リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

製薬会社へのワクチン対価の検証を望む

2021-06-26 | 一般
4月に菅首相がファイザー社のトップと直談判してワクチン供給の約束を取り付けた(asahi.com)とき、どんな条件だったのだろうという疑念がぬぐえなかった。たとえば「他国の倍額払います」のようなことを首相が言ったのだったとしたら、納税者に対してもワクチン争奪という観点からも、決して褒められたものではない。(イスラエルは他国よりも高額を払ったという(Reuters 2021-2-13)。)だがどうやら勘繰り過ぎだったようだ。
CEOは株主総会で「高所得国には米国での1回の食事代、中所得国ではこの半分、低所得国には原価」と公言したというから(朝日新聞2021-6-25)、日本だけこっそり高くするようなまねはしないだろう。

ワクチン普及の妨げにならないよう、特許の一時放棄を求める声が広がり、米国バイデン政権も賛成の意向を示しているが、日本やドイツなどは反対の立場だ(WSJ)。ファイザー社も反対しているが、低所得国に原価で供給しているのであれば、あまり批判すべきではないだろう。ワクチン普及の妨げになっている原因が本当に特許なのかどうか見極めた上で判断するべきだ。(たとえば日本でワクチン接種が遅れているが、べつに特許が理由ではないと思う。)

話を戻すと、日本がぼったくられたのではないかというのは私の思い過ごしだったようだが、日本政府は契約金額を公表していないし、ファイザー社も各国政府との契約内容を詳しく公表していないという(朝日新聞2021-6-25)。やましいところがないのなら、もう少しオープンにしてもいいのではないか。

追記:ファイザー製のワクチンの急減について、これまで2週間で最大1870万回分を配送していたのが、7月5日の週からは2週間で約1170万回と4割減になるという(朝日新聞2021-6-29)。これは当初の計画通りのことで、その意味では問題ない。あとは供給ペースにあった接種スケジュールを立てているかどうかの問題だ。だがいつどのくらいのワクチンが自治体に届くのかを政府が知らせてくれないという声がこれまでもあった。
職域接種の申し込みが政府の予想をはるかに超えてモデルナ社のワクチンが足りなくなるため、開始早々、受付が停止になった。9月末までに5000万回分が供給されるというが、いつどれだけ届くのかは政府は公表していない。昨年厚生労働省が発表した契約では「6月末までに4000万回分」の供給を受けることになっていたが、現時点(2021-6-29朝刊の時点)では1300万回ほどに留まるという。モデルナ社が契約を守っていない、ということなのか。実情を調べて公表すべきだろう。

追記2:モデルナ社が契約を守っていないのかと書いたが、「4000万回分」公表以後の協議で供給量が約1/3に減ったのだという。また、契約で供給量の数字はこれまで明らかにしなかった、9月末までに5000万回分が供給されるという。(朝日新聞2021-7-7)「その後の協議」というのはいつあったのか(3月か6月かで印象が全く違う)、供給量を減らした理由は何か(生産が追いつかないということか、他国を優先したのか)、「これまで明らかにしなかった」ということは、今後は随時公表されるのか、もう少し突っ込んだ報道がほしい。
(余談だが、欧米は契約社会で契約書に書いたことは覆せないというが、このように事情によっては契約が見直されることもある。オリンピックに関する不平等な契約条項についても見直しの余地があるのではないか。)

追記3:モデルナ社から6月末までに4000万回分のワクチン供給を受ける契約になっていたはずが、約3分の1になった件について、「その後」の協議で供給量が減ったとされていたが、政府内の調整役である河野太郎大臣が供給量が減らされるのを知ったのは「大型連休前くらい」だったという(朝日新聞2021-7-12)。「協議」というのは何だったのだろう。また、モデルナ社からの供給を前提として「職域接種」を進めたがすぐ受付停止になったが、連休前に情報があったのであれば、こうした混乱は避けられたのではないだろうか。
それにしても、ワクチン供給(現状、予定)に関する情報がほとんど開示されない状況はもっと批判されてしかるべきだ。台湾では、蔡総統が(感染急増以降の)この2か月間、ほぼ毎日SNSなどでワクチンの調達進度などを説明しているという(同26面)。


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 政府は専門家の意見と違う決... | トップ | ワクチンが効くのは2回目接... »
最新の画像もっと見る

一般」カテゴリの最新記事