あの青い空のように

限りなく澄んだ青空は、憧れそのものです。

詩の読み合わせ

2018-09-12 20:13:27 | 日記
もう一つ取り組んでいるボランティアで 先日、詩を教材とした 学びの場を担当することになりました。
正しく説明すれば、『言葉の時間』という 15分程の一斉指導の時間を(生徒さんは、学び直しを求めて
やってきた大人の皆さんです。)担当することになり、一つ一つの言葉と向き合いながら読み合うという点で
詩が最適な教材なのではないかと考え、詩を読む という方向で進めさせていただくことになったのです。

教材としての詩を4点選び、一コマ(15分)で一つの詩を読み合い、四コマ分を担当させていただくことに
なりました。その第1回目となる 詩の読み合わせを、先日終えたところです。

選んだ4点の詩は、次の通りです。
1 三好達治さんの『土』     想像力を広げながら
2 吉野弘さんの『夕やけ』    登場人物の心情によりそいながら
3 河合酔茗さんの『ゆずり葉』  主題を一緒に考えながら
4 高階杞一さんの『小さな質問』 生きる意味を一緒に考えながら

先日終えた『土』の詩は、次のような流れを想定し、読み進めていきました。

    土
       三好 達治
 
 蟻が
 蝶の羽を ひいて行く
 ああ
 ヨットのようだ

〇この詩の中で、作者の感動が込められている言葉は、どれでしょうか。
 その言葉に線を引いてみてください。
● ああ  ヨットのようだ
〇『ああ』 という感動詞や 直喩の 『ヨットのようだ』の中に、作者の感動が込められていますね。
〇ひいて行く の主語は、何でしょう?
● 蟻
〇その蟻は 何を ひいて行く のですか。
●蝶の羽 
〇死んだ蝶の羽を ありは見つけて 引いていくのでしょうね。
 その蝶の羽が どんなふうに見えたのでしょう?
●ヨットのように 見えた。
〇なぜ ヨットのように見えたのでしょうか。
●蝶の羽の形が、ヨットの帆のように見えたから。
〇このヨットは、何色だと思いますか。
●白、黄色
〇地面の色は、何色ですか。
●茶色、黒に近い
〇そんな地面の色に対して、蝶の羽は浮かび上がるように あざやかに見えたのでしょうね。
〇ところで そのヨットは、動いているんでしょうか?そのことが、どの言葉でわかりますか?
●『ひいて行く』から
〇『ひいて行く』は、「ひく」と「行く」とが組み合わさってできた合わせ言葉ですが、「ひいている」
 と比べてみると、どんな違いが感じられますか?
〇蟻の意志が感じられて、ある目的地に向かって進んでいるような感じがありませんか。
●近くにある巣に向かって引いていくような感じがする
〇蟻が巧みに操りながら、巣に向かって少しずつ移動しているという感じがしますよね。
〇蟻船長が巧みに操る ヨットが 見えてくるような感じがしてきます。
〇ところで、そのヨットは 海を走るヨットのように 波に揺れているのでしょうか。
 蟻船長の操るヨットは、地面を走っているんですよね。
 その地面は、平らなんでしょうか、でこぼこなんでしょうか。
●平らではなく、でこぼこなので、蟻船長のヨットも揺れているような感じがする。
〇作者がヨットのように見えたのは、その形や色だけではなく、少しずつ動き しかも波に揺られるように揺れている 
 そんなふうに見えたからこそ ああ ヨットのようだ と表現しているのかもしれませんね。
〇いよいよ最後の質問です。なぜ、この詩の題は『土』になったのでしょうか。
●作者の目の前の土が 海の波のように見え、蝶の羽が 蟻船長の操るヨットのように見えたから。

この流れにそって、読み進めていったのですが、限られた時間に制約され、ゆっくりと想像を広げるゆとりが持てなか
ったようにも思います。私の解釈やイメージを押し付けてしまったのではないかという反省もあります。
言葉の向こうに見える世界(思い浮かぶイメージや絵)を 想像することの楽しさを共有したいと考えたのですが、初め
て担当する時間だったので、生徒さんもどう応えていったらいいのかという戸惑いもあったようです。
学習の後の生徒さんの感想を読みますと、難しかったという声もあり、丁寧な取り扱いに欠けた面があったのではないか
と思いました。時間にとらわれず ゆっくり時間をかけて取り扱うことも必要なのではないかと感じました。
楽しかった・よくわかった という声も多くあり、何よりの励ましになりました。特にうれしかったのは、詩のイメージを
絵で表現してくれた生徒さんがいたことです。

次回は、吉野さんの『夕やけ』の詩の読み合わせです。
今回の反省点を生かしながら、生徒さんと共に 登場する娘さんのやさしさや作者の娘さんに寄せる思いについて、読み合
っていけたらと考えています。

今回、久しぶりに授業者の立場になり感じたのは、教えるという立場ではなく共に学ぶという姿勢で臨むことの大切さです。
子供ではなく さまざまな人生経験を通してこられた 大人の方々を対象とした学びの場ですので、私自身も多くのことを
詩を読み合うことで学びたいと思っています。

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