みをつくし料理帖 の著者である 高田郁氏推薦の物語を読みました。著者は中島要氏、物語の主人公は 着物に込められた思いを汲み取り、しみ抜きなどその再生のために心を込めて尽くす 着物始末屋・余一です。
みをつくし料理帖の主人公:澪が、市井の人々が喜んで食の楽しさや喜びを味わうことができるよう旬の素材を生かした料理づくりに専念するように、この物語の主人公:余市も、着物に込めた人々の願いや思いを深く受け止め、古くなり擦り切れた着物に新たな命を吹き込みます。
一つの着物に関わって、さまざまな出来事や事件が生じます。余市は、そういった着物の始末を通して、込められた願いや思いをよみとり、人々の心まで紡いでいきます。
物語の筋にあたるものを縦糸とするならば、この物語が魅力的なのは、横の糸にあたる 余一やお糸など 登場人物たちが 存在感があり、お互いに関わり合う中での心の動きも丁寧に描かれ、奥行きのある物語に仕上げられていることです。その点でも、一人ひとりの登場人物たちが魅力的であった みをつくし料理帖 の物語にも重なるものがあります。
着物の始末屋:余一を主人公とする物語は、これまで3巻が発刊されています。「しのぶ梅」、「藍の糸」、「夢かさね」 と続く シリーズです。
そそっかしい私は、タイトルの魅力に惑わされ、3巻から読み始め、登場人物への説明のなさに違和感を感じながら読み進めてしまいました。それでも、読了した時点で次の巻を読みたいと思い、他の2冊の表紙を見て気づきました。読んだのは3巻だったということに……。以下、1巻・2巻と読み進めることで、読み終えた3巻の内容を改めて深く理解できたような気がしました。これから読む人には、是非1巻から読むことをお勧めしたいと思います……?。
暗い過去をもった主人公の余一が、自らの幸せまで手に入れることができるのかどうか、目を離せない物語との出会いとなりました。新たな物語との出会いを橋渡しして下さった高田郁氏に、心から感謝です。 是非、一読を!
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