生と死…。宮本輝さんの作品を通して、いろんなことを考えさせられました。『星々の悲しみ』もそんな作品の一つです。
「自分がいままさに死にゆかんとしていることを知らないままに死んでいく人間などいないと、 ぼくは思う。」
束の間知り合った友人の死に直面する青年。とうの昔にこの世からいなくなった多くの小説家たちが、生きているときに何を書かんとしたのかを知りたいという願望のもとに、小説を読みふけるようになり、気づく。
すべては「死」を裏づけにしていたが、「死」がすべてである物語は存在しない…と。
人は、必ず、死ぬ。
いつの日か、必ず、終わりの来る人生を、生きている。
だからといって、死ぬために生きているのでは決してなく。
思う存分生きて笑顔で逝く大往生も、志半ばで消えゆく命もあって。
人知れず旅立つ命も、たくさんの涙に見送られる命もあって。
そのどれもが、「死」に向かっていたわけではなくて。
終わりゆくとわかっていても、「またね」と言って旅立っていく。
最期の時に見る景色は、いったい、どんなものなのだろう…。
『星々の悲しみ』は、短編集なのですが、この表題作がとても印象的で。
かなり読み込んだので、本もくたびれた感じになってしまいました。
東野圭吾さんや、貫井徳郎さんの本を載せていますが、今の私の思想に大きく影響しているのは、宮本輝さんの作品だと思います。特に、『海辺の扉』という作品にはかなり思い入れがあります。出会ったタイミングもあったと思いますが、生きるということ、そして、死ぬということについて、いろんなことを考えさせられました。永遠のテーマというか、18だったあの時から、ずっとそのことについて考え続けてきた気がします。
いつの日か、また、『海辺の扉』について語れたらなと思います。