時には目食耳視も悪くない。

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【動画紹介】ヒトコトリのコトノハ vol.18

2023年08月11日 | 動画紹介
☆本記事は、Youtubeチャンネル『本の林 honnohayashi』に投稿された動画を紹介するものです。
 ご興味を持たれた方は是非、動画の方もチェックしてみて下さいね!

 ●本日のコトノハ●
  私はあらゆる意味に於て残骸だ!

 『山頭火 日記(二)』山頭火文庫6(1989)春陽堂


 人は自分のダメな部分からは目を逸らしがちです。少なくとも、私はそうです。
 例えば、つい先日などは台所から食卓に食事を運んでいる最中に、身体のどこかしらを家具の角にぶつけて、よろけた拍子に皿の上の料理を床に落としてしまうといった、つまらない失敗をしました。

 また、外出時に必要な物を持たずに家を出てしまい、用を足せないまま家へ戻らざるを得なくなることもあります。
 一つ一つは大したことのない失敗かもしれません。けれど、慎重に行動するようにすれば防げた失敗でもあるのです。
 もっとも、私の場合、失敗しないようにメモをとるようにしているのですが、いつだったか、しっかりメモをして、それを携行していたにもかかわらずそのことをすっかり忘れてしまったので、もうそんな自分にただ呆れるばかりです。

 いずれにしろ、私は自分が完璧とはほど遠い人間だと思っています。
 そして、この世には完璧な人間などは存在しないのだとも思っています。
 自分が間違うのだから、他の人だって間違うのは当たり前だと。

 20代の頃まで、自分の周りにいる大人、すなわち親や学校の先生、町で出会う大人たちは皆、正しいと思い込んでいました。
 なぜなら、それまで私は親から常に「お前はダメだ」と言われ続けていたからです。
 私は「自分はダメだから、周りの人たちのように正しくならないといけない」という考えに捉われていたのです。

 けれども、学生を卒業して、いろんなことを経験し、様々な人たちと出会うにつれ、その考えは違うということに気がつきました。
 世の中に絶対的な正義などない。人間は皆、不完全なんだと実感してから、私は自分の両親を客観的に判断できるようになり、自分自身のこともできるだけ俯瞰的に考えるようになりました。

 山頭火が感じたように、私も自分を残骸だと思っています。
 何かしらの形のある立派なものなんかには到底成れません。
 だからこそ、少しでも見栄えのよい何かになろうと、日々努力するのかもしれません。


ヒトコトリのコトノハ vol.18


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