おはようございます。
先程、コメントでホジキンリンパ腫に関してのコメントをいただきました。僕の本のデータがありますので、データをアップさせていただきました。
使用した論文は画像の中に記載されていますので省略します(JCO 2012)。ホジキンリンパ腫の国際予後スコアが古いデータ(NEJM 1998)だったため、最近の患者さんではどのような成績になるのかを示した論文になります。
上の表はそれぞれの論文で示されている生存率(国際予後スコア:IPSごと)、下の図はJCO 2012で示されている生存曲線になります。今、画像をアップして間違いに気がつきましたがPFSではなく、EFSですから「無イベント生存率」なんですが、PFSが多かったからか無病生存になっていますね(汗
これ3校だから・・・直しているかな?帯広に帰ったら確認しよう・・・(汗
話を戻しますと・・・イベントフリーなので、イベント(多分死亡や合併症、その他のイベント)がない生存期間を示しています。
右は全生存期間(生きている患者さん、再発してもOK。逆に再発以外で無くなるのもカウントされる)
下に下がるほど患者さんの数が減っている(再発や死亡)ことを示し、それは100%(1.0)から0.0(0%)までで示しています。
最初のあたりで左のグラフで下がっている患者さんがおりますが、これは再発(というよりは合併症や難治:寛解に至らない、治療抵抗性)や死亡が初期に生じているものを示しています。
治療が終わってからも初期(2年くらいまで)は下がっていますが、これは再発していることを示しています。しかし、2年以降はかなりなだらかになり、再発率が低下していることを示しています。
2年以降の再発は少なく、5年以降の再発(イベントなので、合併症か何かかもしれません。論文を再確認はしませんので、すいません)はほとんどなく、質問にあった7年目の再発はまず考えにくいです(妊娠OKだと思います)。
一方、右のグラフ(と表)からわかることもあります。再発した患者さんがどの程度治療でレスキューできているかということです。全生存率はどういう状態(再発、治療中)でも生存していればグラフは下がりません。一方で、再発以外に心筋梗塞などで亡くなっても、グラフは下がっていきます。
わかりやすいのでIPS 4点や5点以上の生存曲線を比較してみます。EFSは4点では70%前後、5点以上では60%前後ですが、OS(全生存率)は4点では85%、5点以上では67%前後となっています。5点以上の人は再発後の生存率に改善が少ないため、再発した後の改善がこの時点では乏しいことを示しています。もちろん、背景因子(ホジキンリンパ腫は若年者は限局期が多いため、IPSが高い=45歳以上の可能性が高い・・というのもあります)があり、サルベージの治療がしにくいということもあるかもしれません。
逆に4点の方はOSは15%上昇しています。基本的に再発しても半分の方は完治に近い状態に持ち込める(治療が有効)ということを示しています(まだ、再発してからは5年以上は経過していませんのでなんとも言えないですが、多分大丈夫と思います・・・2年は経過してると思うので)。
このように再発後の治療反応性などの推測も可能で、それを見ながら次の手をどうするか、再発しないように手を打つべきか・・・などを個人個人に合わせて対策を決めます。なお、これは統計学的な資料でしかありません。もし、IPS5点以上の方が再発したとしても、全体と個人は違います。全てのデータで言えることですが、全体のデータがどうであっても患者さん個人がうまくいくかどうかが重要です。
昔、ある予後不良因子を複数持っている患者さんのOSがかなり低いことがわかっていました(論文上まとまったデータがなく、個別の報告を見ても誰もうまくいっていない)が、どうにか治療法を変えることで寛解に持ち込み、そのまま移植に突入しました。もう7〜8年経過しますが、無再発です。このようにデータはデータ、個人は個人と思っていただければと存じます(都合よく考え、前向きに治療は行う方が結果もついてくるように思います)。
この記事はいただいたコメントを見て作成したものですが、少しでも多くの方の参考になれば幸いです。
いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。
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