約110万人と推計される。九州・沖縄地方に多く分布することから「風土病」と認識されてきたが、近年は関東や中部地方で増加。人口流動に伴ってキャリアの分布は拡散しており、全国的な対策が必要になっている。 

 

感染経路は、母子感染が6割以上を占め、性感染が2割程度とされる。母子感染の多くは、母乳哺育の制限で効果的に食い止められるため、妊婦への対策が重要となる。  

 

ATLは年間1000人に1人の割合で発症。現時点で有効な治療法はなく、発症後の死亡率は高い。歩行障害や排尿障害などを引き起こす関連脊髄症(HAM)は、年間3万人に1人の割合で発症するとされる。2008年度に難病に指定された。

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実際のところ、HTLV-1に関連した受診は増えています。

 

家族がATLLを発症した。自分もウイルスを持っているのではないか心配である・・って。 逆に調べたらHTLV-1ウイルスに感染していたから、どうしましょう…という受診。

 

僕は未来の子供たちのためにも、保因者の方のためにも、将来発症した時のことを考えれば「知らない」よりは「知っていたほうがよい」のでは…とは思っています。 しかし、これは確かに不安を無駄に与える因子にはなるかもしれません。

 

HTLV-1でたとえ話をするよりも、他のものでたとえ話を作ってみようかと思います。

 

SAHで知人がなくなったという理由で、脳動脈瘤が心配になり脳ドックを受けようかという方がいました。むかし、一緒に働いていた方ですけどね。この方には簡単にこう伝えました。

 

「健康成人の3~5%くらいに脳動脈瘤があるといわれています。ですから調べてみるのは構わないのですが・・・。脳動脈瘤は1cmを超えると年間に破裂する可能性は1%くらいと言われてます。1cm以下ならば1%以下であるといわれています。しかし、破裂しないとは言えないです。1cm以上であれば手術して予防することもあると思いますが、1cm以下ならばそれは行われないでしょう。あとは考え方次第です」

1cm以下だから大丈夫とも言えないのに、不安でどうしようもなくなるなら受けないほうがいいのではないか…と言いました。

 

見つけないほうがよいものもあるので、僕はこの時は脳ドックに症状もないのに受診するのは反対でした。

 

 

しかし、HTLV-1に関しては健康被害が未来の子供たちにも広がるのです。

 

であれば、僕はもし陽性だった人には、きちんと説明したうえで対応する。そして感染拡大(未来への)を防ぐ

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なかのひと 

それは重要でないかと思うのです。

 

 

先程、Moonさんが「血液内科医」が足りないといわれていたのは、この件ですね。たぶん、人手が足りないので、陽性の方は近医で「sIL-2R」の測定を依頼すると思いますよ。上昇したらすぐに紹介してくださいって。

 

そうでなかったら他の患者さん達の診療は不可能だと思います。

 

それでは、また。

コメント (3)
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医師は地域、診療科を問わず不足:実際はもっと不足だろうな・・・

2010-10-03 14:24:14 | 医療

さて、続けます

 

医師不足に関しての調査がこのように出ました。

<医師不足>分娩医の不足深刻 現状の1.15倍必要--厚労省調査 毎日新聞 9月30日(木)8時10分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100930-00000004-maiall-soci  

厚生労働省は29日、全国の病院と分娩(ぶんべん)を扱う診療所を対象に実施した「必要医師数実態調査」の結果を正式に発表した。特に不足が深刻な分娩を扱う医師は1124人足りず、現在の1・15倍が必要と判明した。全体(不足数約2万4000人)でみても、都市部さえ充足しておらず、医師不足が深刻な実態が改めて裏付けられた。  

回答した施設で分娩を取り扱う医師は7312人。各施設が機能維持に必要とした医師数の合計は8436人で、1000人以上不足していた。  

◇医師充足地域ゼロ  

全診療科合計で、現在の医師数に対する必要医師数の倍率を都道府県別でみると、最も低い東京でも1・08倍で、医師が足りている地域はない診療科別でも、1倍以下の科はなかった。  

