アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

年取ってから、記憶力が向上する可能性

2012年01月11日 | ピアノ
昨日引用した話では、いずれも「若いころは簡単に暗譜できたのに」となっていたが、私はそれには当てはまらない。

   にほんブログ村 クラシックブログ ピアノへ←暗譜チャレンジはボケ防止にいいかもね

なにしろ、若いころ(というか幼いころ)のピアノは、最大規模で「エリーゼのために」。中田喜直の「小さなお花のバレエ」とか程度の曲であれば、今でも暗譜できるしね(人前で堂々と弾けるかどうかは別の問題)。現在暗譜できないくらいの曲は、昔はそもそも弾いたことがなかったんだからなんともかんとも。

それで、若いころブイブイいわせてた人ですら、暗譜には苦労するようになると聞くのに、若いころの経験がベースになくて暗譜にチャレンジするとすれば、どうなるのだろうか?? という疑問に関連して、「記憶力を強くする」の本からいくつか。

まず、脳の細胞は、増殖しないってのが小学生でも知ってる大前提。これはこれでほぼ正しいんだけれども、例外がある。

例外が見つかったのは、脳の真ん中近くにある、海馬。マグワイアという人がタクシー運転手(ロンドンの細かい複雑な道路状況がすべて頭に入っている…)の脳を調べたら(ずいぶん奇抜な調査をしますね!?)、ここが大きくなってたというわけ。運転手をやるのなんて、大人になってからに決まってるけど、それからでも増える。ベテランになるほど増えてる。その後、ネズミの実験などでも、使えば使うほど海馬は成長し、そういうネズミでは記憶力が良くなっていることが確認された。老齢ネズミでも、刺激の多い環境においてやればちゃんと海馬の細胞が増殖するのね。これポイント。

海馬は、記憶力においては非常に重要な役割をしていて、かいつまんでいえば、側頭葉から情報を受け取って、なんか処理(重要な記憶の選別と整理?)して、側頭葉に戻す。海馬が働かなくなると、重大な記憶障害になって、新しい経験がまったく蓄積されなくなっちゃう(でも、長期記憶に入っているものの再生には問題ない)。

とはいっても、海馬は新しく作る記憶のすべてを司っているかというと、そんなことはなくて、例えば赤ん坊では海馬がちゃんとできていない…一番古い記憶がせいぜい三歳ごろだったりするのはそのためだけど、その前だって記憶をしないどころか、いろんなことを日々身につけている。ただ、「エピソード記憶」が未発達なだけ。

記憶にもいろんな種類というかレベルがあって、手続き記憶、プライミング記憶、意味記憶、短期記憶、エピソード記憶。手続き記憶ってのは、動作とかそういういわゆる「身についた」もの。身についたといっても実際には脳に記憶されている。小さいころから発達するし、逆にボケても最後まで、洋服の着脱とか動作関連は忘れない。

最後に発達してくるのが「エピソード記憶」で、これが海馬と深くかかわっているもの。自分の経験として結びついている記憶。

それこそ、タクシー運転手がお客さんの行き先を聞いて、たちどころに最適経路を導き出すように、そして新たな道路状況や変化も心に(というか脳に)刻み込むように、深い関心を持って、記憶に照らしていろいろ思考をめぐらせていると海馬はフル回転。そして使えば使うほどそういう記憶力は伸びていくというわけだ。

年取ってなお、伸びていく可能性があるのは、海馬が司る「エピソード記憶」。それに対して、「手続き記憶」はどう考えても子どものほうが上手そうだし、「意味記憶」(自分の経験と結びついていない、いわゆる知識的暗記)もね…

若いころ、たちどころに出来た暗譜というものは、「手続き記憶」+「意味記憶」で支えられていたと考えればなんとなく納得がいく。特に、「手続き記憶」は年取ってから新規獲得するのは難しくなっていると思うから、ここに頼って暗譜しようとしたらうまくいかないはずだよね。

そこで、年取ってから伸ばすこともできるはずの「エピソード記憶」を駆使した暗譜というのはどういうものか、という話になる。つづく、のか?(^^;;

にほんブログ村 ピアノ  ←ぽちっと応援お願いします
にほんブログ村 ヴァイオリン ←こちらでも
にほんブログ村 中高一貫教育
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする