『かみさまへのてがみ』<谷川俊太郎:訳,葉祥明:絵,サンリオ:刊>を久しぶりに手にとって読みました。思わずほほえんでしまうような手紙に,心が温かくなりました。
この本は,アメリカの子どもたちがかみさまに向けて書いた手紙を収録したものです。子どもたちの手書きの英文も日本語訳と一緒に掲載されており,幼いアルファベットの文字一つ一つに子どもたちの思いが込められているような感じがします。谷川俊太郎さんの訳,葉祥明さんの絵も手紙の内容にピッタリです。
大人以上に子どもたちは神様を近い存在と考え,まるで親しい友達のように思っているようです。宗教的な思いに関係なく,子どもたちの自由な想像力,素直で飾らない心にふれることのできる手紙集です。手紙というより詩のような感じもしますので,子ども詩集といった方が適切かもしれません。収録されているいくつかを次に紹介します。
☆ かみさま どうして よる おひさまを どけてしまうのですか? いちばん ひつような ときなのに。 <バーバラ>
☆ ゆきが すごく つもって,がっこうが やすみに なったときのこと おぼえていますか? また あんなふうに してもらえないかなあ。 <ガイ>
☆ あなたは どうして じぶんが かみさまだって わかったんですか?<シャーリーン>
☆ かみさま あなたは きりんを ほんとに あんなふうに つくりたかったの?それとも あれは なにかの まちがいですか? <ノーマ>
☆ かみさま あなたは てんしたちに しごとは みんな やらせるの? ママは わたしたちは ママの てんしだって いうの。 そいで わたしたちに ようじを ぜんぶ いいつけるの。 <マリア>
☆ かみさま こどもに おかあさんと おとうさんが ひとりずつ いるっていうのは とても いいね。 それを おもいつくのに,ずいぶん じかんが かかりましたか? <グレン>
どのてがみも,ほほえましく 心が洗われるような 感じがします。レオ・レオニの『フレデリック』ではありませんが,「 きみって 詩人じゃないか !」 と 子どもたちに 伝えたくなります。
曇りのない目で,物事を見つめ・感じ・受け止める やわらかなハートを, 子どもの心にかえって 取り戻したくなりました。