ようやく三楽章後半の話です(これで完結ではありません。三楽章の前置きがありますからねw)。
←ソナチネ、傑作です(と改めて)
三楽章って、わりと単純な音形をひたすら繰り返していくようなところが多いけれどそれが回数とか変化とか、なんか緻密に壮大に展開されてガーーッと最後まで引っ張られていってしまいます。繰り返してても飽きさせないというか。
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64-94小節(展開部①)
この「ラソミ」は70小節まで繰り返し続き、71小節で音域の移行があり、72小節からまた「ラソミ」、そして73小節には新しく「レ♯ド♯ラ♯」というメロディーが現れます。その二つが交互に現れ、その後また78小節から「ラソミ」だけになるのですが、今度は単なる繰り替えしではなく、1オクターブ上と元々の位置が一小節毎に交替して鳴ります。そして91小節からはまた同じ位置で「ラソミ」が鳴ります。そのような背景の上に、第一主題部のモティーフが二回鳴らされてゆきます。二回目は第一主題部が引き延ばされ、幻想的な雰囲気が醸し出されます。この一回目と二回目の差を付けるために大切なのは強弱記号の遵守と、91-94小節の単純さ、展開の停止、特に94小節の”retenu---“です。
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変化のさせ方はいろいろありうるわけですが…たとえば、飾りをつけるとか、音の高さを変えるとか…その中で、ラヴェルさんは時間の進みを自在に操るところがすごいなと思います。「二回目は第一主題部が引き延ばされ、幻想的な雰囲気が醸し出されます。」こういうのが萌え要素ですよね。
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95-105小節(展開部②)
第二主題が”tré expressif”という指示で現れます。先程の「5/4拍子→4/4拍子」という構造が、「5/4拍子→2/4拍子」に変更されています。そして先程は拍子が細分化されていましたが、5/4拍子のフレージングはここでは一つのスラーでまとめられています。ということは、5と2という極端な対比が生まれます。なのでアクセントは各小節の頭にだけ、付けて下さい。ラヴェルはここにはそのようにアクセントを書いています。
100小節からは、左手に出る新しいメロディーに意識を集中させてください。そして105小節の”retenu---“がやはり重要です。
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アクセント…ついてますねぇ。確かに。
ラヴェルさん言うところの「書いてあるとおりに弾いてくれれば、それでよろしい」。
(…ごっちゃりいろいろ書き込みすぎるから見落とすんだよぉ)
そうやって弾くと「仕掛け(変拍子)」が際立つのね。
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106-139小節 (展開部③)
ここは長い展開のセクションです。64-69小節で現れた第一主題と「ラソミ」モティーフからなる同一構造が調を変えて、4回繰り返され、4回目で、その同一構造は展開され、135小節の最高音「上四点嬰ハ音」まで鳴らされます。
このほぼ同一の3回の構造は、十六部音符を基礎とした構造が、フレーズのクライマックスに至ると三連符からなる構造に変化するという特徴がありますが、この三連符の構造のクライマックスの前には僅かなルバートがあってもいいかもしれません。これは1-39小節で禁じたタメのようなルバートの解禁です。多少のルバートがあると三連符のリラックスした感じが強化されるからです。しかしこの構造は4回目にはありません。4回目はフレーズが長くなり、135小節のクライマックスは、1-39小節と同様にルバートを禁じ、辛辣なフォルティッシモを鳴らした方がよいと思います。
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「辛辣な」フォルティッシモ…そゆの苦手なんだよねぇ。私が弾くとなんとなく緩みがあって平和な側へ流れるというか(単に停滞しているとも)
大きな音をうまく出すのが苦手というより(もちろんそれもあるが)
音を探していることが大問題な気がする。
つまり練習が足りないのと記憶力が悪いのと頭の回転が鈍いのが問題。やれやれ
(まぁ脳トレになりますね。と前向きに)
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140-158小節 (第二主題部の再現)
この楽章では恐らく第一主題部の再現は省略されています。第一主題部の省略は、メンデルスゾーンのソナタ形式的な無言歌や、大きな曲だとマーラーの交響曲第一番などに存在します。おそらくこのラヴェルのソナチネでは、展開部で第一主題のモティーフを大量に使用したので、再現しなかったのだと思います。
再現された第二主題は、提示部と同様にテンポ変化や、フレーズの長さによるアクセントの処理を適切に行います。
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157-172小節 (コーダ)
156小節は、53小節同様、2/4拍子を完成させないように、157小節をすぐに続けます。157-158小節も54−55小節と同様、調性が破壊されるようなパッセージなので、はっきりと弾きます。しかし同じ構造を二回繰り替えして、小節の頭に嬰ヘ長調の和音が二回鳴るので、一応嬰ヘ長調的な感覚が喚起されます。54-55小節にはイ長調です。
一楽章もこのように平行調による調性の対比が見られる、短調のソナタ形式の古典的な調性プランをラヴェルが踏襲していることが分かります。
159-170小節は、四分音符の数でフレージングを表記すると「{(3/3/3)/(2/2/2)}/{(3)/(2/2/2)}/{(3/3/3/3)}」という構造になっています。
大きな3つの構造が確認できますが、2つめの構造は1つ目の構造の短縮形で、身体的感覚を裏切ります。最後の「3」の4回の繰り返しは、まさに展開の停止です。
一番最後の171-172小節は、きちんと装飾音も拍に収まるように弾きます。
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凝った構造できっちりラヴェルさんが盛り上げてくれているので、小細工しなくてもとにかくパッキリ弾ければちゃんとかっこいい、まさに「書いてあるとおりに弾いてくれれば、それでよろしい」。最後ハズすとカッコ悪い(o_o)
