あぽまに@らんだむ

日記とか感想とか二次創作とか。

麗人は天然ゆえに(ニアス中心)

2020年05月19日 | 創聖のア◇工リ〇ン関係

 

 

これは、2007年10月26日に書いた「創聖のアクエリオン」の二次創作SSの再掲です。

また、「アポロニアス20お題03.天然ゆえに」で書かせて頂いた作品です。

アポロニアスに関してはだいぶ俺設定になっていますので、予めご了承下さい。

大丈夫な方のみ下へスクロールしてご覧下さい。

↓↓↓↓

 

 

 

 

 

 

 

 

<麗人は天然ゆえに>


「兎に角、普段でもマントは羽織るべきだ」

ナイトシェードが主張するのを、アポロニアスは怪訝そうにだが、黙って聴いていた。
アトランディアからアリシア城に来たアポロニアスは、新緑の鎧を身に付けるようになった。
飛翔する為に鉄の鎧は身に付けず、皮製の鎧や手甲などを好んで身に付けている。
大きく開いた脇、スリッドの入った腰は全て動き易さを重視して作られていたのだが、
ナイトシェードは気に入らないようだった。
むっつりと不機嫌な顔を不安そうに上目遣いで見上げてくる天翅に、
主思いの家臣は大きく溜息を吐いた。
本人には言えないが、アンダーなど鎧を脱いだ格好で城内を歩き回られて、
見習い騎士や機械天翅のエレメントに卒倒者が続出なのだ。
天然ゆえに自分が如何に魅力的なのか、当の本人は全く気付いていない。
そう、こういう男が一番厄介なのだ。

「マントは…暑いから嫌いだ。それに…鎧も蒸れるし…」

ナイトシェードに怒られるのが怖いのだろう。
ぽそぽそと喋るアポロニアスに、ナイトシェードはこめかみに怒りマークを浮かび上がらせた。
アポロニアスはそれだけでびくっと硬直し、涙ぐんで来てしまう。
このままでは、風呂に入る時さえ服を着せられそうだ。
無言のままの家臣に萎縮して声を掛けられずに居る。

「分かりました。では、この件はもう結構です」

急にいつもの口調から、公式の場の様に敬語に変わったナイトシェードにアポロニアスは傷付く。
2人でいる際には彼が心を開き易いようにと、友人として振舞っているナイトシェードが敬語で喋ったのだ。
詰まり、かなり怒っている。
普段でもマントを着ろというのを拒否しただけで、
何故ナイトシェードが其処まで怒るのかアポロニアスは分からなかった。
しかし、元々気候が温暖なアリシア王国では、冬でも珠にしか雪が降らない位なので、
全ての季節がかなり温かい。
それを夏でさえマントを羽織れという方がおかしいのだ。
アポロニアスは王国の騎士ではない。
正装をする為の鎧も無かった。
公式の場でも今の格好で出席している為、問題は無い筈なのだ。
それを何で今更変えようとするのか。
露出した身体を何故マントで隠そうとするのか。
アポロニアスは悩んだ挙句、ある結論に辿り着く。

「…あ…暑くても…我慢…する。…マントを常に羽織れば…いいのだろう?」

理由を言わないまま納得させようというのも無理なのかと、
ナイトシェードが自己嫌悪に陥っていると、アポロニアスが思い詰めた顔でぽそりと漏らした。
ナイトシェードは嫌な予感がして、何故そう思ったと問う。
アポロニアスは辛そうに唇を噛むと首を横に振った。
肩を掴み、無理矢理自分の方に向かせると、ナイトシェードは焦って問い質す。
予感は的中した。アポロニアスは目に一杯涙を溜めていた。