求人を出している施設に理由を聞いたところ「入院や外来患者が多く、医師の負担軽減のため」が28%で最も多く、「退職医師の補充」が18%で続く。一方、不足しているのに求人していない施設の理由は、「求人しても確保が見込めない」が30%、「経営的理由」が20%に達し、医師確保の困難さが浮き彫りになった。  

厚労省は「今後の医師の養成数は文部科学省と検討する。地域や診療科の偏りの是正については、臨床研修や専門医研修の地域や病院ごとの定員調整といった対応を検討したい」と話している。【佐々木洋】

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 さて、この文章を読むだけで「医師は不足しています」という結論にしかならないです。実際に偏在も何も…足りていない。

 

そしてよくよく考えたらもっと足りないでしょう…と思ってしまいました。

それは・・・

 

医師:2万4000人不足 地域の偏り鮮明 厚労省調査

http://mainichi.jp/select/science/news/20100929k0000m040145000c.html?inb=yt  

全国の医療機関で実際に働く医師数が計約16万7000人なのに対し、医療機関側はさらに計約2万4000人が必要と考えていることが28日、厚生労働省が初めて行った「必要医師数実態調査」で分かった。現在の1.14倍の人数が必要で、医師不足の深刻な実態が改めて浮き彫りになった。地域による偏りがあることも分かった。  

厚労省は昨年度の補正予算で各都道府県に50億円の「地域医療再生基金」を設置し、医師の配置を促す方針。文部科学省が検討している、医学部新設の容認に向けた議論にも拍車がかかりそうだ。  

都道府県別で、現在の医師数に対する倍率が最も高かったのは岩手の1.4倍で、次いで青森1.32倍、山梨1.29倍。逆に低いのは東京(1.08倍)、大阪(1.09倍)、埼玉・神奈川(1.1倍)と大都市圏が中心だった。  

分娩(ぶんべん)を扱う医師は山梨(1.59倍)、高知(1.55倍)、青森(1.34倍)が高かったのに対し、長崎(1.0倍)、熊本(1.04倍)、新潟・福岡・宮崎(1.05倍)は低い。診療科別ではリハビリ科1.29倍、救急科1.28倍、産科1.24倍の順だった。  各医療機関が回答した医師不足の背景は「求める診療科医師の絶対数が地域で少ない」38%、「大学の医師派遣機能が低下」20%、「勤務条件と医師の希望との不一致」14%。  

調査は全国の病院8683施設と、分娩を扱う診療所1579施設の計1万262施設が対象。計8698施設が6月1日時点で回答した(回答率85%)。

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そもそも医者がいない…ところはどうするのだろう?

どういう質問形式だったかはわからないですけど、現在の医師数に対する倍率・・・なんですかね? それとも求人倍率なんでしょうか?いや、求人倍率にはなりえない。だって、求人よりも医師が少ないのだから・・・w

そうすると・・いまある診療科でどのくらい不足していますか…という質問なのだろうか?

 

たぶん、新たに「○○科」を立ち上げたい…となれば、結構な人数が必要になると思うのですが・・・。

 

そうすると、もしかするとはるかに多くの医師数が必要なのかもしれません。

 

 

あと、これらの資料を読んでいると、医師数に小数点が出てくるのですが…どういう計算なんでしょうね?

http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryou/other/iryou01.html

http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryou/other/dl/14.pdf

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000ssez-img/2r9852000000ssgg.pdf

 

読んでいると、やはり「現員の医師数」に対して「必要な医師数」であって、その倍率だから現時点で行っていない診療科に関しては評価していないのかなぁ・・・。

 

いずれにせよ、「受け入れ不能」を無くしたいのであれば「現在○○科」を有していない病院が新たに診療科を創設するくらいでないといけないと思う。

 

