高浜原発再稼働問う 小浜で「自主的公聴会」
http://www.chunichi.co.jp/article/fukui/20150202/CK2015020202000017.html?ref=lcrk
きのうの小浜市での公聴会、中日新聞の記事です。
高浜原発再稼働をめぐる意見交換が行われた公聴会=小浜市勤労福祉会館で |
関西電力高浜原発3、4号機(高浜町)が再稼働に向けた適合審査の最終局面を迎える中、脱原発社会の実現を目指す市民団体「原子力市民委員会」が一日、小浜市後瀬町の勤労福祉会館で「高浜原発再稼働についての自主的公聴会」を開き、有識者と市民ら約九十人が意見交換した。内容は取りまとめて三月中に県と原子力規制委員会、関電の三者に報告し、市民委のサイトでも公開する。
座長で九州大大学院の吉岡斉教授、座長代理で立命館大の大島堅一教授、国際環境NGOの満田夏花理事、元化学プラント技術者の筒井哲郎さん、脱原発団体のアイリーン・美緒子・スミス代表が出席。市民委の五人が原発コストの高さ、再稼働に対する地元同意の範囲の狭さ、大雪や豪雨といった複合災害を考慮しないなど避難計画の問題点、過酷事故対応の疑問点を説明した上で、市民が意見や質問を述べた。
高浜3、4号機は昨年十二月に事実上適合したが、西川一誠知事は住民向けの説明会や公聴会を開かないとしている。終了後の記者会見で吉岡教授は「(再稼働について)県民全体の総意を確認すべきだ。一部の政治、行政関係者で決めるのは民主主義に反する」と指摘。公聴会を「非常に多くの人が来て、活発な質疑応答があった。県民が意思表明する手応えを感じた」と総括した。
(西尾述志)
◆住民ら活発な討論
公聴会では県内外からの参加者が活発な質疑応答を繰り広げた。
敦賀原発(敦賀市)から約七十~八十キロ離れた岐阜市の主婦、兼松秀代さん(67)は、重大事故時の避難計画について訴えた。「岐阜市も、風向きによっては放射能の被害を受ける予想もある。避難計画は三十キロ圏内だけでいいのか」と切実な様子で語った。
NGO理事の満田夏花さんは「福島の事故では三十キロ圏外の自治体が崩壊状態になった例もある。避難計画は三十キロ圏外の自治体にも必要だ」と応じた。
小浜市門前の明通寺住職、中嶌哲演さん(72)は原発周辺の自治体が抱える経済構造について言及。「嶺南地域で原発反対の意見が発信できないのは、原発依存の経済があるからだ」と指摘。「廃炉にした場合の経済的な提言を」と要請した。
これに応えた立命館大の大島堅一教授は「地域が独自の資源や人材を生かして、自立していくための交付金にすることが大事」と語った。
(平井孝明)