次に麻也が目を覚ました時は、さらに申し訳ないぐらいに疲れた様子の真樹が、
「兄貴ごめん何から話せば…」
いつしか横にいた、これまた疲れた表情の鈴木が、
「新聞に自殺未遂か?とか出てしまったんです。これからご両親がいらっしゃるのに…」
「親父とお袋には、兄貴は疲れていて、薬を飲み間違えて入院したって説明したのに…」
父も母もその記事を読んでしまって、空港で倒れそうになり、周りの人に助けてもらったのだという。
その時真樹の携帯が鳴った。
「親父だ…」
真樹は仕方なくといった様子で出たがすぐに、
「うん、大丈夫。兄貴と替わるね」
麻也は仕方なく携帯を受け取ったが、
何と言っていいものかわからず…
「おい麻也か麻也…」
「父さんごめん…」
「お前は何をやってるんだ。今羽田に着いたからすぐそっち行くから」
「お兄ちゃん、お兄ちゃん…」
電話をひったくって割り込んだ母は半狂乱だった。
「母さん、ごめん」
「お兄ちゃん大丈夫なの? 自殺なんて嘘よね?」
大泣きされた。
「間違って薬を飲んで運ばれただけだから」
そう言うのがやっとだった。
麻也は頭の片隅で思った。
諒はこのことをどう思っているんだろう…
「うんまだ病院で寝てるから…」
そこまでが限界で、麻也は真樹に携帯を返してしまった。