新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

看護師によって現場の状況は変わると思う

2012-11-11 21:59:43 | 医療

最後にもう一つ

 

 いま、病院は慢性的な看護師不足に悩まされている。なかには看護師不足が原因で、病棟閉鎖や病床削減に追い込まれている病院もあるほどだ。

 そんななか、優秀な看護師は「超売り手市場」となり、病院間で引き抜き合戦が起きている。実際に良い看護師がいるかどうかは、患者の寿命を伸ばしも縮めもする重要な要素なのだ。

 50代の会社員・A氏は肺がんで地元のがんセンターに入院。手術後、薬物治療を受けていたある日、突然の腹痛に襲われた。

「若い担当医師が『副作用にしてはおかしいなぁ』と首をひねっていると、横にいたベテラン看護師が私のお腹を触り、『先生、副作用ではなく何か合併症の疑いがあるのでは。腹部以外のレントゲンを撮った方がいいかもしれません』と進言。看護師のいうとおりにすぐに処置をとってくれ、なんとか事なきを得ました。あの看護師さんがいなかったら、今頃どうなっていたか」(A氏)

 現役看護師で作家の宮子あずさ氏によれば、医療現場ではこうしたケースはよくあることだという。

「専門医は専門外のことを意外に知りません。いろいろな科を渡り歩いてきたベテラン看護師の方が幅広い知識を持っていることが多いのは事実です。患者さんのちょっとした変化を見て、担当医の専門とは別の病気に気づくのも、看護師の大事な役割なんです」

 心臓外科の名医で、『ナースの常識!?医者の非常識!?』などの著書がある東京ハートセンターのセンター長・南淵明宏氏も、実際に看護師に助けられた経験を口にする。

「弁膜症の高齢の入院患者さんが突然、不整脈の発作を起こし、血圧が低下しました。私は血圧を上げるために昇圧剤を投与しようとして、間違えて降圧剤を投与してしまったんです。すぐに昇圧剤を投与して結果的には何事もなかったのですが、この時、焦っていた私と不安になっていた患者さんを救ってくれたのが担当のベテランナースでした。

 落ち着いて『いま、とっても良い薬を使いましたから、すぐ良くなりますよ』とやさしく声をかけると、患者さんは安心し、容態も安定しました。このナースはどんな言葉をかけたら患者さんに良い影響があるのかをわかっているんです」

※週刊ポスト2012年11月16日号

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

専門医が専門以外のことを知らないかは医師によると言わせてもらいます(笑)が、看護師さんによってかなり現場の状況は変わると僕も思っています。

僕は看護師さんあっての医師だと思っていますし、本当に看護師さんが不足するというのは病院にとって死活問題だと思っています。

 

意外と・・・僕も若手ですが、若手医師の間で看護師さんともめている医師もいるようですので・・・。お互い役割が違うのだから、尊重し合えばいいだけなのに

 

昨日の病棟バックアップ時も看護師さんからずいぶん話を聞きました。呼ばれたときに行って診察しても、それまでがどうだったのか、他に変わったことがなかったか、いつもと何か違いはないかなどは看護師さんのほうがわかっていますので。何故コミュニケーションエラーをしているのか・・・orz

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

http://blog.with2.net/link.php?602868

人気ブログランキングへ←応援よろしくお願いします

なかのひと

blogram投票ボタン

それでは、また

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

延命を控える:僕の中での基準と患者さんや家族への思い

2012-11-11 21:29:53 | 医療

さて、2つ目の記事を紹介します

 

 

 【辻外記子、月舘彩子】全国の救命救急センターの6割以上が、過去1年間に高齢者に対して人工呼吸器や人工心肺などの装着を中止したり、差し控えたりした経験のあることが、朝日新聞社の調査でわかった。救命医療で「最後の砦(とりで)」とされる救命センターでも、回復が見込めない患者に対し、家族や本人の希望があれば、延命治療を控える動きが広がっていた。

