BLロック王子小説「ディスティニーアンダー・グラウンド-ギターとスターに愛され過ぎた王子-」

 ★過去に傷を持つ美貌のロックギタリスト遠藤麻也(まや)。運命の恋人・日向 諒と東京ドームに立つが…

★BLロック王子小説20-25「ディスティニーアンダーグラウンド」

2019-07-02 14:52:18 | ★ディスティニー20章
「兄貴、ケガしないようにだけ気をつけてくれればいいから。
無理しないで、大人しくても兄貴が立ったままアップダウンつけてくれるだけでみんなかっこいいって喜ぶから」
 そう真樹に念を押されたが、麻也はちょっと吹き出してしまい、真樹に睨まれた時、みんなが声をあげた。
「三田さん!」
「ゆうべはごめんなさい!」
売れっ子のスタイリストが平身低頭だった。具合が悪いらしくアシスタントに付き添われていた。
「三田さんこそ大丈夫?」
「…はあ…それはどうにかなるから…麻也さんも諒くんもごめんね」
それよりも、と三田はゴージャスな総レースの白いシャツを差し出してきた。
 諒が受け取ってしまったが、
「ごめんなさい、夕べを思い出させてしまうようだけど、これ麻也くんに。着やすいかと思って。ドレッシーな感じだから、ダイナミックな動きを客席から要求されないと思うの」
「確かに優雅な感じでいいかもね」
と真樹は言うが麻也は、
「でも、すごく高そう」
妙に遠慮して、麻也はせめてアンコール用にそのシャツはとって置こうかと思ったが、諒が、
「これなら動きが麻也しくてもみんな納得すると思うし、これからの日程の定番にすれば?」
と仕事の顔で言うので
麻也はうなずいた。  
諒は心の中では、
(これステージで着たら麻也さん可愛いだろうなあ…)
と単純に喜んでいた面もあったのだが。
 直人もドラムのスティックを回しながら歩いてきて、
「ギターのネックのあたりに麻也さんが視線をやっていれば、その美しい顎のラインも、あいまってそりゃあもう男も女もキャーキャーで大満足よ」
それを聞いて一同爆笑…
 しかし、具合の悪い麻也はよろめいて諒に倒れかかってしまった。
 三田にはライブを見ていってほしいと頼んだが、二日酔いでこれ以上動けないと言って、須藤たちににも昨日の事を謝ると代理にアシスタントをひとり置いて帰っていった。
「武道館には行くから許してえ~」
と、真っ青な顔で言いおいて。

★BLロック王子小説20-24「ディスティニーアンダーグラウンド

2019-07-02 12:50:42 | ★ディスティニー20章
 真樹をこれ以上心配させたくなくて、諒はぐっとのみこんだ。
 とにかく諒、相手の思うツボになっちゃだめだよ…
 
 …そしてまたサロン付きバスで、ディスグラは大名旅行のように次の公演地へ向かった。その頃には諒も気持ちを立て直し、いつものように麻也に寄り添っていた。
 そして、入り待ちの追っかけの目を逃れるようにスタッフ任せではなく、背の大きい諒が麻也の肩を抱き、促すようにして会場の楽屋へと入っていった。
 このバスの大きさ豪華さも入り待ちのファン達には話題になったらしい。
 みんなはすぐ昼食だったが、麻也は薬のせいでいつも通りまだ睡眠タイムだ。
 それでもソファに寝転がったまま麻也は、
「諒は? 諒は、ちゃんと食べてる?」
と心配している。
 うん、食べてますから安心して、社長命令だし、と諒が元気に答えると、良かった、と言ってまた麻也は眠りに落ちる。
 社長命令というのは、ボーカルとしてのコンディション第一のはずの諒が麻也と食事を取りたいと食事の時間をずらすと言ったことが発端だった。
 麻也と真樹はすぐに反対したし、直人も気持ちはわかるがツアー中なのだからやめろと言った。
 それでも諒はごねたので、須藤が社長命令にしてもらいますとその場で社長に電話をかけ、諒は社長にたしなめられ、命令されたのだ。
 麻也がキャロットジュースとプレーンのヨーグルトの昼食を取り終えると、リハーサルの時間になる。
 この頃になると麻也の頭も起きて、ステージの上でギターを持って動けるようになっている。
 この日は初めてライブをやる土地で完売が遅かったこともあり、メンバーにも気合が入っていた。
 その一方で、麻也は困っていた。
 ファンにも関係者にも、ギターを弾きながら仰け反る姿が大評判なのだが、今回のツアーでは、
 今日に限ったことではないが、やはり体は動かない、と言うか筋肉がほぐれてくれない。
一応ストレッチはしてみるが…だるい。根性には自信はあったのに…