ようこそ里山へ 茨城笠間・青葉って永遠

茨城県笠間市。観光と陶芸の町の知られざる宝。穏やかな里山と田園は心の原風景。庭と山川草木、体感する旬の言の葉たち。

石の山でも育つヤシャブシ

2011-07-03 05:02:24 | 里山の役者たち
 石切り場に、森の芽生えがありました。荒地でも元気なヤシャブシが自生し、根を張り、土砂の流出を防いでくれています。縁の下の力持ちとして、森の再生の先駆となり、今日も葉を広げ、天に伸びていく姿に感嘆します。

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 笠間の西部、稲田地区には、みかげ石の採掘場がいくつもあります。
直立した岩肌、おびただしい白い石の数々、風化した石の砂が広がるユニークな景観です。

 夏は炎暑、冬は寒風、潤いも養分も無く、自然の再生の道は遠いか、と思うところに元気者あり。
岩の間からどんどん伸びようと競っている若木たちがいました。
ヤシャブシ君です。

先日お伝えしたイヌシデや高原のシラカバの仲間、カバノキ科に属し、荒地にきわめて強い樹木です。
日当たりさえよければ、砂地でも崖でも平気で、しかも成長が早い。
その秘密は、根っこに根粒があり、菌と共生しているからです。

 こちら、現役の石切り場に育っているヤシャブシ君は、すべて自生したもののようです。
そこかしこに、どんどん群生を始めています。
この圧倒的な力強さには希望がありますね。

たぶん、どこかの土砂崩れ防止のために植えられたものの子孫が、このような形で仲間を増やしたのでしょう。
種は小さくて軽くて、風に流され飛んいく・・・もうだめかなというところで着地し、しっかり発芽する。
風流でたくましい生き方。

花も実も、ウズラの卵くらいの丸くてざらざらした穂の姿で、ドライフラワーでも珍重されるとか。
ここで語るよりも、実際にこしらえて、お福分できたらいいなと思いました。
まろいまろい、いくぶんユーモラスな果穂と、芽生えた後の壮健な姿と。

 石を掘っていただいたおかげで、街の土留め工事が出来ます。
石を掘ったあとに必要な土留めは、ヤシャブシ君の働きです。
何事にも準備が必要です。
まずは、こうした元気者がまず大地に潤いをもたらす。
そうした段階を経て、樹木が入れ替わり育ち、本格的な森が再生していくと感じます。

緑の復元は、時間をかけた長距離駅伝です。
その第一走者であるヤシャブシ選手。
天をめがけて今日も安定したピッチを刻むヤシャブシ選手のけなげな走りに、心からエールを送りました。
 


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1 コメント

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Unknown (加藤寛司)
2023-10-21 10:18:25
こんにちは。
私は茨城県城里町生まれで、現在は東京都国分寺市で暮らしているものです。ヤシャブシの記事、興味深く拝見しました。記事を書かれたのは2011年7月3日でその頃は東日本大震災で大変な時期でしたね。あれから12年が過ぎますが、稲田のヤシャブシは今も存在するのでしょうか?私は染色をしている関係で大変気になるのです。もし、まだあるようならば、茨城に帰省の折は是非見に行きたいと思っています。ヤシャブシがあったら場所など、もう少し詳しい情報をいただけると幸甚です。
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