何故なら、このやり方では「現在行っている病院が、現在の病床数で診療が行える医師数」であって、受け入れられなければ受け入れないということに変わりはないから

 

 

今でも無理しています。無理しすぎな状況から、ちょっと無理しているかな…位にできる人数がその程度の医師数。

 

ついでに言うならギリギリの数でしょうね。

 

患者数が一定であれば、医師数を増やしすぎれば病院は儲けなくなるから(集客力が変わらないなら、医師数はギリギリがよいですからね。経営者側から見れば)。

 

 

そういう意味では本当はsakuraさんがコメントに書かれているように、患者の立場から見た評価が必要だと思います

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なかのひと 

 

僕はこの発表を鵜呑みにしてはいけないと思います。

さらっと目を通しただけなのに(約5分)、もう穴がかなりありそうなんですもの。

 

ということで、これからの医師不足対策に期待します。

 

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人同士は仲良くありたいですね:国や人種によらず・・

2010-10-03 13:41:47 | Weblog

こんにちは

 

昨日は当直でした。

外来自体は特に大きな患者さんもおらず、電話対応など+主治医対応などでおわりました。 本当は主治医対応ではないほうがよいのでしょうけど、主治医の先生から言われましたし・・・はい。

 

で、病棟内で動きのある患者さん(多臓器不全)のリカバーに全力を挙げている状況でした。

人工呼吸器を使用すれば・・・(これ以上悪化したら使用する方向で調整中)回り回って、クリアできる可能性もあるけれども…きっかけの敗血症+αが改善するか否かがカギです。

 

時間を稼ぐことで抗癌剤の副作用からは離脱してきますので、その時間を稼ぎたいのですが・・・今はぎりぎりの状況ですね。

逆転のトライを決めるチャンスはある(なければ、挿管もしませんけど)と思って、虎視眈々とそれを狙っていますが…

 

昨日はほぼそちらの患者さんの集中治療(シリンジポンプ5台付けてます)に時間をかけました。今日はいくつかの条件を付け、どれかが崩れたらすぐに連絡が入るようになっています。

 

休みとは思っていません。

 

ただ、どうしても当直室では寝られないため、多少でも休める自宅に引き返したところです。

 

さて、話を変えますが最近尖閣諸島の関係で中国に関する話が上がっています。

 

正直、国というのは「利権団体」のようなものだと思っています。国民の権利を代表する・・。

ですから、利権団体同士ぶつかることはあるのでしょう。ですから、互いに牽制し合い、何らかの発言をするのは良いと思っています。

 

しかし、「中国に住む人」を悪し様に言う必要はないと思っています。

 

北朝鮮でも同様です。

 

北朝鮮や中華人民共和国という国の思想や体制に関して賛成する気は全くありませんが、そこに住む人は一生懸命に生きている人たちで、例えば・・・国が違うから北朝鮮に住む人はどうなってもよい・・・とか考えるのはいかがなものかと思っています。

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なかのひと 

ある体制からの情報操作で、評価というものはかなり異なってくると思います。

 

 

なんでこんな記事を書いたかというと、たまたまYahooの記事を読んでいたら「やつらは人ではない。悪魔だ」というようなコメントが目に入り、持論を少し展開しただけです。

 

お互いに持っている情報が異なる以上、評価や考え方に違いが出るのは当然のこと。自分たちがもつ考えの反対の考えがあってもおかしくはないと思います。

 

自分たちがもっている情報が正しいかどうか分かりませんしね。 しかし、その考えをお互いに知り・・Mix upしてより良い考え方、共存する方向へ行くのは本来は正しいと思います。

 

ただ、中国政府がそのような考え方を持っているかは知りませんが・・・

 

それ以前に唯一の正しい何かというのはあるのかなぁ・・・。

 

ということで、新しい記事を書きます。

 

では、また。

コメント (3)
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