月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

淡路島でゆらり湯浴み。寿司処「新月」に

2020-07-13 15:05:15 | コロナ禍日記 2020

 

ある日。5月23日(土曜日)

 

 朝7時に起きる。TSUTAYAにDVDを返却。快晴。真夏のような暑さだ!

 この日。淡路島へむかって出発した。

 

 明石海峡大橋にむかって左右に首をふると、凪がおだやかな鏡のような海が広がっている。太陽の光が鏡面に反射してまぶしい。思わず、「写真をとっておいて!」と前に乗車しているNに即し、青さの奥に渦をみつけようとする。

 



 

  一昨年の同じ頃(年号が令和になった日)パパさんと訪れた「ホテルニューアワジ」に、Nをつれてきた。

 がらんとした館内に人はぽつぽつ。インフィニティプールのように、海の水平線と空が一体になった、お風呂「天宮の雫」へ。



 

 空はどこまでも水色に染められている。首から上だけ出して、海を横ぎっていく白い船をみた。むこうにみえる堤防では魚釣りをしている人が等間隔にいて、釣れたのか釣れたないのかわからないが、ぼんやり初夏の釣りをたのしんでいる。お父さんと息子、カップル、家族づれなど。足元にはバケツを置き、横並びで人がいて、湯の中から釣り景色をみている。

 ひねもす、のたり。という空気感。

 展望風呂をでて、石の外階段を裸足の足でぺたぺたおりていくと、狭い岩風呂になっていて、海岸沿い、でこぼこの岩陰と近い目線の中で、湯浴み。敷地内に源泉の湧くミネラル分がたっぷりのにごり湯“古茂江温泉”(古式源泉)は、どひょんと重い褐色湯だった。

 

 お風呂からあがって、マスクをつけたままホテルのまわりや、海そばを散歩した。風が爽やかに海沿いからせりあがってくる。釣り堀りまでいって、なにが釣れるのかをみる。小さな、キラッとした青い背をひるがえして泳ぐ魚だ。昼すぎなので、あまり釣れないようだ。お! ジェットエンジンの音が。しばらくすると観光客を5組ほど乗せたホテル専用の遊覧船がやってきた。全てが素晴らしく、白々しくもあり、現実に浮いているような感覚なのだった。 

 



 

 喉が乾いたので、入口近くのラウンジへ行く。ここは、海がよく見えてゆっくりとできていい。Nは、クリームソーダー、私は淡路牛の生乳をつかったパフェをオーダーし、ひと休み。

 






 ラウンジでも客の和はたったの2組。海がのぞめるソファに横並びになって、少し話し、それから黙って絵本を読んだ。

「スーホーの白い馬」。マーガレットワイズブラウンの「おやすみなさいの本」、「かもさんおとおり」。3冊とも読めたらNにまわし、普段なら携帯をいじっているのに絵本の物語を味わっていた。時間にして30分ほど。静かで良い時間。どれも良い内容の生きている幸せとかなしみを語っていた。

 

 夕食には少し早い。もう一度、今度は大きな浴槽がある半露天の風呂に入る。「くにうみの湯」だ。青々とした松陰から、海の波音がする。目をつぶって初夏の大海を心に、もう一度、湯浴みをした。

 

夕食には、寿司処「新月」にいく。すぐそばに、洲本八幡神社と厳島神社が並んであったので家族で、境内の前で手を合わせて、新型コロナの終息を祈願した。

 寿司処は、満席にちかい混み合いようで、カウンターもほぼいっぱい。予約をしていたので座敷(個室)に通してくれた。

 冷酒といきたいところを、パパさんは運転なので我慢してビールで。まず、地魚の盛り合わせ。あなご、うに、あわび、地たこ、はまち、さわら、とり貝、キス、サザエなど。追加で、いくら、うに、サワラ、キス、いわし、うなぎ、サザエなど旬の魚を、次々注文。

大将曰く「ここは地元でとれた魚しかつかっていない」と胸を張る。

 

 特筆すべきは、由良産のウニだ。保存料などミョウバンを使わないので、新鮮で口に含むや潮の甘さがつきあげる。サワラも身がしまっているのに、こんなにやさしい味。久しぶりの旬の魚。こういう時間も、後で貴重な思い出になると想いながら。

 







 

 帰宅すると、もう8時半。

今朝の分をとりかえすために原稿を1時間半まで書く。

 寝室にいくが、Nとじゃれ合っていて2時頃に「おやすみ」手をふって布団に入る。なんだか興奮のためにか眠れず。3時半まで起き、朦朧としてきたのは何時か。久々の外出の一日だった。