
樺太犬タロ 剥製
北海道札幌市中央区 北大植物園博物館
1959年 昭和34年1月、第三次南極観測隊が編成され、宗谷が3度目の南極を目指しました。
犬係として第一次観測隊に参加し、越冬隊にも加わった北村泰一隊員も第三次隊員として再び南極へ赴きました。
前回の第二次観測隊の失敗の反省から、第三次観測隊は、宗谷に1トンもの荷物を運べる大型ヘリ2機、それに氷上偵察のできる小型ヘリを1機搭載し、空輸を前提に輸送を万全なものとする態勢を取りました。
昭和34年1月14日、昭和基地への偵察ヘリが飛び立ち、さらに空輸の荷造りを終え、第一陣の輸送ヘリを送り出した北村泰一隊員が眠りについた後。
〜北村さん!犬だよ!犬が生きていた!〜
宗谷の船員が興奮気味に叫んで北村泰一隊員を呼び起こし、北村隊員も跳びおきて通信室に駆け込みます。
通信室内の船員の表情に涙ぐんだ姿と、安堵の姿から北村隊員も悟ります。
昭和基地周辺を偵察したヘリが黒い犬2頭の姿を確認し、宗谷に報告してきたのです。
犬はクマとモクらしいと報告がありました。
15頭全部の首輪をきつく締めて第二次越冬隊へ託す予定だった北村隊員は、首輪を自分たちで抜けたか、繋いでいた鎖を切ったのか、疑問もありましたが、やがて偵察ヘリが帰船し、パイロットによると、恐ろしげで近づけないと言うので、今度は北村隊員が輸送ヘリで昭和基地へ向かいました。
13に続きます。