迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

つきのおかぐら。

2016-11-11 23:15:31 | 浮世見聞記
贔屓の京浜急行2000形に乗り、行先の「新逗子」に合わせて逗子から葉山経由で三崎漁港をめざす。



三崎漁港でまず訪ねたかったのが、その西にある「歌舞島」。

その姿から、かつては“兜島”と呼ばれる小島であったが、のちの地殻変動で、現在のやうな陸続きとなったらしい。



現在(いま)では周囲もすっかり埋め立てられ、陸地のなかの小高い山にすぎなくなってゐるのが残念だ。



ちなみに歌舞島の名前は、源頼朝がここで歌舞音曲を伴ふ宴席を張ったことなどに、由来してゐるらしい。

とくに、なにかの芸能が催されたゆかりの地、といふわけではないやうで、「なんだ……」と、思ふ。



17時からは海南神社の神楽殿で、「面神楽」を観る。



恵比寿様が鯛を釣り上げる「恵比寿の舞」で、“道化”が輪になって踊る場面が、私は好きだ。



ほのぼのとした雰囲気に、寒空ながら心が暖かくなる。



面神楽の第二夜は、須佐之男命(スサノオノミコト)の乱暴ぶりに怒った姉の天照大神が天の岩戸に隠れ、須佐之男命は高天原を追われる「勘当場」より観る。




続いて須佐之男命が八岐大蛇(やまたのおろち)を退治し、その腹から天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)を手に入れ、櫛名田媛(くしなだひめ)を妻に迎へる「大蛇退治」のあと、



“面白い”の語源となったとされる有名な天の岩戸伝説―「岩戸開き」で、お開きに。




ふと夜空を見上げると、雲の間からは太陽ならぬ月の光が射し込んで、



今宵の賑やかな神楽囃子に、まさに神話のごとく「なんだろう……?」と、顔を覗かせてゐるかのやうだった。

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