私の兄はグリム童話が大嫌いで、中でもヘンゼルとグレーテルの話を異常なまでに忌み嫌っていた。ある日学校の観劇途中でいきなり口元を抑えてその場から走り去る兄の後を追って理由を尋ねたが、お前はもうあの黒い森を覚えていないのだろう、だから絶対に教えたくないと断言された。
私の兄はグリム童話が大嫌いで、中でもヘンゼルとグレーテルの話を異常なまでに忌み嫌っていた。ある日学校の観劇途中でいきなり口元を抑えてその場から走り去る兄の後を追って理由を尋ねたが、お前はもうあの黒い森を覚えていないのだろう、だから絶対に教えたくないと断言された。
病は不平等だが死は等しく総てを覆い尽くすと、父は指に嵌めていた指輪を形見分けだと乱暴な動作で僕に放ってくる。結局、搔き集めた家財も肉体も削れるだけのものを削り落しても執拗に絡み付く罪はその重みで俺を地獄に落とすだろうというのが、周囲に暴虐の限りを尽くした父の最期の言葉だった。
たかあきは早朝の王都に辿り着きました。名所は古墳、名物は飴菓子だそうです。
友人が通っていた学校の修学旅行先は嘗てこの国の都だったことがある街だが、土産物の飴菓子を渡してくれた友人曰はく、あまりその旅行にも街にも愉快な思い出は無いらしい。多分あの街のルールを理解していなかったのと運が悪かったせいだと思うと前置きしてから話してくれた体験は、不気味なくらい私がその街で体験した内容に酷似していた。
友人が通っていた学校の修学旅行先は嘗てこの国の都だったことがある街だが、土産物の飴菓子を渡してくれた友人曰はく、あまりその旅行にも街にも愉快な思い出は無いらしい。多分あの街のルールを理解していなかったのと運が悪かったせいだと思うと前置きしてから話してくれた体験は、不気味なくらい私がその街で体験した内容に酷似していた。