コーンビーフ ( Corned Beef )
1984年 3月の Gourmet 誌を何気なく見ていたらコーンビーフが目に飛び込んできました。平皿の真ん中の、スライスされた赤い肉がコーンビーフです。
この絵をみて、数日前に自宅で昼食を共にしたインド人との会話を思い出しました。
長く続く会話の中に「コーンビーフ」と言う言葉が出てきました。少し間をおいて、怪訝な顔で「コーンビーフってなに?」と言うのです。なんて説明をしたらわかりやすいだろうと一呼吸会話がとぎれると、続けて「どう綴るの?」と尋ねるのです。「cornedって・・・塩漬けの意味の。」と説明しても、「トウモロコシのコーン???」と質問が続いて飛び出しました。
「『コーンビーフ』は料理とその歴史にさほど興味のない方には正確には理解されていないのでは?」と、彼の質問から通じなかった理由に思い当たりました。
今取り上げているコーンビーフはCorned beef のことですが、日本でいうところのコーンビーフではありません。これだけの説明では「いったい何の事・・・・・?」という反応が返ってくるばかりでしょうね。
それもそのはずかも知れません。「Corned beef」は成程、発音すれば「コーンビーフ」と聞こえますが、正確に言うとコーンとビーフの間に、1/8呼吸くらいの間が入ります。-edを発音している(つもりの)間が空くのです。――― 言葉を換えれば、 -edの発音が聴こえづらいために―――― corned beefは日本語表記すればコーンビーフとなってしまいます。「そんなこと説明されなくっても分かってるよ。」と言われそうですが、コーンビーフが正確に伝わらなかった理由のもう一つに、日本でコーンビーフと言えば、巻き取り鍵で開ける、缶詰の中にこれでもかと押し込まれた、あのボロボロの、脂っぽくて白い、ギュウギュウに詰められた肉が思い出されてくるからでしょう。
本当の?コーンビーフの姿は遠のくばかりなのかもしれません。
先に、Guormet 誌に載っていたコーンビーフのレシピ( 上の写真の料理 )をご紹介してから「コーンビーフ」の説明を始めることにします。
コーンビーフ
材料:
コーンビーフ 875g
タマネギ(1/2に切る) 1個
ブラックペッパー 10粒
冬野菜
ホースラディッシュ
ディル
バター
方法:
鍋に水を5 L 入れてボイルする。コーンビーフ、タマネギ、ペッパーを入れてクックする。アクを取って3.5時間コトコトと煮る。20分間は肉を煮汁の中に立てて蓋をせずにクックする。ボードの上にのせて繊維を切る方向で肉を切り、野菜を添えてサーブする。
( レシピにはうたわれてはいませんが、写真上に写っているモルタルの中に、溶かしバターの中にディルとホースラディッシュを入れたコーンビーフに付けるソースが入っているのでしょう。)
「コーンビーフがどのようなものなのか」の理解が深まるように、 https://www.chefsteps.com/activities/corned-beef からコーンビーフの作り方を引用させていただきました。“ 9日間塩水の中に漬けて作る “という本格的なものです。
コーンビーフを作ることは、生ハムを作るよりもずっとハードルは低く、ローストビーフと同じくらいの手間で出来るので試してみる価値はありそうです。(下の絵は材料を並べたもの。)
Flavor-Packed Homemade Corned Beef With Nine-Day Brine
材料:
肩バラ肉 3 kg
コリアンダー 180 g
ブラックペッパー 144 g
マスタードシード 90 g
ディルシード 90 g
スターアニス 40 g
メイス 18 g
クローブ 18 g
チリ 10 g
塩 240 g
ピンクソールト 12 g
ブラウンシュガー 140 g
冷水 8 L
方法:
1. 肩バラ肉の余分な脂肪を取り除く。
2.塩水を準備する。
コリアンダー 80 g
ブラックペパー 64 g
マスタードシード 40 g
ディルシード 40 g
スターアニス 40 g
メイス 8 g
クローブ 8 g
チリ 5 g
塩 240 g
ピンクソールト 12 g
ブラウンシュガー 140 g
冷水 8 L
スパイスは全て挽いて塩、砂糖、水と一緒に混ぜる。
3 塩水の中に牛肩バラ肉を漬ける。
ばら肉を塩水に漬けて冷蔵庫に7-10日間入れておく。肉の中に塩水が行き渡ってピンク色になる。 一日に一度塩水をかき混ぜて塩の濃度を均一にする。
4 肉にすり込むスパイス。
コリアンダー 100 g
ブラックペッパー 80 g
マスタードシード 50 g
ディルシード 50 g
メイス 10 g
クローブ 10 g
チリ 5 g
スパイスを小さなボールに入れて混ぜる。
5 こすりつける。
塩水から肉を取り出してタオルで水気を取り、スパイスを全て肉にこすりつける。
6 加熱する。
ばら肉を真空バッグに入れて60 °Cで48時間クック※する。封をしたまま(密閉して)冷蔵庫で保管する。
※ 真空(低温)調理法( cuisson sous-vide )は、1979年にフランスでジョルジュ・プラリュ( Georges Pralus,1940/1/2-2014/5/15 )がフォアグラのテリーヌ調理のために開発した調理法です。生あるいは焼き目をつけて下処理をした肉と調味液をフィルム袋に入れて真空密封し、温度と時間がコントロール出来る調理器で調理します。細菌の増殖を抑えて食中毒を防ぐために、加熱後に90分以内に3℃以下に急速冷却する必要があります。タンパク質が63℃から凝固を始め、68℃から水分を分離し始めることを応用した料理方法です。
7 供するときには封を開けて漬け汁を捨てます。アイルランド人のように肉をスライスしてキャベツと一緒にサンドイッチにしたり、イギリス人のようにイングリッシュマフィンの中にとろとろの卵と一緒に入れたり、メキシコ人のようにターコーの中に細切りにしたコーンビーフをジャラペーノやキャベツと一緒に入れたり、あるいはスライダーバンの中にスイスチーズと一緒に入れて食べます。
残ったらラップに巻くか袋に入れて冷蔵庫で保存します。他のデリミートと同じくらい、2-3日日持ちします。
続きます。
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