Annabel's Private Cooking Classあなべるお菓子教室 ~ ” こころ豊かな暮らし ”

あなべるお菓子教室はコロナで終了となりましたが、これからも体に良い食べ物を紹介していくつもりです。どうぞご期待ください。

ダマスクローズ 80

2020年07月06日 | ダマスクローズをさがして — Ⅱ

ヒルデガルトの “Liber subtilitatum diversarum naturarum” と題した、生き物のさまざまな性質、自然の治癒力に関する本、(原因と治癒、Causae et curae:Ursachen und Behandlungen)は、“Physica” と題し、彼女の死後 1150から1160年の間に編纂され世に出たものです。

    

” Physica" から https://www.kraeuter-buch.de/magazin/bedeutende-kraeuterbuecher-im-mittelalter-9.html 

“Physica” は9冊からなり木、石、魚、鳥、動物、爬虫類、金属、植物など、あらゆる生物と自然の姿が描かれています。薬草は ”Über die Pflanzen“ ( 植物について ) の中で、当時知られていたほとんどの植物とハーブを非常に詳細に取り上げられています。

 

ヒルデガルトが人間の小宇宙と宇宙の大宇宙との間の医学的および科学的関係を詳述するとき、彼女は相互に関連している4つの形態、つまり火、空気、水、地球、4つの要素、4つの季節、4つの体液、地球の4つのゾーン、4つの主な風に注目しています。

彼女は体液理論の基本的な枠組みを古代医学から受け継いではいるのですが、ヒルデガルトが抱く4つの体液(血液、粘液、黒胆汁、黄色の胆汁)の階層的相互平衡(体液にもヒエラルキーがあると考えていたのでしょう)の概念は、「上位にある」又は、「下位にある」という基本物質の調和に重きを置くものでした。血液と粘液が天上界の要素である火と空気に、黒胆汁、黄色の胆汁が地上の要素である水と土に対してバランスが取れているか否かに注目しました。

ヒルデガルトは、病気の原因がこれらの体液の不均衡にあり、下位の体液によってアンバランスになった状態に原因があると解釈していました。このアンバランスな状態は、そして人間の病気の原因は、体液の不均衡の原因は、アダムとイブの堕罪によるものであると考えていました。それでは、具体的にどのような治療を行っていたのでしょうか。彼女の著書から二例引用しました。

“Physica" 『自然学』1151 - 1158 著から “ベルトラム” を引用しました。

ベルトラム※は Anacyclus pyrethrum ( アナキクルス・ピレスルム 別名 pellitory, Spanish chamomile, Mount Atlas daisy , Akarkara ) でカモミールに似たキク科の多年草植物です。     

 

※ベルトラム(piretri)(熱の3度,乾の2度) Tacuinum sanitatis in medicina)    

1300年代にヴェローナ(北イタリア)のセルッティ家が作らせた細密画入りのタキュイナム・サニタティス・イン・メディキナ

    

※ベルトラム https://jp.123rf.com/photo_53778630_anacyclus-pyrethrum-plant.html

            

           ※ベルトラムの根 http://bertramproject.be/?page_id=14 

Physica I-18. Bertram. / (Piretrum) から
『1. ベルトラムの根は温でやや乾燥した気質を持っているため、優れた強力な作用

    があります。

2. 健康な人では、血液中の老廃物を減らしきれいな血液を作ります。

3. それは純粋な知性を提供します。

4. すでに体重が減少している病人の場合、ベルトラムの根はそれを元の状態に戻します。

5. 十分に消化されない限り、体から離れることはありません。

6. 頭の中に多くの粘液がある病気の人は、ベルトラムの根をしばしば使うと、頭の 粘液が減ります。

7. 頻繁に使用すると胸膜炎を治し、きれいな体液になります。

8. 目をはっきりさせます。

9. この薬草は乾燥させて、食品と一緒に調理して使うと、病気に対して有効で健康 な人にとっても優れています。

10. ベルトラムの根を定期的に使用すると、病気を治し病気になるのを防ぎます。 口の中に唾液を生成し、その結果悪い体液を取り出し、健康を回復させます。』

ベルトラムは、北アフリカ、地中海、ヒマラヤ、北インド、レバント、アラビア半島で見られ、スパイスとしても使われています。皮膚に塗布すると、発赤、炎症を引き起こします。名前は、植物の古代ギリシャ語の名前 πύρεθρον (Pyrethrum) に由来します。アーユルヴェーダとシッダ(Siddha)にはこの植物の根が使用されており、何世紀にもわたって薬として使用されてきました。

 

 


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