『豆茶飯』
「すまぬな、弥七、腹ぐあいはどうだ?」
「晩飯も食わずに飛んでまいりました」
「そうだろうと思ってな、豆茶飯を不二楼の板場へあつらておいたぞ」
「豆茶飯・・・?」
「これ、弥七。女房が武蔵屋という四谷界隈でそれと知られた料理屋をやっているというのに何もしらぬとは、どうしたことだ。今日はな、おはるの父親が、そら豆うまいのを持って来てくれてな。こいつをちょいと炒りつけ、水に浸けて皮をむいたのを茶飯へ炊き込む。これが豆茶飯だよ。」
「へへぇ。それは美味そうでございますね、先生」
「一緒にやろう。やりながら、さて、相談だ。弥七、ちょと、おもしろいことになってきたぞ」
【剣客商売:『陽炎の男』中「兎と熊」より】
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【豆茶飯】の作り方
●材料・・そら豆・昆布・米・醤油
そら豆を剥いて軽く炒り、すぐ冷や水に入れ皮を取る。
昆布を敷いた米に、水の10分の1の量の醤油を加えて炊き、炊き上がる少し前にそら豆を加える。そのままかき混ぜずに炊きあげて5分間蒸らす。
(料理指導=近藤文夫)
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