リハーサルも順調に進み、楽屋もまあまあ…
というのは、ずっと諒にまとわりつく、売れっ子女優の響子ご一行がやってきていたからだ。まあ、夫も一緒だったのでおとなしくはしていたが。
しかし彼らは麻也につきまとう大御所俳優の2世の、藤田冬弥も連れてきていたのだ。
それを軽くいなして…いよいよステージ衣装に着替えをしていると、真樹が近づいてきて小声で尋ねてきた。
「兄貴、背中のほくろ大きくなってない?」
「えっ?」
こんな時に言わなくても…と少し麻也はむっとしてしまった。
それは自分でも日頃から、皮膚ガンだったらと少しは心配しているということなのかもしれない。
二人の動きが止まっていたのに気付いたらしい諒が、
「どうしたの? 大丈夫?」
「いや、兄貴の背中のほくろが気になって。両方を大きくなったような気がして。こんな時にごめんね」
真樹は、麻也の肩甲骨の下、背骨を挟んで左右対称の真っ黒な大きな二つのほくろのことを言っているのだ。
天使の翼をもぎ取った痕のよう、などと諒はいうけれど実はそれほどは大きくない。
すると、諒はあっさりと、
「ううん、大丈夫。大きくなってない。ゆうべ確認したし」
言ってから3人で真っ赤になったが諒が立て直し、
「諒子ちゃんが言うからには大丈夫。ほら、着替えて着替えて」
メイクも髪も美しく仕上がるとステージに上がる直前に4人揃ってポーズをキメて、いつもとおり撮影。
麻也はツアーラストのその武道館に臨む、特別な緊張はなかった。
最後まで気持ちの糸も切れないようにしていなければとは思ったけれど…
もう後は何も考えないようにする…
とは言うものの、早いうちに麻也はジャケットを脱いでしまい、いつぞやスタイリストの三田からプレゼントされた白の総レースのシャツでギターを弾きまくっていた。
曲の合間に脱いだのだが、それだけでキャーキャーと観客席から歓声が上がり、麻也がが照れ笑いを浮かべると、お約束のようにまた、かわいい、キャーキャーと歓声があがる。
でも、心配そうに見いる観客もいた…
麻也の体調不良はもう知れ渡っていた。
しかし彼らは麻也につきまとう大御所俳優の2世の、藤田冬弥も連れてきていたのだ。
それを軽くいなして…いよいよステージ衣装に着替えをしていると、真樹が近づいてきて小声で尋ねてきた。
「兄貴、背中のほくろ大きくなってない?」
「えっ?」
こんな時に言わなくても…と少し麻也はむっとしてしまった。
それは自分でも日頃から、皮膚ガンだったらと少しは心配しているということなのかもしれない。
二人の動きが止まっていたのに気付いたらしい諒が、
「どうしたの? 大丈夫?」
「いや、兄貴の背中のほくろが気になって。両方を大きくなったような気がして。こんな時にごめんね」
真樹は、麻也の肩甲骨の下、背骨を挟んで左右対称の真っ黒な大きな二つのほくろのことを言っているのだ。
天使の翼をもぎ取った痕のよう、などと諒はいうけれど実はそれほどは大きくない。
すると、諒はあっさりと、
「ううん、大丈夫。大きくなってない。ゆうべ確認したし」
言ってから3人で真っ赤になったが諒が立て直し、
「諒子ちゃんが言うからには大丈夫。ほら、着替えて着替えて」
メイクも髪も美しく仕上がるとステージに上がる直前に4人揃ってポーズをキメて、いつもとおり撮影。
麻也はツアーラストのその武道館に臨む、特別な緊張はなかった。
最後まで気持ちの糸も切れないようにしていなければとは思ったけれど…
もう後は何も考えないようにする…
とは言うものの、早いうちに麻也はジャケットを脱いでしまい、いつぞやスタイリストの三田からプレゼントされた白の総レースのシャツでギターを弾きまくっていた。
曲の合間に脱いだのだが、それだけでキャーキャーと観客席から歓声が上がり、麻也がが照れ笑いを浮かべると、お約束のようにまた、かわいい、キャーキャーと歓声があがる。
でも、心配そうに見いる観客もいた…
麻也の体調不良はもう知れ渡っていた。
もちろん身内ははっきり知っていた
麻也の体調が悪いのが知られていること、そしてそれは鈴音との恋愛トラブルのせいと怒っている、追っかけが多いことも。
麻也の体調が悪いのが知られていること、そしてそれは鈴音との恋愛トラブルのせいと怒っている、追っかけが多いことも。