あの青い空のように

限りなく澄んだ青空は、憧れそのものです。

下町ロケット・ヤタガラス を読んで

2018-10-09 21:56:41 | 日記
大切なのは、誰のために 何をなすべきか という理念なのだと 語っているような
読後の印象でした。
企業の論理では、利潤追求が根底にあるのに、そうではなく 製品を使う人にとって
本当に必要なもの・役立つものを造っているのかどうか という、使う側の人に寄り
そう 理念こそ 大切なのだと。
今回の物語では、農業の未来を憂い、その担い手となる人々のために 必要となる
ものを造り、奔走します。
佃社長は、さまざまな苦難や苦境に陥るのですが、一貫した理念のもと悩みながらも
進むべき道を見出していきます。
理念を共有する社員や提携する企業の仲間と共に。

物語の展開上、対立する人物たちが数多く登場するのですが、そこに人間的な恨みと
いった感情や企業の独善的な論理が展開します。

ただ、あまりにもその対立する人物像が極端すぎる点に違和感を感じてしまいます。
善と悪が明快になるほど、人間は単純な存在なのだろうかと。
悪となる人物の背景や生い立ちなど、補足した説明はあるものの どこか腑に落ちな
い点を感じてしまいます。

勧善懲悪的なストーリーであるがゆえの 結末のハッピイエンドは、読者にとって
歓迎すべきものではあるものの、心残りも感じてしまいます。

池井戸ファンとして これまでの作品はほとんど読んできて その面白さに魅了され
てきたものの、パターン化された 物語の流れを感じてしまう面があります。

敵対する人物が存在しない物語や すべての登場人物が善人である物語を 
池井戸潤の 次回作として 期待したいと思います。

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