学生スポーツは9割が「日大アメフト部」
05月31日 09:20 プレジデントオンライン
(前略)
▼「レギュラー」「就活」を決める権限を持つ絶対的な権力者
日大アメフト部がそうだったように、強豪チームの指導者は、しばしば選手たちにとって絶対的な存在になる。その理由は明確だ。監督やコーチといった指導者が、「レギュラー」を決める権限をもっているからだ。
全国から優秀なプレーヤーが集まる強豪チームの「レギュラー争い」は激しい。誰もが試合に出場したいと思っているし、レギュラーとサブの実力差はわずかしかない。そのなかで、監督やコーチの指示に反発するような選手は外されるリスクがある。レギュラーの座をつかむためには、監督の「イエスマン」にならざるを得ない。
さらに、「就活」にも監督の影響力が大きく働く。高校や大学の監督が、プロや実業団の監督と「マッチング」を行うケースが多いからだ。なかには選手の希望を無視して、監督が勝手に話をつけて卒業後のチームを決めてしまうこともある。選手をコマ扱いしているわけだ。
名門チームには、独自の就活ルートが存在する。そのルートをつくっているのも監督やOBだ。仮に競技を続けず、一般企業への就活を希望する場合も、そうした就活ルートがつかえれば有利だ。スポーツに明け暮れていた選手たちは、就活の事情もよくわからない。このため競技だけでなく、就職先についても監督の指示を待ってしまう。そうした構造から、強豪チームの監督は絶大な権力を持つことになるのだ。
(中略)
▼閉鎖的な環境が感覚を麻痺させ、隠蔽体質を形成
監督も最初から絶大な権力をふるおうと考えているわけでもないだろう。同じチームに長く所属しているうちに、いつしか麻痺してしまう部分があるのだ。前任の監督が、さらに前任の監督からチーム独自のルールや文化を受け継いだように、自分もそれがあたかも「世の中の常識」であるかのように受け継ぐ。そうした閉鎖的な体質が、まともな感覚を次第に麻痺させてしまう。
そうしたチームでは「隠蔽体質」も自然と形成される。たとえば、パワハラ・セクハラでスタッフが処分されたにもかかわらず、表向きには「体調不良」と説明する。監督が選手に暴力をふるい、コーチがその問題を大学に報告したところ、監督ではなくコーチがクビになる。そんな理不尽な話はたくさんある。
こうした学生スポーツの体質を知る筆者としては、今回の日大アメフト部の問題で、選手が監督の指示に従わざるを得なかったのは理解できるし、監督がいつまでも指示を認めなかいことも、「特別なことではない」と感じる。
(以下略)
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