カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

作品その56・食い物の恨み

2018-10-15 18:50:57 | 見習い錬金術師の作品
たかあきは『瑠璃』と『絞りたて金山羊ミルク』を材料に『絡繰り仕掛けの犬餅』を錬成しました。用途は不明です。

 一体何処から入ってきたんですかと尋ねる製菓中の僕に、根切り屋は必要とあれば何処からでもと答えてきた。とりあえず大詰めの作業工程では一切の無駄な動きが許されないので、仕方なく存在を無視して製菓作業を完了させるが、僕が焼窯から取り出した菓子を素早くつまみ食いした根切り屋は、普段なら不審者であろうとお客様大歓迎の態度を崩さないが、今回は待望のおやつを奪われて怒り心頭に達したらしい食い意地の張った絡繰り犬に容赦なく追い回されることになった。
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骨董品に関する物語・小型頭蓋骨

2018-10-15 18:09:16 | 突発お題

 自称芸術家の伯父は、たまに僕たち兄妹を変な遊びに付き合わせることがあって、その時は小さな頭蓋骨を見せながら庭で見つけた小人の骨だと言った。流石に僕は信じなかったが本気にした妹が可哀そうだからお葬式をしてあげようと言い出し、骨は立派な小箱に入れられ、摘んできた花と妹が歌う弔いの歌と共に庭の隅に埋められた。もう僕たちはあの家で暮らしてはいないが、今も骨はあの場所に埋まっているのだろうか。
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