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三楽章って、わりと単純な音形をひたすら繰り返していくようなところが多いけれどそれが回数とか変化とか、なんか緻密に壮大に展開されてガーーッと最後まで引っ張られていってしまいます。繰り返してても飽きさせないというか。
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64-94小節(展開部①)
この「ラソミ」は70小節まで繰り返し続き、71小節で音域の移行があり、72小節からまた「ラソミ」、そして73小節には新しく「レ♯ド♯ラ♯」というメロディーが現れます。その二つが交互に現れ、その後また78小節から「ラソミ」だけになるのですが、今度は単なる繰り替えしではなく、1オクターブ上と元々の位置が一小節毎に交替して鳴ります。そして91小節からはまた同じ位置で「ラソミ」が鳴ります。そのような背景の上に、第一主題部のモティーフが二回鳴らされてゆきます。二回目は第一主題部が引き延ばされ、幻想的な雰囲気が醸し出されます。この一回目と二回目の差を付けるために大切なのは強弱記号の遵守と、91-94小節の単純さ、展開の停止、特に94小節の”retenu---“です。
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変化のさせ方はいろいろありうるわけですが…たとえば、飾りをつけるとか、音の高さを変えるとか…その中で、ラヴェルさんは時間の進みを自在に操るところがすごいなと思います。「二回目は第一主題部が引き延ばされ、幻想的な雰囲気が醸し出されます。」こういうのが萌え要素ですよね。
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95-105小節(展開部②)
第二主題が”tré expressif”という指示で現れます。先程の「5/4拍子→4/4拍子」という構造が、「5/4拍子→2/4拍子」に変更されています。そして先程は拍子が細分化されていましたが、5/4拍子のフレージングはここでは一つのスラーでまとめられています。ということは、5と2という極端な対比が生まれます。なのでアクセントは各小節の頭にだけ、付けて下さい。ラヴェルはここにはそのようにアクセントを書いています。
100小節からは、左手に出る新しいメロディーに意識を集中させてください。そして105小節の”retenu---“がやはり重要です。
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アクセント…ついてますねぇ。確かに。
ラヴェルさん言うところの「書いてあるとおりに弾いてくれれば、それでよろしい」。
(…ごっちゃりいろいろ書き込みすぎるから見落とすんだよぉ)
そうやって弾くと「仕掛け(変拍子)」が際立つのね。
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106-139小節 (展開部③)
ここは長い展開のセクションです。64-69小節で現れた第一主題と「ラソミ」モティーフからなる同一構造が調を変えて、4回繰り返され、4回目で、その同一構造は展開され、135小節の最高音「上四点嬰ハ音」まで鳴らされます。
このほぼ同一の3回の構造は、十六部音符を基礎とした構造が、フレーズのクライマックスに至ると三連符からなる構造に変化するという特徴がありますが、この三連符の構造のクライマックスの前には僅かなルバートがあってもいいかもしれません。これは1-39小節で禁じたタメのようなルバートの解禁です。多少のルバートがあると三連符のリラックスした感じが強化されるからです。しかしこの構造は4回目にはありません。4回目はフレーズが長くなり、135小節のクライマックスは、1-39小節と同様にルバートを禁じ、辛辣なフォルティッシモを鳴らした方がよいと思います。
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「辛辣な」フォルティッシモ…そゆの苦手なんだよねぇ。私が弾くとなんとなく緩みがあって平和な側へ流れるというか(単に停滞しているとも)
大きな音をうまく出すのが苦手というより(もちろんそれもあるが)
音を探していることが大問題な気がする。
つまり練習が足りないのと記憶力が悪いのと頭の回転が鈍いのが問題。やれやれ
(まぁ脳トレになりますね。と前向きに)
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140-158小節 (第二主題部の再現)
この楽章では恐らく第一主題部の再現は省略されています。第一主題部の省略は、メンデルスゾーンのソナタ形式的な無言歌や、大きな曲だとマーラーの交響曲第一番などに存在します。おそらくこのラヴェルのソナチネでは、展開部で第一主題のモティーフを大量に使用したので、再現しなかったのだと思います。
再現された第二主題は、提示部と同様にテンポ変化や、フレーズの長さによるアクセントの処理を適切に行います。
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157-172小節 (コーダ)
156小節は、53小節同様、2/4拍子を完成させないように、157小節をすぐに続けます。157-158小節も54−55小節と同様、調性が破壊されるようなパッセージなので、はっきりと弾きます。しかし同じ構造を二回繰り替えして、小節の頭に嬰ヘ長調の和音が二回鳴るので、一応嬰ヘ長調的な感覚が喚起されます。54-55小節にはイ長調です。
一楽章もこのように平行調による調性の対比が見られる、短調のソナタ形式の古典的な調性プランをラヴェルが踏襲していることが分かります。
159-170小節は、四分音符の数でフレージングを表記すると「{(3/3/3)/(2/2/2)}/{(3)/(2/2/2)}/{(3/3/3/3)}」という構造になっています。
大きな3つの構造が確認できますが、2つめの構造は1つ目の構造の短縮形で、身体的感覚を裏切ります。最後の「3」の4回の繰り返しは、まさに展開の停止です。
一番最後の171-172小節は、きちんと装飾音も拍に収まるように弾きます。
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凝った構造できっちりラヴェルさんが盛り上げてくれているので、小細工しなくてもとにかくパッキリ弾ければちゃんとかっこいい、まさに「書いてあるとおりに弾いてくれれば、それでよろしい」。最後ハズすとカッコ悪い(o_o)
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