新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

医の倫理に関するケーススタディ

2012-03-24 21:48:21 | 医療

さて、最後にもう一つだけ

M3を見ていたら、日本医師会が「会員の倫理・資質向上に向けた実践的な取り組みのさらなる推進」に関して発表したというような話がありました。

PDFを確認すると、なるほど書かれているような話が書かれていました。

 

公表されたPDFはこちら。

http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20120322_3.pdf

 

その中で医の倫理に関して3つのケースがありました。

ケース1

A市では医師会、看護協会の協力で夜間診療所を開いている。ある看護師から医師会長宛に「ときおり診察にあたるX医師(80歳)は認知症ではないか。」という疑問が通報された。そこで医師会長はX医師と面談し、その通報は妥当なものと判断し、X医師に対して専門医の診断を受けるように助言して、万一の場合は引退の可能性を考えてほしいと示唆した。ところがX医師は医師会長の助言にもかかわらず診療を継続している。

ケース2
50歳の女性が下腹部痛で外科の診療所に受診した。患者には発熱はなかったが、右下腹部に圧痛を認めたので、医師は虫垂炎や子宮付属器炎を疑い、直腸診および婦人科内診を行った。受診後、患者から診察はわいせつ行為で許されないとの訴えが医師会にあった。診察時、看護師などの介助者は席をはずしていて、診察についての説明の有無は不明である。


ケース3
子どもの目の治療で、土曜日の午後1時前(受付時間は午前9時から午後1時まで)に眼科の診療所に行き診察を求めた。ところが、医師は他の患者の検査に時間がかかるとの理由で他の眼科を受診するように受付の職員を介して家族に伝えた。「診療時間内にもかかわらず、受付で断られた。少しでも医師に診てもらえれぱ納得するが、診もせずに他院に行くようにいわれたことに納得できない。」という訴えが家族から医師会に寄せられた。。

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ケース1に関しては…その内容も問題ありですけど、そもそもそういう医者も含めて人数に入っていますからね、日本って。産休、育休の医師も医師数に入っていますし・・・。ぼくはそっちも気になります。

 

ケース2は・・・こういった問題から通常看護師さんをつけて診察しますけどね。腹部の触診でも30代くらいまでは患者さんに聞きます。40代以上はいいのかと言われると、そんなことはないですが・・・特に気を付けています。内診や直腸診となると当たり前な気がして…(汗

 

ケース3は僕も救急の時に言ったりします。「今、患者さんを診療していて、今すぐには対応できない。もし、本当に緊急(今すぐに診療してもらう必要がある)だと思うなら他の病院に行きなさい」とか。実際に病棟で急変して人工呼吸器などにつなげている最中に、救急隊から電話があったりしたことも2回くらいはあります。

 

皆さん、このPDFファイルを見てどう思われますか?

 

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救急薬剤師育成講座:必要な薬剤を現場ですぐ判断できる薬剤師って・・・?

2012-03-24 21:26:38 | 医療

さて、もう1つ紹介します

 

 災害や救急医療の現場で診療チームに加わり、適切な薬を素早く用意し薬剤面で医師への助言にも当たる「救急薬剤師」を育てようと、岡山大薬学部は今月、救急薬学講座を創設した。岡山大によると、全国初の講座。

 学生は心疾患や呼吸不全、感染症など急性疾患のほか、高血圧や腎臓病など慢性疾患の診療にも参加し、現場の医師について症状の変化や、薬で患者の容体がどう回復するかを学ぶ

 岡山大大学院医歯薬学総合研究科の名倉弘哲准教授は「他のスタッフと連携し、急性と慢性どちらの症状でも必要な薬を現場ですぐに判断できる人材を育成したい」と意気込む。

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実は僕は来れには少し「???」と思っています。

 

救急の現場で薬剤師が急性、慢性の症状に対し必要な薬剤を判断できる・・・というのは「診断」能力が必要になってきます。症状に対して薬剤を使用することはもちろんありますが、それは背景にある様々なものを考慮して使用します。

 

痛みがあるから痛み止めを使用しました…と言われて、診断にたどり着くのが遅れてしまい、患者が死亡したらどうするのか・・・などなど、思うことはいろいろあります。

 

救急薬剤師講座はよいと思いますし、そういった知識に精通している薬剤師さんがいることはすごく良いことだと思いますが、必要な薬をすぐに判断できる薬剤師…というのに違和感を感じました。

それがOKだったらNP(Nurse Practisioner)だってすぐに養成していいじゃんという話になる。

 

 

皆さんはどう思われますか?

 

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精神的な労災に基準:月100時間の時間外労働は大勢いるだろうなぁ・・・

2012-03-24 20:58:16 | 医療

こんばんは

 

今日はうちの奥さんの誕生日なんですけど、結婚して初の誕生日にもかかわらず仕事+体調不良でお祝いできず(汗

とりあえず、おめでとうメールを送りましたが…・返信がないので寝ているのかな?