「わ…私の身体が…醜いから…、その…皆を不快にさせるのだろう?
だから…マントで隠し…」
「そんな訳があるか!!」

アポロニアスが最後まで言い切らぬ内に、ナイトシェードはつい感情に任せて大声で叫んでしまった。
アポロニアスは、ナイトシェードに肩を掴まれたまま、目を見開き吃驚して硬直している。
いつも冷静な自分が怒鳴ってしまった事に、ナイトシェードは仄かに頬を染め、
顔を逸らし「すまない」と謝罪した。
そして改めて言い直す。不安そうな紅玉の瞳が揺れていた。

「お前が…醜い筈が無いだろう。そんな訳じゃない。違うんだ」

アポロニアスの瞳から潤んでいた涙が流れ頬を伝う。
幻のような美しさだった。
そして明確に理由を言わなかった事に拠って、
付けなくていい傷を心に負わせてしまった罪にナイトシェードは胸を痛めた。
ぐいと自らの胸にアポロニアスの顔を押し付け、
頭を抱えるとその形のいい後頭部を幼子にするように撫でてやった。

「悪かった。ちゃんと理由を言えば良かったな」

しかし何と言えばいいのかとナイトシェードは言葉に詰まる。
とても真相を話す事は出来なかった。
そして最悪の選択をするしかないかと微苦笑する。
アポロニアスの頭を撫でたまま囁いた。

「俺が他の者にお前の身体を見せたくないのだ。勿論、セリアン姫も同意している」

半分嘘で半分は本当だ。
いや、半分以上が本当かもしれない。
ナイトシェードはゆっくりとアポロニアスの身体を離すと、涙に濡れる顔を覗き込む。
アポロニアスは不思議そうに見返して来る。まだ言葉が足りない。

「お前はセリアン姫の水着姿を見知らぬ奴にじろじろ見られたいか?」
「それは…嫌だ」

憮然として言い返してくるアポロニアスに「それと同じだ」と答えると、
納得出来ないのか口をへの字に曲げている。
ナイトシェードは天然な主に頭を抱えた。

「セリアンは女性だが、私は男性型天翅だ。男の私の身体は見せても構わないだろう」

ナイトシェードは率直に言わないと説得出来ないと腹を括った。
アポロニアスをまた泣かせてしまうかもしれないが、
騎士やエレメントに次々卒倒されるより幾らかマシだと非情になる。
それに、この愛しい主の身体を城の者であれ、興味本位で見られるのはやはり我慢ならなかった。

「構うから言っているのだ。分かった。はっきり言おう。お前の身体がエロいからだ」
「………え?」
「……エロい身体を見せて城をうろつくな」

アポロニアスは何を言われたか分からないと言った表情で暫くきょとんとナイトシェードを見ていた。
そして音が出る程顔を真っ赤に染めた。
「な…、な…、」絶句して上手く言葉が出ないようだ。

「何言って……!!」
「だからマントで隠せと言っているのだ。鎧を脱いでアンダーだけで歩くのも止めろ。
何人の騎士やエレメントがぶっ倒れたと思ってるんだ。処置する俺の身にもなれ」
「わ…私の身体は、エ…エロくなんか無い!」
「エロいんだよ。もう少し自覚しろ」

「う…」ぶわっと涙を溢れさせ言い返せないアポロニアスにナイトシェードは速攻で
「悪い。言い過ぎた」と謝罪した。
全然心が籠もっていないのは明白だった。
白々しい態度にアポロニアスは臍を曲げてしまう。
ナイトシェードは口許を引き攣らせた。
非常に拙い。しかし遅かった。
部屋の窓を開け放つとアポロニアスは窓から神話力を使って飛び去ってしまったのだ。
そう、天翅は飛ぶものだ。そして逃げ脚も早い。

「少しは自覚してくれればいいんだが…」

ナイトシェードは頬を掻き、紅い天翅を追う為、部屋を出て行った。


<了>

 

------------------------------------------------------------------------------


翅拡げて仰け反る姿とかホントにエロいんですってば!(笑)

 

 

 

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 許されない理由(セリニアス) | トップ | 2020年春の特命調査【慶長熊... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

創聖のア◇工リ〇ン関係」カテゴリの最新記事