”ダマスクローズをさがして” は第二幕目に入ります。今までにもましてダマスクローズに肉薄しようと考えています。ご期待ください。
2000年にダマスクローズ(R. ×damascene)のDNAを分析し、そこにRosa gallica, R. moschata、R. fedtschenkoana の三つの遺伝子(Triparental origin of Damask roses)が移入していることをIwataらがGene: X Volume 259, Issues 1–2, 23 December 2000, Pages 53-59.で発表しました。その大筋が次のサイトにありましたのでご紹介しておきます。HikaruIwataaTsuneoKatobSusumuOhnoc (一部分補足してあります)
概要
『ダマスクローズは、オールドローズの1グループであり、1800年代におけるヨーロッパのバラの改良に重要な役割を果たしました。ダマスクローズの起源を明らかにするために、4つの品種を最古のダマスク品種として選択し、分子レベルでダマスク品種とその推定祖先との関係を調べました。RAPD ( Randomly amplified polymorphic DNA ; 無作為増幅多型DNA;ダマスク品種をランダムに増幅した多型DNA ) 分析※4で、それらが共通の祖先から成り立つことを示す同一プロフィールを備えていることを証明しました。薔薇は性的生殖で増えることは決してなく、薔薇の繁殖は種子を経由せずに根、茎でふえるいわゆる栄養繁殖です。
リボソームDNAの内部転写スペーサーをシーケンシング※5することにより、Rosa moschata※1、R. gallica※2、R. fedschenkoana※3の3つのRosa種が4つの最も古いダマスクローズの形成に関与した親種と確認しました。また、psbA-trnHスペーサーシーケンスから判断して、最も古い4つのダマスク品種すべてが、R. moschataのみに由来する葉緑体を持っていることもわかりました。三つの親の特徴は、4つの最古のダマスク品種のいくつかの形態学的特徴である、果物のような形、葉の色、「苔」の特性などを説明しています。』
R.×damascenaがどの薔薇との交雑の結果生まれたのかは議論の尽きないところです。あのイギリスの園芸家Peter Bealesにしても結論の出せない問題であったと思われます。自著CLASSIC ROSESの中で『ダマスクローズはガリカ節と緊密な関係があるとは思うが、他の薔薇との関係を調べれば調べるほど判らなくなる。薔薇の一飼育家としては他の人の言うことに従うか、従おうとするしかない。』と述べています。これからそれを解き明かしていきましょう。
その前に、『概要』の中に出てきた4つの薔薇を先にご紹介しておきましょう。以前のブログに出てきた薔薇もありますが、まとめてここに並べておきました。
※1R. moschata(別名Musk rose)
※3 R. fedschenkoana
- Fedschenkoanaはインディカ節に属します。上の地図の黄色い部分で、カシミールから東南アジアに至る地域に分布しています。
※2 R. gallica(別名 R. rubra, French Rose)
R. ×damascena
CLASSIC ROSESによれば、『R. ×centifolia は R.gallica, R.canina, R. moschata その他の雑種であり、R. damascena も一役買っている。』と述べています。表に現れた表現型(他の植物と区別できる特性)だけで種を特定することは本当に難しいことですし、DNA分析も今ほど詳細な結果が得られるのものではなかったのです。 次回はPCR検査について少し触れることになります。
たった一つの薔薇しかありません。苦労をして手に入れたものですから、そのいわれを知りたくて調べています。今はダマスクローズのことしか書いていませんが、しばらくすると、2-3か月先になるでしょうか、育て方、増やし方にも触れようと思っています。ご意見をいただければ幸せです。
hanahanaと申します。
私の拙いブログをフォロワー登録いただきありがとうございます。
annabelさんはバラに付いてご造詣が
深いようですね。
私はバラ初心者で何も分からず只育てて
いるだけですのでそちら様のブログで
お勉強させて頂きます。