新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

離島で医師の不在時(定期便欠航などで)にテレビ電話で診察できるのか?

2012-03-19 19:32:35 | 医療

さて、もう一つ追加します

 

常駐医不在に不満続出

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/yamagata/news/20120316-OYT8T01176.htm

飛島で初の説明会島民「事前相談ない」

 酒田市の離島・飛島の診療所常駐医が4月から不在になる問題で、酒田市は16日、代替策についての現地説明会を初めて実施した。出席者からは「全てが決まった後での説明会開催はおかしい」など、島民との合意形成を進めてこなかった市の対応に不満が続出した。

 説明会は、市とびしま総合センターで行われ、島民約60人が参加。市の担当者は、4月~10月は日本海総合病院(酒田市)の医師16人が週に1回交代で島を訪問して診療することや、定期船の欠航が多い11月~3月など医師の不在時は、診療所と同病院をテレビ電話で結んで診察するなどの代替策を説明した。

 島民からは、「これだけ重大なのに、なぜ事前に相談がなかったのか」「島民の意見を聞き、体制を決めるべきだった」など不満が続出。飛島小・中学校の船越誠校長(56)は「今日の説明だけでは納得しない。市は、島民の意向をくみ取り、看護師を1人でも増やしたり、報告会を行ったりするなど最低限の努力が必要」と話した。

 参加した女性(77)は、「診療所に誰もいないのは不安。変更できない報告だけなら必要なかった」とこぼした。

 同市の佐藤繁樹・健康課長は「報告が遅くなり、おわびしたい。今日の意見は、今後検討したい」としたうえで、「診療所の医師から辞任の申し出を受けてから時間がない中、できる限りの努力はした」と話した。

2012年3月17日  読売新聞)
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さて、この記事を紹介する理由はただ一つです。
 
医師がその場にいなくてもテレビ電話で診察をするというのはよいのだろうか?
 
確かに医師が現場にいて、専門外の知識などを照会したり、支持を受けたりするのに衛星通信などを使用したりする。X線読影などもある。
あと、確かに病棟からの電話で電話で指示をしたりすることもあるが、これは駆けつけられる前提もある。ほかの医師に対応を頼めるのもある。そういう意味では…処置に限界があるのでは?
 
定期便の欠航が多いのであれば、それこそ交代交代で島に常駐させないと、何かあったときに対応不能になってしまうような気がする
 
もちろん、多くのものは話を聞き、若干の情報があるだけで指示が出せるものが多い。しかし、やはり限界はある。
もし、この体制を敷くのであれば、どうしようもない状況に対しての責任は「自治体」にも(かなりの割合で)発生するのではないだろうか
 
もし、テレビ電話だけで患者の重症度が判断できなかったために、患者が死亡した。その責任をとれと言われると、かなりきついものがあると思う。
 
 
難し話ですが、地元の方々との話し合いをうまくやっていただきたいものです。
 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

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在宅医療も大事

2012-03-19 19:03:15 | 医療

こんばんは

 

今日も一日が無事に終わっていきました。暖かかったですが、あまり花粉を感じなかったですね。

あ、花粉症対策で空気清浄器を買ったのが(もう、○年前のものを使用していたので、新しいのに買いなおしました)効いているのかしら?

けど、屋外でも花粉は感じないし・・・

 

さて、今日はこちらの記事を紹介します。何でもかんでも在宅へ…という気はないですが、完治する可能性が低くなってきた場合は基本的に在宅での治療を念頭に置きたいと思いますね。

 

 もしかすると、「在宅医療=往診」と思っている人は意外と多いのかもしれない。日本在宅医療学会理事長の城谷典保医師は、在宅医療の特徴は治療を自宅で継続して受けられることと、看取りだという。そして、城谷医師が「医者冥利(みょうり)につきる」という在宅医療の現場について、話を聞いた。

