“Das Kochbuck des Meisters Eberhard 1400”の中に名前のあったヒルデガルトについてこれから述べようと思います。彼女はドイツ人(少し風変わりな方かもしれませんが“ドイツ薬草学の祖“と呼ばれているほど後世にまで影響力を与えた方)ですので、彼女の書いた書物を通して、ドイツでどのようにイスラム文化が取り上げられたのかを知ることができます。ドイツ以外のヨーロッパの国とドイツのどこが異なるのかも理解できると思います。実際ドイツは、地理的にフランスやイングランドと比べても、イスラムとは距離があるのですが、文化においてはイスラムからもかなりのものを吸収していることが理解できると思います。そんなわけで、彼女を取り上げるについては、書き方によっては誤解を招くのではと少し迷ったのですが、筆を執ることにしました。
フェルヘンハイム(Fechenheimにあるヘルツヘス教会(Herz-Jesu-Church)で、使われていたヒルデガルトが描かれたタペストリー。現在はフランクフルトのハイリヒガイストキルヒ(Heilig-Geist-Kirche)で使用されています。WISSEDEWEGE(あなたが知っているように)と肖像の左側に刺繍があります。
原画を誰が描いたのかは不明ですが、彼女の雰囲気を良く捉えているのではと思っています。
彼女は1098年の生まれです。絵から想像できるように、身体が丈夫そうには見えませんが81歳の寿命を全うしました。子供の頃から亡くなるまで病気との共存生活が続いていたと自らの著に書き残しています。作曲家でもありそのメロディーは心を揺さぶるものがあります https://www.br-klassik.de/aktuell/br-klassik-empfiehlt/cd/cd-tipp-hildegard-von-bingen-100.html からも聞くことができます。
しかし彼女を最も特徴付けているのは “幻視”能力です。下の絵をご覧ください。
Hildegard of Bingen, under divine inspiration, dictating to the monk Volmar. Illumination in her book Scivias. "Scivias" 『道を知れ』(1141年 - 1151年) (1153出版) の挿絵。神からの啓示を受けているヒルデガルトと書記のフォルマール。この絵は修道女達によって描かれたと言われています。
ヒルデガルトが啓示を受けているところです。顔から光が出ているのではなく、天から啓示を受けているところです。『啓示とは天により、知識・認識が開示されることで、キリスト教は「啓示宗教」)であると自ら説いています。神自身が行為と言葉において自身を啓示しなければ、人間は神について何も知ることができない。また、人間は神をあるがままに認識することができない。そこで、神が自身の存在と性質、計画と意思について明らかにし、知識を伝達する限りにおいて、人間は神を知ることができる』(Wikiより)。キリスト教における“啓示“という考えがヒルデガルトの異常ともみえる“幻視”能力を異端視扱いしなかった理由の一つかも知れません。
書記のフォルマールがいたザンクト・ディジボード男子修道院跡
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