アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

大人が弾くための「子供の情景」

2019年11月26日 | ピアノ
ピアノの名曲 聴きどころ弾きどころ」(イリーナ・メジェーエワ)の中に、「子供の情景」の話が出てきました。

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昭和のピアノ教室の発表会では、よく子どもが弾いていた印象ですけど、発表会で全曲弾くわけはなくて、最初の2つか、あるいはトロイメライって感じですね。

シューマン自身は「これは大人のために書いたものだけれど、易しいから子供でも弾ける」と言っていたとあります。メジェーエワさんの意見では「深い精神性を持っているので、子どもにはとても弾けない」「大人のまなざしから描いた子どもの世界」であるとのことです。

シューマンの曲によくあるクレイジーな感じが、ちょっと落ち着いてみえる、穏やかな曲ではあります。でもそれが爆発する前のクレイジネス、へんに大人っぽい、子ども顔をした大人みたいな気持ち悪さがある。たとえば10「むきになって」は、結局最後に最初のフレーズが戻ってくるところ、リピートしてしまいそうな、終わりであり始まりであり、ちょっと変な感じ。1「見知らぬ国々と人々」は、曲が始まる前からもうどこかでずっと鳴っている音楽に自分が乗っていくという感じ。終わり方も、クエスチョンマークっぽい。

演奏するときの難しさは、あらかじめ全体をつくれるかどうかで、最初に作品世界にうまく入れなかったら、リカバーするのは難しい、とも言っています。

以前に、ともかく人前全曲演奏にチャレンジしたので、書かれていることはなんとなく納得できます。

技術的に易しいという点については、私にとってはぜんぜん易しくないんですが(笑)
それでもシューマンの曲の中ではいちばん易しいというのはそのとおりでしょう。

技術的にはかなり易しくて、でも深いということは、大人再開ピアノ組には願ったりかなったりといえます。

私もまだまだアレで終わるつもりはありませんよ(^^)
また弾いてみたいと思っています。

「トロイメライ」は全曲の中で「要」の部分にありますが、クライマックスでありながら、弱音主体でゆったりというのがミソですね。

メジェーエワさんがいうには、「トロイメライ」を取り出してアンコールピースとして弾く場合は、少し大きめの声で語ることもできるけれど、全体とおして弾く場合はもうちょっと細かくしなければならないのでより難しい、と。必要以上にクライマックス感を醸し出すと夢がなくなって現実に引き戻されてしまう。

声楽の歌い方とは異なる、語りっぽい歌い方。そしてポリフォニーの加減が重要。

ここで盛り上げすぎず、さりげなく、あっさりと(そうしないと本当のクライマックスの「詩人は語る」まで持たない)、でも音色にはこだわって。

「詩人は語る」では、詩的な音づくりを考える。詩というのは言葉を削って作るもので、ストーリーよりも言葉そのもの。つまりここでは音そのもの、リタルダンド、フェルマータ、「間」というか静けさが大事。それと、クエスチョンマークというか、迷う心というか、作品自体が答えを探すような音楽になっている。

そういうことを読むと、そうだな、やっぱりまた弾いてみたい、と思います。

ほかにも、いろんな曲が取り上げられていて、なかなかおもしろそうな本でしたが、実際に自分が弾いた曲でないとなかなかピンと来ない部分が多くて。やはり、楽しむためにもまずは弾いてみたい…(逆立ちしても弾けない曲も多いが)


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