*  *  *
 在宅医療は患者の人生を地域で支えるという前提で、医療を考えていかなければなりません。そのため、地域によって特色はまったく異なります。都会のモデルを地方の過疎地に反映させることは現実的ではないでしょう。

 病院は病気を治療するところですから、医師は病気を中心に診ます。ですから脳梗塞や心筋梗塞、がんなどで入院し、病気は治ったけど後遺症が残ったという患者は多い。こういう人たちをこの先どう支えるのか。その鍵が在宅医療なのです。

 いままでの医療は病院で治療し、社会復帰させるものでした。在宅医療は自宅で生活支援をしながら医療そのものも提供する新しい概念です。そのため、医師や看護師、ケアマネージャーといったさまざまな職種の医療従事者と患者の家族が連携して患者を支えていかなければなりません

 必要になるのが特にモバイル端末を利用したITネットワークです。在宅医療に急性期病院のような詳細なカルテは必要ありません。今日往診した患者さんの状態がどうだったか、どんな話をしたのか、家族の体調はどうかといった日々の状況が必要になるのです。そういったデータを全員で共有することができれば、病院と見劣りしない医療サービスが提供できますし、いざという時にも対応できます。そうなれば、治療後も入院し続け最期を病院で迎えることも減りますし、必要な医療をこれまでより安価で提供できるようにもなるでしょう。

 私は横浜で約150人の患者を在宅で診ています。病院ではクレームが山のようにありましたが、在宅医療ではほとんどありません。それは自宅医療が患者だけではなく、家族の生活を含めて面倒を見るものだからです。

 患者とその家族に寄り添う在宅医療は、医者冥利につきる仕事だと思っています。
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題名が気に入らないのですが、内容は面白いと思いました。
 
 
僕も病院での治療は基本的に「患者を治す」「QOLを改善する」に尽きると思っています。血液内科という分野で「急性白血病」を中心とした抗癌剤治療が有効な腫瘍の数々、再生不良性貧血などに対する免疫抑制療法や骨髄異形成症候群などに対する外来治療も含め、患者さんを改善させること、少なくともQOLの改善、今のQOLを維持した延命(内服抗癌剤による治療…。時々、まったく点滴の抗癌剤が効かない人に関しては内服が効くとは思えないから使用しません)などにつながると思って実施します。
 
 
病院は少なくとも何らかの積極治療を行っている場所だと思います。
 
もし、治すための治療ができなくなってもできるだけ有意義な時間を多く作ることに全力を注ぎたいとは思います。
しかし、外来で抗癌剤と輸血で白血病の患者さんに対する緩和ケア、リンパ腫の患者さんに対する緩和ケアを行ってきましたが、正直再入院した時は厳しいです。
 
さきほど括弧の中に書きましたが「抗癌剤が効かなくなってきた」「副作用・合併症などを考えるとこれ以上はメリットが少ない」「いったん小さくなるが、抗癌剤の副作用からの回復時には元に戻っている」などの状況に陥ることもあります。
 
そうすると如何に家族と一緒に過ごすかを考えざるを得なくなります。正直、抗癌剤治療は家族と共に過ごす場所を用意するまでの時間稼ぎでしか、なくなってしまいます。抗癌剤のメリットがほとんどなくなってしまっているから。こんな時に在宅緩和ケアの先生にお願いしたりしていました。
 
 
在宅緩和ケアならば、家族と医療従事者と一緒に患者さんの時間を作っていくことができると思います。正直、入院では特別な病棟でもない限り、どうしても制限が発生してしまいます。確かに入院すれば延命できる可能性はある。しかし、それが患者さんにとって有意義であるかは考えなくてはならないと思います。
 
在宅医療とクレームの話はどうでもいいのですが、患者さんと一緒に寄り添う時間は病院よりは長くなるかもしれないですね。そういう意味ではお互いが理解できて(患者・家族と医療従事者)、クレームなども出てこないのだろうと思います。
 
在宅医療と病院、これらのかけはしというのも必要だろうと思います。
 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

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それでは、また。

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