「4 TEEN」に続いて、石田衣良作品は二作め。★★★★☆
「約束」「青いエグジット」「天国のベル」
「冬のライダー」「夕日へ続く道」
「ひとり桜」「ハートストーン」七つの短編集。
著者のあとがきより抜粋すると~
ぼくはテレビニュースを見て泣くことはめったにありません。でも、池田小学校の事件だけは例外でした。悲しくて、腹が立ってたまらず、気づいたら鼻をすすってました。生き残った子どもたちにエールを送り、亡くなった子どもたちの魂を鎮めるために、自分になにかできないかと真剣に考えたのです。(中略)理不尽な犯罪の被害者が、苦しみからたちあがり、人生に帰ってくる。その過程をていねいに、しっかり書こう。そうすれば、あの悲惨なだけの事件から、なにごとかを救いだすことができるかもしれない。そうして「約束」はこんな形の作品になりました。
~石田さんが丁寧に描いた七つの作品は、読む者の胸にまっすぐに届く作品でした。
ひとつだけ、紹介します~
ナイフを持った男に刺されたヨウジ(10歳)。ヨウジが自分をかばい、亡くなったことを知ったカンタは、「ほんとうはぼくが死ねば良かった。おじさん、おばさん、ごめんなさい。ぼくが生きててごめんなさい。」とあやまり、次第に心を壊していく。
そして、ある日、死を決意したカンタのもとに、ヨウジが現れる。「ぼくもヨウジのところへいくって決めた」と告げるカンタ。しかし、カンタの言葉にヨウジは首を振る。「カンタには、これからたくさんのものを見て、経験して、大人になってほしい。ぼくは、カンタといっしょに、もっともっと生きたいよ」と訴える。「わかった、わかったから、もう泣かないで」それは、ふたりの「約束」になる。
~他に、好きな作品は「天国のベル」と「ハートストーン」
どちらもカンタと同じ10歳の男の子の話。
読んでた場所が、食堂だったので、必死で涙をこらえたら、鼻の奥がツーンとなりました。