「晴美ちゃん、ごめん、てば。他の人たちとは別れるから、許して…」
「無理、っていうか、諒の本命はあのギターの麻也とかいう人じゃん」
「えっ…」
諒は絶句した。
晴美は諒と同じ年で、その時はハタチだった。
しかし、諒のカノジョたちの中でもいちばん聡明で落ち着いている晴美には一発で見抜かれてしまったということだ。
が、諒はあわてて、
「いや、そんなわけないじゃん。何よりあの人は男なんだよ。」
「でも、ステージの上なのに、諒ったらあの人にキスする時だけ、動揺してるんだもん」
「…」
「ほら図星でしょ?」
その時の諒は男であるという点で、麻也への気持ちを白状することはできなかった。それでどうにか、
「いや…でも、俺はもう晴美ちゃんなしではいられないもん」
それは全くの嘘ではなかった。
音楽のことや文学のこと、アートなんかの好みが合って、話がすごく盛り上がって…でも…ベッドの中では…初心者なので諒に頼りきっているのが可愛らしくて…
晴美の方もやっぱり諒を失うのは嫌なわけで…その後もズルズルと付き合い続けて…
別れた後に、大翔が晴美のお腹にいることがわかって…もう新しい彼氏がいたというのに…
その後は大変だったが、実家の両親に預けている大翔を見るたび諒は思う。外見は自分に似てしまったけれど、子供のくせにどこか落ち着いたところや賢いところは晴美に似て良かったと。
晴美の方もあの彼氏と無事結婚したと、諒は父から聞いていた。
いつの日か大翔を、あの素敵な母親に会わせたいとも諒は強く思っている。
(そういや俺、麻也さんの実家に泊まったことがあるんだよな…)
目がさえてしまった諒は色々なことを思い出す。
大学に行っていた頃、諒は直人と、真樹の家に泊まりに行ったことがある。ロック同好会で出会った三人の合宿ということで…
しかし、麻也は前のバンド、プロとは名ばかりにされてしまったバンドで活動していて、父に勘当されていたためにその時家にはいなかった。
真樹の母の手料理やスイカをごちそうになり…
2階の広い座敷で合宿らしく雑魚寝させてもらって世間話になったが…
「無理、っていうか、諒の本命はあのギターの麻也とかいう人じゃん」
「えっ…」
諒は絶句した。
晴美は諒と同じ年で、その時はハタチだった。
しかし、諒のカノジョたちの中でもいちばん聡明で落ち着いている晴美には一発で見抜かれてしまったということだ。
が、諒はあわてて、
「いや、そんなわけないじゃん。何よりあの人は男なんだよ。」
「でも、ステージの上なのに、諒ったらあの人にキスする時だけ、動揺してるんだもん」
「…」
「ほら図星でしょ?」
その時の諒は男であるという点で、麻也への気持ちを白状することはできなかった。それでどうにか、
「いや…でも、俺はもう晴美ちゃんなしではいられないもん」
それは全くの嘘ではなかった。
音楽のことや文学のこと、アートなんかの好みが合って、話がすごく盛り上がって…でも…ベッドの中では…初心者なので諒に頼りきっているのが可愛らしくて…
晴美の方もやっぱり諒を失うのは嫌なわけで…その後もズルズルと付き合い続けて…
別れた後に、大翔が晴美のお腹にいることがわかって…もう新しい彼氏がいたというのに…
その後は大変だったが、実家の両親に預けている大翔を見るたび諒は思う。外見は自分に似てしまったけれど、子供のくせにどこか落ち着いたところや賢いところは晴美に似て良かったと。
晴美の方もあの彼氏と無事結婚したと、諒は父から聞いていた。
いつの日か大翔を、あの素敵な母親に会わせたいとも諒は強く思っている。
(そういや俺、麻也さんの実家に泊まったことがあるんだよな…)
目がさえてしまった諒は色々なことを思い出す。
大学に行っていた頃、諒は直人と、真樹の家に泊まりに行ったことがある。ロック同好会で出会った三人の合宿ということで…
しかし、麻也は前のバンド、プロとは名ばかりにされてしまったバンドで活動していて、父に勘当されていたためにその時家にはいなかった。
真樹の母の手料理やスイカをごちそうになり…
2階の広い座敷で合宿らしく雑魚寝させてもらって世間話になったが…