BLロック王子小説「ディスティニーアンダー・グラウンド-ギターとスターに愛され過ぎた王子-」

 ★過去に傷を持つ美貌のロックギタリスト遠藤麻也(まや)。運命の恋人・日向 諒と東京ドームに立つが…

★BLロック王子小説23-7「ディスティニーアンダーグラウンド」

2020-07-11 21:06:24 | ★ディスティニー第23章
次に麻也が目を覚ました時は、さらに申し訳ないぐらいに疲れた様子の真樹が、
 
「兄貴ごめん何から話せば…」
 
いつしか横にいた、これまた疲れた表情の鈴木が、
 
「新聞に自殺未遂か?とか出てしまったんです。これからご両親がいらっしゃるのに…」
 
「親父とお袋には、兄貴は疲れていて、薬を飲み間違えて入院したって説明したのに…」
 父も母もその記事を読んでしまって、空港で倒れそうになり、周りの人に助けてもらったのだという。
 
 その時真樹の携帯が鳴った。
「親父だ…」

真樹は仕方なくといった様子で出たがすぐに、

「うん、大丈夫。兄貴と替わるね」

麻也は仕方なく携帯を受け取ったが、
何と言っていいものかわからず…
 
「おい麻也か麻也…」

「父さんごめん…」
 
「お前は何をやってるんだ。今羽田に着いたからすぐそっち行くから」
 
「お兄ちゃん、お兄ちゃん…」
 
電話をひったくって割り込んだ母は半狂乱だった。
 
「母さん、ごめん」
 
「お兄ちゃん大丈夫なの? 自殺なんて嘘よね?」
 
大泣きされた。

「間違って薬を飲んで運ばれただけだから」
そう言うのがやっとだった。
 
麻也は頭の片隅で思った。
 
諒はこのことをどう思っているんだろう…
 
「うんまだ病院で寝てるから…」
 
そこまでが限界で、麻也は真樹に携帯を返してしまった。