新聞に心が洗われるような記事が掲載されていました。童謡:どんぐりコロコロの歌詞は,正式には2番までしかないのですが,新たにつくられた3番の歌詞もあり,そのことを紹介する記事でした。
きっかけは,「ひととき」という欄に掲載された投稿でした。福島に住む姉から電話で「どんぐりコロコロ」の歌を教えてと頼まれた妹が投稿者でした。妹が2番まで歌った後に,姉は「3番はあるの?」と聞き,妹は「ない。」と答えました。姉は「福島のどんぐりたちは,どじょう政権に遊んでもらった後,お山に戻れるかなあ。」と語り,妹は「どじょうの力で山に帰れて,幸せに暮らせる3番目の歌詞を歌いたいね。」と応えたとのこと。
この投稿を読んだ人から「3番はあります」「つくりました」という投書が寄せられ,今回の特集の記事が組まれたようです。
次に,正式な歌詞 と 新聞に掲載された3番目の歌詞,新たにつくったという歌詞を 紹介します。
どんぐりコロコロ
作詞 青木 存義(ながよし)
作曲 梁田 貞
1 どんぐりコロコロ ドンブリコ おいけにはまって さあたいへん
どじょうがでてきて こんにちは ぼっちゃんいっしょに あそびましょう
2 どんぐりコロコロ よろこんで しばらくいっしょに あそんだが
やっぱりおやまが こいしいと ないてはどじょうを こまらせた
作詞者の青木さん(1879~1935年)は,宮城県松島町の出身ということで,同県人だったのには驚きました。幼い日を思って作詞し,1921年の『かはいい唱歌』に掲載されたそうです。青木さんの生家の跡地に,松島第五小学校の校舎が建ち,そこの児童が原詩にはない3番を歌い継いできたそうです。この3番の歌詞の作者は,作曲家の岩河三郎さんで,この歌を3部合唱曲に編曲する際に,歌詞をつけたとのことです。
3 どんぐりコロコロ ないてたら なかよしこりすが とんできて
おちばにくるんで おんぶして いそいでおやまに つれてった
ふるさとの山が恋しいと泣いてどじょうを困らせたどんぐりを,山につれてってあげたのは,なかよしの小リスだったのですね。泣き声を聞いてとんでくる小りす。なかよしの友だちだからこそ,友だちの思いがよくわかるんですね。友だちのどんぐりをやさしくおちばにくるんで,おんぶする小リスの姿を想像するだけで,温かい気持ちになります。少しでも早くふるさとの山につれていこうと,急ぐ姿もほほえましく感じます。1番から3番までの歌詞だけで,絵本になりそうな感じがします。
3番の歌詞を知った福島県相馬市に住む姉の斎藤恵美子さんは,自らをどんぐりの一人と考え,次のように語っています。
「希望をもらえた。落ち葉にくるんで,おんぶしてもらうなんて温かい,最高の助け方です。」 「生きている間にどんぐりをお山に帰してほしいけど,そうしてもらうのは無理かも。次の世代がくるんでもらえれば。再生できるまで忘れないで。」
ふるさとに帰るに帰れない福島の人々の心境は,深い所でどんぐりの思いと重なるのだと思います。安心してふるさとに戻れる日が一日も早く訪れることを,心から願います。せめて,どんぐりをくるむ一枚の落ち葉になることができたらと思います。
新たにつくったという歌詞も次に紹介します。
○東京都・佐藤久美子さんのつくった歌詞
どんぐりコロコロ 大丈夫 小鳥も助けてくれるから
お山で大きな木になって どんぐりたくさん実らせて
○横浜市・ナザレ幼稚園でつくった歌詞
どんぐりコロコロ いけのなか かわいいぼうやを かにさんが
やさしくはさんで とことこと おやまにいっしょに いきました
読みながら,私も4番・5番の歌詞をつくりたくなりました。どんぐりコロコロを媒介としてつながった輪に,さわやかな感動を覚えました。人と人とのつながりは,それぞれの思いのつながりにもなるのだということを実感しました。
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