 最も重症の患者を診る3次救急を担う全国254の救命救急センターに10月、高齢者への終末期医療の実態を聞いた。57%の145施設から回答があった。

 この1年に救急搬送された65歳以上の高齢者に、人工呼吸器や人工心肺、人工透析などの積極的な治療を中止したり差し控えたりした経験の有無と件数を尋ねた。この結果、63%にあたる91施設が「ある」と回答した。呼吸器の中止・差し控えは計302件あり、このうち、患者の年齢や病気名など具体的データを挙げた中止例は14件あった。人工心肺の差し控え・中止は37件あった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

僕は前も書きましたが、「原疾患(僕らの場合、白血病や悪性リンパ腫、骨髄腫などの悪性疾患)」がコントロール可能であれば、条件が多少悪くても救命できると信じて治療します。

僕の基準としては

① 原疾患が治る可能性がある

② 救命の可能性がある

だけで、挿管・人工呼吸器管理などでもやります。

 

ただ、ここに書かれているように延命のための処置をすることは、よほど家族が望まれない限りはしません挿管することでご家族と話をしたりする時間がより少なくなるからです。

 

挿管して人工呼吸器管理をするということは、もう一度管を抜いて患者さんと家族が話せなくてはいけないと思っています。それを抜く見込みが全くないのに医師が実施するのは、医師の自己満足ではないかと思っています。

 

ですからよほどの急変時でない限りは、挿管するときにはその見込みも含めて説明し、ご家族の意見を聞きます。

 

わかりにくいので例を書きます

「○○さんは白血病の治療中に輸血関連急性肺障害(TRALI)という状態になりました。この状態であれば挿管して数日間対応し、一番重篤な時期を乗り越えれば救命できる可能性があります。必ずというわけではありませんが、人工呼吸器管理をして急性期をしのげればもう一度お話しできると思います。逆に挿管しないで救命できるかは、挿管しない時よりは低くなります。」

というような形で誘導します。というよりも、この場合は時間も勝負になってくるので細かい説明はできないというべきでしょうか。準備をしている間に家族に説明し、処置が終わった後でもう一度説明するとかですね。

 

逆に原疾患がコントロールできていない状況下で人工呼吸器を使うか、使わないか…ということに関しては通常は使わないほうがよいと考えています。

「○○さん(80代の骨髄異形成症候群の患者さんということにします)は今まで~で外来治療をされてきましたが、今回肺炎で入院されました。肺炎の重症度としては重症で、~~という状況であり、通常ならば挿管・人工呼吸器管理をする状況です。しかし、この肺炎が年齢だけではなく、骨髄異形成症候群という病気で不良品の白血球しか作れず、さらに数も少なくなってしまっていることが起因しているようです。この血液の病気は以前も申し上げましたが、骨髄移植以外では治らないため、自分の抵抗力が回復するという可能性は低いかもしれません。さらに白血病細胞も増えてきており、病気も進行してきているかもしれません。

私たちのできる方法は2つあります。1つは先ほども申し上げたように人工呼吸器を使い、全力で治療をすることです。しかし、もし救命することができなかった場合は、口から管を抜くことができなくなり二度とお話をすることができなくなります。

2つ目は酸素マスクで酸素投与を続けながら治療を行い、呼吸状態の悪化に合わせてモルヒネを使用していくことです。モルヒネは呼吸緩和などでも使用されますが、苦しい感じを患者さんに与えないようにすることができます。苦しさとモルヒネの量が丁度よい量であれば、意識を失うのは本当に酸素が減ってきて脳が酸欠になってくるまで粘れます。

 

要するに、機械の力を借りてでも救命しに行くか、自分で頑張れるだけ頑張ってもらって苦しくないように対応するか・・・という2つのやり方です。治療方針はそれ以外は変わりません」

 

