咲きそろった洋ナシの白花の向こうに、深く澄んだ青い空が広がっていました。
背景としての空なのに どこまでも 青く広がる その世界に、引き寄せられてしまうようです。
旅にでも 出かけてみようか、幼いころから抱き続けてきた 憧れとなつかしさが入り混じったような思いがあふれてきます。
求めるものが、そこにあるような…… 。
招くように 広がる 澄んだ青い世界。
立原えりかさんの童話に、虹に魅せられた少年が登場する物語がありました。少年は虹を求めて旅に出ます。やがてそんな少年がいたことも人々の記憶から消えてしまうほど たくさんの月日が流れます。そんなある日、町の通りで 老人になった少年が 虹のかけらを売っている姿を見かける といった話だったように思います。
少年は、虹を探し求める旅をずうっと続けていたのでしょう。虹のかけらを売る老人の表情は、少年のような輝きをもっていたのではないでしょうか。
心ひかれるものを持ち続けるということ、美しいものを美しいと感じる感性を大切にするということ、目ではなく心で感じるということ。
今の季節、新緑の持つ みずみずしい生命力を内に取りこみながら、若々しいハートで周りの世界を 見つめ、感じることができたらいいですね。
青い空は、無言でそのことを語りかけているような気がします。