BLロック王子小説「ディスティニーアンダー・グラウンド-ギターとスターに愛され過ぎた王子-」

 ★過去に傷を持つ美貌のロックギタリスト遠藤麻也(まや)。運命の恋人・日向 諒と東京ドームに立つが…

★BLロック王子小説24-16「ディスティニーアン ダーグラウンド」

2021-04-05 21:52:00 | ★ディスティニー24章
「どうしたの?」
 麻也は自分も驚いたことに、以前のようにクールに言ってしまったが、諒には自然に聞こえたようで、特に何も言われなかった。
「いや、ここでメンバーだけで宴会しないか、って誘えばよかったな、って」
 麻也は返事をしなかった。
 もう少し、諒と二人きりの日々を楽しみたかったから…
「あれ、麻也さん嫌だった?」
「ううん…」
「え? じゃあ何で?」
 麻也は以前のように諒に微笑んで、
「諒ったら、それを俺に言わせるの?」
「な一んだそうか~。もー麻也さんたら♪」
 喜んだ諒はまたキスを頬にくれた。麻也は、諒を強く抱き締めた。
 (嬉しい。もう離さない…)
「あ…」
「えっ? 麻也さんどうした?」
「いや、そういえば、東京ドームが控えてたんだ、って急に思い出したんだ」

★BLロック王子小説24-15「ディスティニーアン ダーグラウンド」

2021-04-04 21:31:00 | ★ディスティニー24章
「もー、何考えてるんだよっ! テレビ見てたのっ! そりゃ手ぐらいはつないでたけど」
 諒の様子だと、真樹は相当ヘンなことを言ったのだろう…まあ、諒の返しも返しだからいいけれど…
「何見てた、って何だっていいだろっ! 録画してた〈恐竜の歴史〉だよ!」
 疲れている日は堅い番組の方が楽なので、本当に見てはいたのだが…
「もともと二人ともそういうのは好きだよ。それにどうせ麻也さんの顔しか見てないんだからいいじゃん」
(もう、諒ったら…)
 恥ずかしくも、麻也としては嬉しい。
「…え? もう切っちゃうの? 何か用事があったんじゃないの? 何だよ、ドッキリみたいじゃん…はい、おやすみー」
 と、電話を切られてから、諒は、あっ、と声をあげた。


★BLロック王子小説24-14「ディスティニーアン ダーグラウンド」

2021-04-03 23:12:00 | ★ディスティニー24章
 諒は麻也を優しく見つめると、
「まあ俺も焦ってるけど、麻也さん、この期間を楽しむことにしない?」
「えっ?」
「いやあ、この先ドームに何度立てるかわかんないけど、って、立つつもりだけど」
と、諒のいつもの生意気っぽい口調で、 
「初ドームまでの日々なんて、人生で一度しかないじゃん」
「確かにそうだね」
「俺、楽しみだよ。ステージで、笑顔でギター弾きながら麻也さんが俺の方に歩いてくるのが…」
 無邪気な諒の笑顔に麻也も引き込まれて思う。
 諒が日本一のキャパのステージで、高々と手をあげ、キラキラと輝きながら歌い、客席が熱狂するさまを…
 
 そんないいムードの時に、今度は真樹からメール…
 
ー兄貴、その後どう?
 
ーおかげさまでいい感じだよ。

ーじゃあ、諒を電話でからかってもいい?
 
ーふふ、やってみて。
 
 するとすぐに諒の携帯が鳴った。
「ああ、真樹? うん、今は麻也さんといちゃいちゃしてたよ♪」
 
 

★BLロック王子小説24-13「ディスティニーアン ダーグラウンド」

2021-04-02 22:50:02 | ★ディスティニー24章
 麻也がサイドテーブルの携帯を取ろうとしたら、切れてしまった。
 誰からなのか諒が気にしているのがわかるので、
「真樹からだったんだけど…どうしたのかな…」
 まだ何かあると、悪い方に考えてしまう。
 それを吹っ切るように、麻也はテレビに目を向けたが…
「あと10日ぐらいしかオフはないんだよねえ…」
 思わず麻也はつぶやいていた。それを聞いて諒は吹き出し、
「麻也さん、夏休みの小学生みたい」
 これには自分でも笑ってしまった。しかし、
「いやあ、どう動いたものか悩んじゃって。まだ打ち合わせもしてないし、スタジオにも入ってないし…」
「まあ焦んないで、って麻也さんがここまで元気になってくれたのが嬉しい!」
 と、長い腕を絡ませて抱きついてきた。
 麻也ははしたなくも思った。
(東京ドームでも、こうして諒に抱かれたい。ステージでライトを浴びながら…) 
 

★BLロック王子小説24-12「ディスティニーアン ダーグラウンド

2021-04-01 21:46:00 | ★ディスティニー24章
 いくら諒の優しさが戻っているとはいえ、本当に再び以前の関係に戻れるのか
(でも退院したことは伝えなきゃな…)
 でもメールは後にしよう。
 今は…
(諒の体温と匂いを味わっておこう…)
 
 …夜には気分も体の方もかなり元気になってきたような気がした。
 諒がシャワーを浴びている間に、恭一にメールした。
 嬉しいことに、すぐに返事は来た。
 
ー退院おめでとう!諒くんとラブラブでよかった。落ち着いたら、まずは二人でメシでもどう?時間できたら教えてね。
 
(そうだよねえ、二人だけでしみじみ語り合いたいよねえ) 
 そこへ、タオルで茶髪を拭きながら、湯上がりの諒がやってきて、
「麻也さん、何かいいことあったの?」
と笑顔で尋ねてくる。
「うん、恭一からメールの返事」
 すると諒は、相手が恭一ということだからか、嫉妬の色も見せずあっさりと、
「そうだ、俺には遠慮しなくていいからさ、今度ニ人でゴハンとか行ってきたら?」 
 麻也はかなりほっとしたが…
 でも、ふとした隙に、やっぱり色々と思い出してしまうのがつらい… 
 
 それを察したらしい諒に誘われて、麻也は、その後はベッドに入ってテレビを見ることになった。
 その時、麻也の携帯が鳴った。
 真樹からだった。