 

さて、本日はまずこちらの記事を紹介します。

 

 
うつ病など審査簡略化

 仕事上のストレスが、うつ病などの精神障害や自殺の原因となったと認められた場合には、けがと同じく、労災補償が受けられる

 これまでは詳細な個別審査が必要だったが、厚生労働省は昨年12月、具体例を交えた新たな認定基準を策定し、審査の簡略化や期間の短縮化を図っている。

 大阪府内の男性(32)は3年前、職場でのいじめが原因でうつ病を患ったとして労災申請を行った。審査に要した期間は約8か月。精神障害による労災認定では平均的だが、「治療費や生活費の負担が気掛かりで、待つのがつらかった。体調もすぐれず、もっと迅速にできないのかと思った」と振り返る。

 精神障害による労災申請は2000年度、全国で212件だったが、10年度は1181件に増加。認定率は過去5年間で約3割にとどまる。

 「そもそも、精神障害が労災の対象になると知らない人も少なくない」と大阪労働局・労災補償課長の菊池宏二さん。同課や大阪府内の各労働基準監督署では先月から、新たな認定基準の手引を備えている。

 新基準では、〈1〉ストレスの要因となった業務上の出来事について、労基署が申請者や家族、同僚、主治医らから聞き取る〈2〉その内容を、36項目の評価表に照らし合わせ、「強」となりうる具体例=表=があり、しかも「家族の死」など業務外での大きなストレスが見当たらないケースなどを労災と認定する――というのが基本的な流れとなる。

 従来の審査では、労基署の聞き取り結果を基に、精神科医3人が全ケースを協議して判断しており、平均で8・6か月かかっていた。今回の基準変更で、各労基署の担当者レベルで審査できるようになり、治療歴のない自殺事案など、判断が難しいケースを除き、精神科医による協議が省略される。

 判断の基準を明確にするため、各項目に具体例などが挙げられたのも特徴。例えば、「極度の長時間労働」については、「発病直前の1か月に160時間以上」「3週間で120時間以上」と、時間外労働の目安を具体的に示した。さらに旧基準では発症前の半年間が審査の対象だったが、セクハラやいじめがもっと早い時期から続いていれば、始まった頃の状況からストレスの度合いを検討するように運用が改められた。

 菊池さんは「本人がストレスに感じたことを時系列にまとめたメモや勤務状況、出退勤時間がわかる手帳や日記、メールの送受信履歴なども出してもらえれば、よりスムーズに審査できる」と話す。

 申請はパートなど雇用形態を問わず、全ての労働者が行える。治療費などが受けられる労災保険の各給付請求書を、主に職場の所在地を管轄している労基署に提出する。成年後見人や遺族、弁護士、社会保険労務士も代わりに提出することができ、事業主の協力が得られない状況でも受理される。

 新基準の内容をまとめた手引「精神障害の労災認定」は厚労省のホームページ上で公表されている。

強いストレスとみなされる具体例
・倒産を招きかねないミスをし、事後対応にもあたった
・仕事量が倍増し、時間外労働も月100時間以上となり、休日の確保も難しくなった
・配置転換としては異例なもの(左遷)で、職場内で孤立した
・転勤先が初めて赴任する国で、現地職員との会話ができないなど業務遂行に著しい困難を伴った
・同僚らが結託して、人格や人間性を否定する言動が執拗(しつよう)に行われた
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さて、先ほど夕食を駅前の蕎麦屋で食べていたのですが、家族と思われる二人の客が隣の席で相談していました。
 
たまたま内容が医療的な話で、思わず耳に入ってしまったのですが・・・まさにうつ病の話でした。
 
 
「~~ころから自分を卑下する言動が多く」「本を読むなどの集中力にかけ」「趣味などもできない」・・・というような内容で、その二人は「神経症じゃないか」と言っていたので、思わずそっちを見てしまい
 
・・・目が合って
 
「多分うつ病なので、病院に受診させてください」
と余計なことを言おうとしたら、席をたって出ていかれてしまいました。
 
恐らく仕事か何かで強いストレスを受けているのだと思うのですが、(たぶん、近いうちに受診させるような雰囲気だったけど)早めの受診をと思うばかりです。
 
 
過去に僕がドクターストップをかけたうつ病の患者さんがいました。精神科が近くになく、僕もたまたま巡回診療であっただけでしたので、本人と職場に指示をしただけでその後はかかわっておりませんでした。精神科でなくてもかかりつけの医師に相談するように入っていたのですが・・・。ただ、その後しばらくして職場に連絡を入れたところ、かなり元気になってきて、仕事内容の変更は成功したようだということでした。
 
その後、調子が良くなってきて、医師に相談なく頑張ってしまい、またうつ状態になり自殺未遂をしたという一件がありました。
 
 
 
医師の勤務環境も診療科や病院によって、さまざまだと思いますが厳しい場所は厳しいです。時間外勤務が100時間/月を超える医師は多く存在すると思います。そういう意味では具体的に時間を示されたので、今後医師の勤務環境などの変化が起こってほしいなぁと思うところです。
 
まぁ、医師不足が変わらなければ勤務時間を減らせないですけどね。まぁ、質を落とせばいいのかもしれませんが、質を落とそうという医師が必死で勤務するわけがないので、逆説的にそういう医師は勤務時間は減らせないでしょう。
 
そんなことをこの記事を見て思いました。
 

 

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