そのようなことをいつも説明しています。ちなみにモルヒネをうまく使用するとSpO2 50%くらいまでは複数の患者さんで普通に話していました。最も低い数値は30%台。これは僕も驚きました。

 

この記事では救急救命センターですので、僕らと異なりいきなり運び込まれた方々も多いと思いますので、こんなやり取りはできないかもしれませんが…ある意味、できることを全てするのがよいのか悪いのかは患者さんや家族にもよりますし、患者さんや家族の希望があればそれに沿うのが悪いとは思えません。

 

この記事がどういう意味合いで書かれたかはわかりませんが、ちょっと気になったので紹介しました。

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

http://blog.with2.net/link.php?602868

人気ブログランキングへ←応援よろしくお願いします

なかのひと

blogram投票ボタン

それでは、また

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

3割の病院で重大な医療事故:システム作りが大事

2012-11-11 21:09:08 | 医療

こんばんは

 

今日は朝はランニングをして、論文(日本語のほう)を書き上げて、上司にメールで送り…あとは嫁さんとのんびりしておりました。本当は「悪の経典」という映画を見に行きたかったのですが、「雨が降ってくるので今日じゃなくてもよいのではないか」という嫁さんの意見に従い、家でゴロゴロしておりました。

 

まぁ、たまにはそういう時間が必要ですw

 

さて、今日はいくつか医療系の記事は出ていました。それぞれご紹介します

 全国の病院の約3割が、患者が死亡したり、重い後遺症が残ったりする重大な医療事故を3年以内に経験したことが、厚生労働省研究班の調査で分かった。しかし、原因を究明する組織に外部の人材が参加したのは半数以下だった。研究班は「原因究明には、中立性の確保が欠かせない。調査に必要な人材を病院側に紹介する支援体制づくりが求められる」と指摘する。アンケートは昨年9月に、3890病院を対象に実施、1261病院(32.4%)から回答があった。

 3年以内に重大事故を経験した病院は32.9%。規模別にみると、300床以上で63.6%▽100~299床29.4%▽99床以下で11.9%だった。規模が大きいほど割合が高いのは、患者が多く、高度な医療を行う機会が多いためとみられる。

 ほぼすべての病院が原因究明に取り組んだが、うち、法律家など外部の専門家の支援を受けたのは47.7%だった。原因究明で困ったことでは▽院内に事故調査の専門家がいない▽当事者以外に、事故に関連した医療分野の専門家がいない▽院外の専門家の支援を得ることが困難--の順に多かった。【八田浩輔】

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

原因究明はもちろん大事です。

原因(そのうちのいくつかは人手不足だと思いますが)を究明して、解決するための方策を示すこと、これはまさにシステムを作り直すことにつながります

基本的に今の医療体制でミスや事故を少なくするためには当然ながら、人の教育はもちろんのこと、必要のないことに時間を割かれないようにするためのシステム作り、ミスが誰の目にもつかないまま通り過ぎていかないようなシステムづくりが重要です。

そしておそらく今よりも人数は必要になると思います。医療従事者がやらなくてもよい仕事を他の方がやるでもよいです。

 

アメリカで「病棟」から「手術室」。「手術室」から「ICU」。「ICU」から「病棟」など移動する担当がいたり、各部署で担当がいたりと・・・あそこまでやると煩雑な気もしますが、日本の場合は少なすぎです。

 

いずれにしても安全弁を複数作る体制が必要なわけですが、それができるほどの医療従事者、病院勤務員がいないのだともいます。

 

そういうことに目を向けてほしいと心から思っています

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

http://blog.with2.net/link.php?602868

人気ブログランキングへ←応援よろしくお願いします

なかのひと

blogram投票ボタン

それでは、また

 

P.S

この記事を見たうちの嫁さんの第一声は「今の医師数、看護師数で事故をなくせというのが無理ではないか?」と言っていました。まぁ、それも含めてシステムづくりが必要だと思っています

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする