子育て支援のために国はそれなりの公金を投入している。急務と言われる保育士の待遇改善に向ける交付金もあり、内閣府などから全額を賃金改善に充てるべき交付金が出ている。だがその一部が職員に支払われていないことがわかったという(朝日新聞2019-12-21)。国会からの要請で会計検査院が6000余りの施設を調べ、357施設で、賃金改善に充てるべき約6億円(国庫負担分は約3億円)が賃金改善に回されていなかった(2016、2017年度)。
施設側は「失念していた」などと説明しているというが、保育士の賃金にする約束の金を支給していなかったというのでは公金をもらって着服したのと同じではないか。国からさまざまな形で公金が交付されるケースというのはあるのだが、本来の目的に使われることを担保する仕組みはできないのだろうか。
先日は「幼保無償化」で一定額までは国が保育費を補填することになったとたん、上限額ぎりぎりまで値上げする施設が相次いだことが報道された(過去ブログ)。企業主導型保育所で助成金だけ受け取って開園しない事例も相次いだ(過去ブログ)。保育園に限らず公金がからむ場面では、日本人の美徳を信じる性善説は捨てて、不心得者はいるという前提で指導・確認が必要だろう。
それにしても、政府の幼保無償化は「待機児童解消が先」という声を「無償化先行でも20年度末には解消可能」と押し切って実施したものだが、こちらも雲行きが怪しい。企業主導型保育事業で政府は約5万9000人分を確保したとしていたが(2017年度)、うち約1万8000人分が過大になっていたという(2018年4月時点で未開設など)。安倍首相としては「幼保無償化やりました」と選挙で言えれば中身には関心がないのだろうが、やはりそれでは困る。
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「保育園を作っても保育士不足で開園できない:これでも無償化を先行するのか?」
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